西加奈子さんの『 i 』を読みました。


「この世界にアイは存在しません。」
入学式の翌日に数学教師に告げられた言葉が、ワイルド曽田アイに衝撃を与え、長くその胸に居座り続ける。


何度も何度も中断し、それでも離せずページを開き、強く惹かれるわけでもないままに“読み切らない”を選択できなかった一冊。


「この世界にアイは存在しません。」
呪縛のように纏わりつき、生き進むにつれて強度を増す。一人の人の、心のヒダの奥にあるはずの、まだ見えず、もしかしたらないのかも知れない、正解も不正解もない、深い本音を追った長い長いメンタルドキュメンタリーのようでした。


比較し、矛盾を肯定し、想像し、抱擁して。


ありがとうございます。