『ひとり狼』 読書感想文について考える | 少~し酔ってます。

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縦歩きのカニの日常

第一志望の高校に受かったサラは、早速その高校から春休みの課題を出されたそうである。

それが内容、量ともに結構大変だという話をした時に、先ず彼女が挙げたのが「指定された25冊の本の中から、2冊を選んで読書感想文を書く」という課題だった。

恐らく数ある課題の中から、それを挙げたくらいだから、サラにとっては余程重たいタスクなのだろう。

それはよく分かる。

僕も苦手だったなあ、読書感想文。

読書感想文が好きな宿題だったって人、いないんじゃないかなあ。

(そもそも宿題が好きな子供がいないだろうが)

 

丸谷才一さんが、「読書感想文を書かせることが、子供を読書嫌いにする」というようなことを書いているのを読んだ時、僕は諸手を挙げて「この人について行こう」と思ったものだ。

全く、あんなものがあるお陰で、せっかくの楽しい読書が憂鬱な作業に変わってしまうのだ。

 

サラよ、楽しんで読めば良い。

或いはつまんねえなと思って読んでも良い。

感想文など、好きなこと、思ったことを書けば良い。

「漱石を読んでいるうちにマックが食べたくなった」でも「村上春樹は眠くなる」でも、なんでもいい。

 

 

市川雷蔵を観た。

 

 

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つい古い映画を手に取ってしまう。

理由を考えたら、一つ浮かんだ。

 

僕は映画に出てくる古い風景が好きなのではないか。

手つかずの自然とまで言わなくても、雷蔵の佇む宿場町も、ジーン・ケリーの踊るニューヨークも、小津の描く銀座も、みんな妙に落ち着く。

そこに居たいと思わせる。

 

先年、再開発の進む渋谷に行ったが、あれほど醜い街を見たことがない。

アステアの映画を観た円山町のあたりはまだ良かったが、駅前の高層ビルの愚かしさは目を覆いたくなる。

老いることに耐えられず整形を重ねる悲しい女か、真珠を埋めて喜んでいる馬鹿な男か。

 

あれだけ削ったり掘ったりすれば、地球だって面白くなかろう。

だいたい「Save The Earth」などというのは、人間の驕りだ。

人間などに守られなくても、地球は平気の平左だ。

寧ろ人間がいなくなれば、数万年ほどの短期間でオゾン・ホールは消え、マイクロ・プラスティックは分解され、植物は茂り、動物は平和に暮らすようになるだろう。

守るべきは地球じゃない、本当に危ないのは人類自身なのだ。

「いつまでもこの体内で安楽に暮らしたい」と願いながら、宿主を蝕んでいるウィルス・・・それが我々なのである。

いつまでも増殖、増長していれば、地球だってワクチン打つよ。

その前にウィルスが勝手に死滅しそうだが。

 

以上が池広一夫監督、市川雷蔵主演の映画『ひとり狼』を観た僕の感想です。

映画はとても面白かったです。