今日、ニュースを見ていたらアメリカの国防総省がUFOの映像3本を公開したと報じていた。以前からUFOではないか、と議論されていた映像だそうで画面にはすさまじいスピードで海上を横切っていく黒い影が映っていた。

「ヘイ! ドローンが飛んでるぜ」

 と海軍機のパイロットが言っていた。

 アメリカ人は本当にこういう時に冗談を言うのだ。映画みたいだ。悪者に追われている途中でキスしたりするクチだ。そういうシーンを見る度、私と母は舌打ちして「マジメに逃げろっ!」と野次ったものだ。

「過去に流出した映像の真偽や、映像に続きがあるかなどの憶測を取り除くために公開に踏み切った」

そうだ。「踏み切った」といわれると相当な覚悟を感じる。とはいえ物体の正体は不明のままだからちょっと大げさだ。なんで今?とも思う。

すると、その後、我が国の河野太郎防衛相が画面に現れて

「万が一、UFOと遭遇した時の手順はしっかり定めたい」

と言っていた。アメリカ国防省がUFOの動画を公開したことに対する記者会見での答弁だ。どんな手順なんだろう、と空想してたら

「日本語で呼びかける」

と言ったのでびっくりした。アメリカ人だっていきなり日本語で話しかけられたら戸惑うはずだ。同じ星に住んでいる者同士でも無理なことを、よその星の人にするとはなんて杜撰な対応なんだ!! ちゃんと矢追純一に相談すべきだ! 「ムー」編集部に問い合わせるべきだ! 「ひゅんひゅんひゅんひゅん…」って唱えてUFOを呼びだすおじさんにも連絡せえ!

 

さて、私はといえば結構大きめのUFOを目撃したことがある。場所はお台場のデックス東京ビーチというショッピングモールで、店舗沿いのオープンデッキをレインボーブリッジ方向に歩いている時だった。土曜の夕方でカップルや家族連れで結構な賑わいだった。その結構な数の人(同じ方向を向いて歩いていた全員)が見た。

それは白く発光した丸餅みたいな物体だった。高度は飛行機よりも低かった。ヘリコプターくらいだろうか。音もなく我々の後ろから飛んできて、機体を水平に保ったまま斜めに上昇して雲の中に消えた。あっという間だった。私の隣には娘が歩いていたのだが、彼女は足元ばかり見て歩く癖があったため見そこなってしまったし、私も「あれ見て」と教えるタイミングをつかめなかった。ただレインボーブリッジ方面に顔を向けていた人たちはみな呆気にとられた。

「今のなに?」

隣で年配の女性の声がした。

「何? 流れ星?」

聞えよがしに牽制した。「私も見たわよ。あなたもでしょう?」という意図の込められた言い方だった。

一瞬のことで携帯を取り出して写真を撮るどころじゃなかった。

ただ「すごいなぁ」と感心した。こりゃ、地球上のどんな乗り物もかなわんわ。

その時、なぜ遠く離れた星に住む彼らが地球くんだりまでやってくるのかを理解した。

ーー来ることができるから来ているのだーー

 

江戸時代は旅に出るのは命がけだった。箱根の山を越えるだけでも厳しく辛く、旅立つ方は覚悟を決め、送り出す方は祈る思いで見送った。

けれど今は違う。「ちょっと日帰りで温泉行こうか?」と簡単に出かけることができるのだ。昔の人は想像すらできなかっただろう乗り物に乗って。今日、どこにも「命がけ」で箱根に向かう人はいない。

遠い星からやってくる。そこに理由を求めるのは、私たちが多くの犠牲と労力を払わなければ宇宙を旅できないからだ。犠牲と労力の対価として「理由」が必要なのである。

一方、さしたる苦労なしにやって来られる人たちには理由はさほど重要ではない。

「隣町にいい感じのサファリパークができたよ」

といった感じで

「銀河系のはしっこに生物のいる星があるんだってよ」

と見にきた可能性だってあるではないか。

そのUFOはそれほど力強かった。

それにしてもあんなに急いでどこに行ったんだろう。