今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。


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ハーパーコリンズ社から4/15(土)に発売予定の小説本。偶然見つけたこちらの「読者モニター」に当選し、一足先に読ませて頂く機会を頂きました。こちらの本の詳しい情報は、出版社のサイトでどうぞ^^。

 

暫く読むうちに、あぁ、やっぱりやってしまった・・・思わず頭をそんな言葉がよぎりました。人間は、小説や映画の登場人物に自分の経験や状況を投影し、時に激しい反応を示すものです。小さなお子さんを持つ親ならば、子供たちが理不尽な目にあったり虐待されるシーンを冷静に受け止められないでしょうし、恋愛中の人は物語の中の恋人たちの関係に感情移入せずにいられないでしょう。同じように私は動物、特に犬が出てくる物語に過敏に反応してしまいます。


例えフィクションの世界でのほんのヒトコマの出来事でも、犬が無残に殺されたり酷い目にあったり、死んだりする場面には耐え難く、できるだけその類の物語は避けるように慎重に作品を選ぶ癖があります。だから最初はこの小説も手に取るのを少し躊躇しました。きっと愛に溢れた内容に違いないけれど、絶対に号泣してしまうしキツい・・・これは避けた方が自分の精神衛生上は懸命なのではないか・・・そう思いながらも、どうしても読んでみたい誘惑に駆られてしまいました。その理由の半分は、どうしてもこの表紙や特設サイトに掲載されたわんこ(リリー)のイラストから目がそらせず・・・とくにこの表紙イラストの表情・・・確実に、この視線、見たことがあります(笑)。もうとても他人とは思えず、読まずにいられませんでした^^;。

 

そして「やっぱり・・・!」何度も何度も、泣かされてしまいました。物語に登場する犬のリリーが苦しそうだったり哀しそうだったりするシーンは勿論ですが、それ以外のなんてことない日常のヒトコマやちょっとした動作の描写ひとつに、思いがけないポイントで自然と涙が込み上げてくるのです。そして、泣くだろうと思いつつ読んで、まんまと予想した以上に泣いてしまって、読んだことを後悔したかというと、自信をもって「否」と言えます。

 

胸が張り裂けそうに哀しい気持ちにもなりましたが、それ以上に、リリーの生き生きとした姿、溢れる愛情、命のすばらしさに心を打たれ、主人公テッドと共に自分自身の心も再生されていくような清々しい感動が最後に残りました。だからまた人は、誰か(人間でも動物でも)を愛し、人生を愛し、前に進んでいけるんだなよなぁ、と思います。

中心となる登場キャラクターは、主人公テッドと、愛犬リリーと、リリーの頭に張り付いたインベーダー(侵略者)であるタコ。海にいる8本脚のタコです。Octopusのタコ!【愛犬の頭にある日「タコ」が張り付いていた】・・・「朝起きたら蜘蛛に変身していた」にも匹敵する奇想天外な驚きの仕掛け。しかも、犬のリリーはともかく(実際に犬はその目としぐさと声色で実に多彩に人間と会話します)その「タコ」とまで主人公テッドは会話してみせて、果ては大海原で白鯨に挑むがごとく対決までしてしまいます。ついでにこの「タコ」が、実に知性が高く皮肉屋でにくったらしいことこの上ない。いったいこの冒険がどこにどうやって帰着するのか、どうしても気になって夢中で読み進めてしまいました。

家族にではなく、初めて”自分に”属するトイ・プードルの犬を迎え入れた時は、まだ彼が若いうちから「もしもこの子が病気になったら・・・」「もしも死んだら」と想像しただけで哀しくて涙がこぼれる日々でした。そのトイ・プードルが17歳10か月で天国へ旅立つのを見送ったのが数年前。そして今は、リリーとそっくりな(毛質は異なりますが)今年11歳と6歳になるミニチュア・ダックスフントと暮らしています。そんな私がこの物語に感情移入しないわけはないのですが、犬と暮らしたことのある人間なら、私と同じようにリリーとテッドのやりとりやリリーの行動の全てがとてもリアルに目の前に再現されると思います。

ですが犬と暮らしたことがなくても、犬より猫派でも、動物が好きじゃなくても、「犬と人」という縛りを超えた、「愛する対象」「大切な存在」との愛情と信頼と絆、生きることのすばらしさ、喪失、喪失からの再生、そして続いていく人生。そういった普遍的なテーマに深く共感し心を打つ物語だと思います。溢れんばかりの愛情と感動が込められた小説ですが、決して押しつけがましくもじめっぽくも暑苦しくもないところも魅力です。

”長年の恋人と破局した後新しい恋愛に踏み込めないままでいる、ロサンゼルス在住のフリーのライターで、ゲイで、アラフォー”という設定に相応しく、ちょっと羨ましくなるようなビーチの側のお洒落で優雅な日常、シニカルとウィットと辛辣と気楽さの絶妙なバランスがとてもセンスのよい読み物に仕上がっています。テッドのライターという職業、ロスというロケーションもあってか、映画や小説、詩を含む文学の引用がふんだんなのも楽しかったです。

個人的にとても気に入っている箇所が3つあります。ひとつは、テッドとリリーが毎週木曜日に「好みの男性のタイプ」について語り合う習慣。特に「どっちのライアンがタイプか」?がテーマの時は、ちょうど『ラ・ラ・ランド』ライアン・ゴズリングを、『黄金のアデーレ 名画の帰還』でライアン・レイノルズを偶然にも観たばかりだっただけに、自分もテッドとリリーに一緒にその議論に参加して楽しんでいる気分になりました( *´艸`)。

 

ふたつめは、私も好きだった番組『アクターズ・スタジオ・インタビュー』の定番コーナー「10の質問」でイーサン・ホークが「好きな音楽は?」という問いに「子犬のため息」と答えたというエピソード。子犬の、ため息!あぁ~っわかるわかるわかる!と鼻息荒く一人で頷いていました。会ったこともない(当然)イーサン・ホークが、自分と同じものを知っているという親近感に対する喜びと、しかもそれを「好きな音楽」として例えるセンスに、一気にイーサン・ホークのことが大好きになってしまいました(笑)。「子犬のため息」とは何ぞや?についての説明は割愛させていただきます。ぜひ本文でご確認ください^^。


そしてみっつめは、テッドが(作者が)引用するバイロンの<犬に捧げる墓碑銘>という詩です。 「ここにひとつの亡骸が眠る。美しかったが虚栄を持たず、強かったが傲慢ではなく、勇ましかったが残忍ではなく、人の全ての美徳を具えながら、悪徳には染まらなかった」欧米人って、結構「詩」の引用しますよねー。何気に普通に博識で優雅だなぁといつも感心。私もイェーツとかちゃんと勉強してみたいと思いつつ中々腰が重く・・・でもこのバイロンの詩も、いつか原文で全部読んでみたいです。

 

犬好きの人も、動物に興味のない人も、全ての人に読んでもらって感動と幸福感をシェアしたいと思う1冊でした。時々こんな美しいもので自分の淀んだ性根をお洗濯しなくちゃな・・・としみじみ実感しました^^;。

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