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なんでも良いので、
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< 昭和58年の裁判例 >
破水したが、
羊水が緑に濁っている。
出血と羊水流出が多量、
激しい痛み。
胎児心音の確認を何度も求め、
心音をやっと確認すると、
死亡していた。
前回の記事
前回までのまとめ
【 昭和58年6月6日 】
第一子の里帰り出産の為、
Y病院に初診で受診。
週1回で受診して、異常はなかった。
【 昭和58年7月11日 】
胎児心音に異常なし。
【 昭和58年7月12日 】
21:00 破水
羊水が緑色に濁っていた。
病院に連絡して、
Y医師に入院するように指示される。
21:30 入院
Y医師がK看護師に抗生剤投与を指示。
妻Aが診察を希望するが、
K看護師が断る。
・「陣痛が起こってから」
・「夜間の診察は無理」
その後トイレに2回行き、
多量の出血と羊水が出てきた。
K看護師に診察を要請するも、
「夜間の診察は無理」と断る。
23:00 ナースコール
・陣痛が3〜10分に短くなったので、
診察を希望した
▶︎ K看護師が「まだ無理」と断る
・一方、Y医師が妻Aの状態を聞く
▶︎ K看護師は、
「まだ陣痛が不規則」のみ答える
【 昭和58年7月13日 】
0:00 K看護師のY医師への報告
「規則的陣痛があり、羊水・出血が少量」
▶︎ Y医師は経過観察を指示
1:00 ナースコール
・ 診察を希望する
▶︎ K看護師が「まだ無理」と断る
3:00 診察と心音確認を強く要求
▶︎ K看護師が断る
5:00 診察と心音確認を強く要求
▶︎ K看護師が断る
6:00 K看護師からY医師への報告
「4分おきの陣痛、出血少量、
付き添いの母が診察を希望している」
▶︎ ブスコパン注射と、心音確認を指示。
尋常ではない痛みが続く
6:30 ナースコール
「どう見ても異常だから、
お願いだから心音の確認をしてほしい」
と懇願する
▶︎ K看護師が心音を確認すると、
すでに心音は消えていた。
6:38 Y医師も心音の消失を確認、
子宮内胎児死亡を確認した。
11:40 陣痛促進剤を投与
13:45 死産児(女)4450gを出産
臍帯真結節があった
▶︎ 臍の緒に結び目がある状態。
22.その後の説明
⬜︎ その後のY医師と、
医師会の担当者との話し合いは、
「看護師から連絡がなかったため診察しなかった。
死産の原因は臍帯真結節で、
診察しなかったことと、
死産との間に因果関係はない。
ただ診察しなかった点について、
見舞金を払いたい」
という説明であった。
23.裁判を起こす
⬜︎ 妻Aと夫Bは、
Y医師を相手に裁判を起こした。
⬜︎ 総額1160万円の損害賠償を求めた。
広島地方裁判所昭和62年11月27日判決
判例時報1287号124頁
24.裁判所認定の医学的情報
裁判所が認定した医学的知見。
*昭和58年時点*
⬜︎ 臍帯真結節とは、
臍帯(臍の緒)が結ばれたもののこと。
⬜︎ 妊娠早期に、
胎児運動が比較的自由で、
臍帯が長いとき、
胎児が臍帯の輪を通過すると起こるとされる。
⬜︎ 無害に経過する場合もあるが、
臍帯血行障害で、
胎児死亡になることもある。
25.臍帯真結節での死亡
裁判所が認定した医学的知見。
*昭和58年時点*
⬜︎ わが国では発生頻度が、
0.14〜0.75%とされ、
約0.5%くらいする文献もある。
⬜︎ 臍帯真結節の危険性の度合について、
ある文献では、
「妊娠中、
特に、早期に臍帯真結節が発生し、
胎児運動によって、
結節が固く結ばれると胎児死亡の原因となる、
しかし、
通常は鬱血程度で、
血行が遮断されるほどの強い締め方は稀」
と説明している。
26.分娩監視装置の普及
裁判所が認定した医学的知見。
*昭和58年時点*
⬜︎ 最近では、
分娩監視装置(NST)の進歩によって、
胎児の心拍数の変化を、
継続的に観察することが可能となった。
⬜︎ 胎児心拍数の詳細な分折が可能になり、
胎児にとって、
比較的危険の少ない徐脈や、
血管が圧迫された場合に起こる、
特徴的な徐脈などを、
診断することが可能になった。
27.胎児の心拍数計測
裁判所が認定した医学的知見。
*昭和58年時点*
⬜︎ 臍帯の下垂、脱出、巻絡、結節などがあると、
分娩中に臍帯が圧迫されやすい。
⬜︎ その際には、
臍帯血管の圧迫で血流障害が起こり、
胎児に低酸素症や循環障害が起こり、
徐脈が起こる。
⬜︎ 分娩監視装置がない場合でも、
胎児の状態の監視のためには、
胎児心拍数の計測は不可欠で、
これ以外に、
胎児の状態を診るものはない。
28.臍の緒の結び目はわかるか
裁判所が認定した医学的知見。
*昭和58年時点*
⬜︎ 内診は、
臍帯真結節の診断や予測には、
直接の役にたたない。
⬜︎ 臍帯真結節は、
胎児娩出で確認するまでは、
いまだ確診不能。
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