夏目漱石の本読んだことある？
【１】
あなたからの電話
…嬉しくて。。
だけど心配よ
…そう せきがでるの？
…そう せきこんでいるの？
風邪をひいたのではないかって
おかゆを作ってあげたいなって。
…そう 席がなかったの？
…そう 席が取れなかったの？
一緒に行くつもりだったコンサート
任せてごめんね
私が早く動かずにごめんね
…そう 石灰化していたの？
…そう それは四十肩？ 五十肩？
…そう 責任感じるね
…そう 責任重いね
…そう 仕事も大変ね
それじゃまたね
大好きよ
最後に告げた…
ダイスキって。
…そう せきめんしながらね
漱石 そうせき
【２】
ないているのに
つよがりいうけど
めんどうくさいって
そっぽむかずに
うそいつわりない
せいいっぱいの
きもちをわかって
【３】
なみおとをききながら
つきよのかえりみち
めとめをみつめて
そっとそっと
うっとりとくどかれて
せかいのかたすみで
キスをする……
（きもちをたしかめあう…）
【4】
………則天去私………
こだわりも
私も
捨ててもいいよって
思っていた……
生きることへの固執も
情熱も
欲も希望も捨ててもいいよって
天のなすまま
命のあるまま
終わるときは受け入れるよって
思っていた……
もういちどだけ
わがままになった
もうすこし
生きたいって欲が出た
幸せだった……と
やっぱり言いたい
やることやって
私は逝きたい
則天去私は
おあずけにした
この手を握って……
愛を教えて…。
私は今日も
甘えながらも
しっかり自分をみつめていきたい
欲深で
わがままで
往生際の悪い私を
自分だけは
愛してあげたい……
【５】
共視論
同じものを見て
美しいと感じるの
その時心は
ふるえているわ
互いの心は通っているわ
漱石は
アイラブユーを
愛という言葉に頼らなかった…。
月が綺麗ですねっ…て。
日本人の奥ゆかしさと
日本人の情緒だ、と。
目を見て
アイラブユーと
いわなくたって
月が綺麗ですねって、ね。
ずっとそんなふたりでいたい
同じものを見て
綺麗といえる
ふたりでいたい
【６】
すごくすごく
読んだの
何度も何度も
読んだの
漱石の『こころ』
明治、大正。昭和とかが
比喩で書かれた物語だ、と。
比喩だ、象徴だ、
終わらぬ物語だ、
「私」は先生だ、
乃木大将だ
静…という女性がどうしたこうした……。
書評が書けるくらいに
読んだわ
そして
見事
忘れた……。
だけど私はいつでも
私の視点をもちたかった
それに気づいたのは
漱石の本がきっかけかもしれない…
【７】
漱石は好きよ
大事にするわ
お財布の中に
大事にしまう……
複数の漱石
私のボーイフレンド
だけどすぐに
去っていくの
１０人いても
気づけば一人
いいえ
気づけばみんないないの
私の…。ボーイフレンド。……
カムバーック！！
ソウセキーッ カムバーック！！
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同じものを見ようよ…
同じものみて
同じように思えたら
私は…
月が綺麗ですねって
こころで言うよ
