業音

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「業」とは...

宗教的な意味などいろいろあるが、

「 理性によって制御できない心の働き」というのもその中の意味のひとつだ。

このお芝居はその部分...悪いと思っていながらもそれを止められない人間の話。

 

 

母親の介護をしているということをネタにして

芸能界に歌手デビューしようとしている女がいる。

その女とマネージャーが車に乗っている時に人をひいてしまう。

またそこに居合わせた人々が一筋縄ではいかない業の持ち主達で、
様々な人々の終わりのない人間の業の共演が始まる。
人々は、欲しいものを手に入れては失い、そしてまた手に入れては失う。
そうこうしているうちにだんだん面の皮が厚くなってくる。
そして人間の業は死ぬまで続く。
 
 
この物語の中には、神様の話がよく出てくる。
神はいるのかいないのか?
神は人間にとって必要なのか要らないのか?
そもそも神は善なのか悪なのか...?
そんなことを考えみてもしょうがない。
人間は欲望の赴くまま業を重ね、
その不協和音を世の中に奏で続けるような気がする。
私も多分気づかないだけでそんな人間のひとりなのだろう。
いや、気づいているのかもしれない。
(自分のことは見ないふりをするのも人間の得意とするところだ)
神などいてもいなくても、善でも悪でも、
明日も人間は変わらず欲望に埋もれながら生きていくのだろうと、このお芝居を観て思った。
 
松尾スズキさん演出の芝居は必ず観ている。
いつも傷に塩をサラリと塗りつけるような辛辣さが好きなのだけど、
今回の塩梅はいつもとちょっと違っていて、かなり私の傷の沁みこんだ気がした。
誰も助けてくれない。
なぜなら、誰もが問題児だから。
卑しくも、滑稽にも、人間らしいお芝居だったなと思う。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
-- 絲和 --
 
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