近況いろいろ と お話会

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ポプラ社から母の「役に立たない人生相談2」が刊行された。

これには私も編集協力として参加している。

もし本屋で目に入ったら「ああ、プーデルさんが微力を注いだ本だな」と手に取ってみてください。

解説も私が書いています。

ちなみにこの解説、母からけっこう褒められた。まただ。3月19日生まれの今年の運勢、「びっくりするほど」「ほめられる」(前々回のブログ参照)がでたのだった。

いやー、当たるなぁ、あの占い。

ところがこの本、発売一週間前になって大きなミスが見つかった。

初版を手に入れた方がいらしたら103ページを開いていただきたい。後ろから4行目だ。

「毎日がバレンタインの広場」

 とありますが、それは

「ハロウィンパーティー」

 の間違いです。

 出来立てほやほやをパラパラとめくっていて見つけ、私はドタバタと二世帯住宅の階段を駆け下りた。

「ここ、おばあちゃん間違えたんじゃないの」

 そういって差し出すとみるみる母の顔色が変わった。年寄りはバレンタインもハロウィンも区別がつかない。母はハロウィンのつもりでバレンタインと書いてしまったのだ。

「これは大変なミスじゃないか!」

 大慌てでポプラ社に連絡をする。一気に向こうもパニックになった。

「これはひどい間違いだよ! 作家として恥ですよ! こんな間違い世に出すもんじゃない」

 母は言って

「訂正の紙にこう書いて本に挟んでくれ。『佐藤はボケてこんな間違いを犯すようになりました。これに反省して筆を折ります』と」

 こういう場合は訂正の紙を本に挟むのだそうだ。

 ポプラに提案すると「すばらしいアイデアですができません」との返事だった。母は「なんでできないんだ!」と怒って

「なら佐藤が責任をとろうじゃないか。このシワ腹かっさばいて果てるまでだ!」

 と段々大げさになる。ばあさんがクタクタのシワ腹をかっさばいてみせたところでただのグロ画像なのでやめた方がいい、と私は思う。

 聞けば大昔に一度、同じようなミスがあったそうだ。その時は担当さんが一人、発売の前日に一万冊の本に「「訂正」の紙を挟んだという。

 私が買った本にも挟まっていたことがある「訂正」の紙はそんな風にして一昼夜かけ、手作業でなされるのだった。

 とりあえず、今回の間違い箇所は訂正のシールを貼ることで乗り越えた。

 どうか書店で見かけたら手に取ってみてください。

 そして103ページを開いてみてください。シールが貼ってなければ訂正前に流出してしまったレアものです。

 本当に役に立たないのは編集協力とは名ばかりの私かもしれない。

 

 かわって先日は母と私とNAOさんとでの鼎談があった。光文社「女性自身」の企画だ。

 この企画は言ってみれば公開「あの世のお話会」であり、初めての親子鼎談だった。

 どのような紙面になるのかわからないが、なかなか楽しい、有意義な時間だったとった思う。

 何号に掲載かは未定なので、わかり次第ご連絡します。

 前回某誌の写真撮影の時に「ラムラム王」のTシャツを着てウケた(と私は勝手に思っている)ので、今回もヘンチクリンTシャツを着ようと思ったら母に反対された。

「だいたいあんたは安物ばかり着るんで困るよ。佐藤愛子は自分はいいものを着ているくせに、娘には安物を着せてると世間で思われたら片腹痛いよ」

と母は言う。

「好きで着てるんだよ」

 と抗議するも、さすがに

 

 

で行くのははばかられ、普通に年相応の服装で行きました。

 撮影の時はお腹をひっこめて、顔の小さいNAOさんに半歩ほど前に出てもらったけれど、同行したムスメに言わせれば「やっぱ母さんは顔がでかくて丸い」とのことだったので、雑誌を見る時は写真はできるだけ見ないようにしようと思っている。

 もし書店で目に入ったら「ああ、プーデルさんはこの時一生懸命腹をへっこめてたんだな」と思いながら眺めてください。

 

 さて、本家本元の「お話会」が前にもお知らせしました通り7月1日に開かれます。

 今回は「お話会」+「朗読劇」という企画。そこで私は今、アマゾンで短編恐怖小説を購入しては読んでいるところであります。

「背筋に冷たいものが走った」

 という文章、何度目にしただろうか。「また走ったか」と思う。登場人物の背筋に冷たいものが走る時は、読者の私の背中にも冷たいものが走ってしかるべきなのに、冷たいどころか暑い。

 ウチワ、ウチワ!! 

 麦茶、麦茶!!

 ホラー漬けの日々で、恐怖を感じる神経がマヒしてしまったようだ。

 大体、ホラー短編は思いつきが多く、登場人物も掘り下げていないからイマイチ面白くない。

 ホラーの醍醐味は中編からで、長くなればなるほど面白くなっていく気がする。

 ゴーゴリの「妖女」なんかサイコーだ。これは映画にもなっていて、タイトルは「妖婆 死棺の呪い」というぶっとんだものだった。

 子供のころ二回ほど「日曜洋画劇場」で見た。二回ともほとんど目を覆っていた。死人がむっくり起き上がって主人公を探し回るような設定は子供にはトラウマレベルの恐ろしさだった。その上、出るわ出るわ。小悪魔に魔女に妖怪がわらわらと壁から床から這い出てくる。子供の私はそのたびにギュッと目を瞑っていた。

 ところがやがてある時、私は発見したのだ。この妖魔たち、実に素朴でユーモラスなのである。まるで遊園地の「お化け屋敷」だ。ゲゲゲの鬼太郎に出てきた「妖怪の運動会」だ。ポップで楽しそうで、私は目を見開いて一匹一匹を仔細に観察した。

 高校生の時である。私は大人になっていたのだ。

 

ソース画像を表示

ロシア映画「妖婆死棺の呪い」1967年

 

 ホラー長編小説の最高峰といえば、私的にはスティーブン・キングの「シャイニング」を押したい。

 読んでいる間中、行間からあらゆる「音」が聞こえてきた。吹雪く音、無人ホテルの廊下の何かが息を殺しているかのような気配、一人で動き始めたエレベーターの機械音…、読み進めるのが怖いのにやめられなかった。私はキューブリック監督の映画を見てから原作を読んだのだが、同じく映画の影響で原作を読み始めた母にこう聞かれた。

「あの黒人の料理人(ハローラン)はどうなるの? あんた、読み終わったんでしょ。殺されるのかどうかだけ教えてよ」

 ハローランは映画の中では惨殺された。母としては死んでほしくなかったのかもしれない。母が読んでる小説の先を教えてくれと言ってきたのは後にも先にもこの時だけだ。

 とにもかくにも私はここ最近短編ホラーばかり読み、そうして恐怖小説は世界的文豪が手掛けていることを知った。

 同時にそうした本が今やほとんど絶版になろうとしていることも知った。

 今回の朗読劇はそれら消えゆく名作の中のから選ばれた数本になる。

 その数本をきっかけに私とNAOさんとで「あの世の不思議」を読み解いていこうと思う。

 いつもとは一味違うお話会だが、そこにはまた新たな発見があるはずだ。

 

                   「あの世のお話会 あの世の朗読会」

         

          場所:サラバ東京(渋谷)

          日時:7月1日 12:00開場 12:30開演~15:00終了

          前売り3000円 当日3500円(ワンドリンク付き)

 

 

 お申込みフォームはこちらです。

 

https://ws.formzu.net/fgen/S76018539/

 

 改めまして、よろしくお願いします!