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本や映画が好きというだけでここに記録しています。
作品に点数をつけたり、評論家気取りや監督気取り、
または似非作家気取りなどの無粋な真似はいたしません。
以って、カーテンコールはリアルな拍手でお願いね。


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  • 12 Oct
    • ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気

      実話だ。15年前のニュージャージー州、同性愛者であったステイシーとローレルがいた。年の差もあり、生活の差もある。同性愛者のバレーボール交流会で知り合う。最初は年の差や職業の違いなどからギクシャクしながら付き合っているが、1年後彼女らは家を買って二人で生活し始める。ステイシーは自動車整備工場で働き、ローレルは腕利きの刑事だ。偏見を持たれながらも二人で楽しく暮らしていたが、ローレルが末期ガンにになってしまう。ローレルは献身的に介護するステイシーに遺族年金を残してやりたいと思うが、法律がそれを許さない。そして権力を握る人たちがそれを許さない。病気と闘いながら世間の偏見や法律と闘っていく二人の姿が描かれていた。今では同性婚と聞いても(いい意味で)なんとも思わなくなったが、15年前のアメリカはまだこんなだったのかとびっくりした。私がニューヨークに住んでた頃、私の周りに同性愛者は大勢いた。最初はびっくりしたが、話してみるといたって普通で礼儀正しくて優しい人たちが多かった。学校にも、近所にも、仲の良さそうな男性カップルや女性カップルがいた。そしてそれはなんら不思議ではない光景だった。でも楽しそうに生活する彼ら彼女らは、私の知らないいろんなところでいろんな場面で偏見の目に晒されていてのだなぁ〜と改めて思った。途中はハラハラしながら観ていたが、最後はやっぱり泣いた。人を愛することは、男同士、女同士、男と女、なんら関係なく素晴らしいことだ。そして愛し合う者同士は苦しみもちゃんと分かち合う勇気もある。この映画で思い出したのがショーンペンの「MILK」という映画。あれも世間や法と闘う映画だった。皆、闘っている。愛のために闘えるって羨ましい。もう一度言おう。マイノリティに愛を...マイノリティに希望を...観てよかった。ジュリアン・ムーアはいい。いい感じ(若作りしない)に年を重ねてらっしゃる。-- 絲和 --

      32
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  • 29 Sep
    • ルビンの壺が割れた

      新しい手法の作品だ。最初から最後まで、ひとりの男とひとりの女のフェイスブックのメッセージのやりとりだけで始まりそして完結する。水谷一馬は28年前に結婚まで約束して逃げられた女性(未帆子)をフェイスブックで偶然(?)見つけてメッセージを送る。その文面から物語は始まる。文面は共に過ごした大学時代を懐かしむほのぼのとした内容だったが、返事をもらい幾度となくメッセージのやり取りをしていくうちに、懐かしい過去を思い出すやり取りから徐々にお互いの本性を打ち明ける文面へと変化していく。そして、最後には想像もつかないこのふたりの真実がこのメッセージ上で明らかになる。水谷一馬と未帆子。このふたりの関係性が最初から何となく妙な感じで引き込まれていくが、途中から「おやっ、不穏な空気が...」と思えてくる。興味が徐々に恐怖感へと変わってくる。最後は「えっ!」と思って終わる。読後しばらくして怖さが蘇ってくる感じだ。ふたりのメッセージを読むだけの物語であるが退屈はしなかった。むしろ、男と女の感情の違いやら怖さやらがひしひしとわかる作品だった。 ルビンの壺が割れた Amazon -- 絲和 --

      33
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  • 27 Sep
    • 怒り

      映画「怒り」を観た。目を背けたくなるような残忍な殺人事件現場から物語は始まる。夫婦が自宅で殺害された。1年間、犯人は顔を整形して逃げ続けている。この時点でこの殺人事件が今後のストーリーにどう関わってくるのかわからないが、場面はまた違ったストーリーを映し出している。東京と千葉と沖縄に3人の男がいる。住所不定無職の大西直人(綾野剛)。前歴不詳のアルバイトの田代哲也(松山ケンイチ)。無人島に籠って生活する田中信吾(森山未來)。それぞれ過去に何かあり、過去を隠して生きている。この3人は何の関わり合いもない者同士だが、唯一共通点があるとすれば、殺人事件の犯人である「山神」という男に似ているということだ。それぞれの生活がある。それぞれに関わりを持つ友人や知人がいる。犯人である山神の整形後の写真がテレビで公開された。この3人の周りにいる人間たちは心が騒つく。「似ている」「でもまさか...」「彼を信じている」「いや、信じられない」を繰り返す。犯人は誰なのか?誰もが怪しく、誰もが誠実。本当の犯人は誰なのだ。疑われる者の悲しみ。疑わざるを得ない者の悲しみ。そして信じて裏切られた時の怒り。そんな感情が画面いっぱいに広がる。怒りはゼロからは生まれない。でも怒りの種はどこにでもある。誰もが持っている。不条理にもこの世には腐るほど種はある。この映画を観て、この世は怒りと悲しみで作られているのだなぁと思った。監督:李相日原作:吉田修一脚本:李相日出演:渡辺謙 森山未來松山ケンイチ綾野剛広瀬すずピエール瀧三浦貴大佐久本宝高畑充希原日出子池脇千鶴宮崎あおい妻夫木聡 他-- 絲和 --

      29
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  • 23 Sep
    • 業音

      「業」とは...宗教的な意味などいろいろあるが、「理性によって制御できない心の働き」というのもその中の意味のひとつだ。このお芝居はその部分...悪いと思っていながらもそれを止められない人間の話。母親の介護をしているということをネタにして芸能界に歌手デビューしようとしている女がいる。その女とマネージャーが車に乗っている時に人をひいてしまう。またそこに居合わせた人々が一筋縄ではいかない業の持ち主達で、様々な人々の終わりのない人間の業の共演が始まる。人々は、欲しいものを手に入れては失い、そしてまた手に入れては失う。そうこうしているうちにだんだん面の皮が厚くなってくる。そして人間の業は死ぬまで続く。この物語の中には、神様の話がよく出てくる。神はいるのかいないのか?神は人間にとって必要なのか要らないのか?そもそも神は善なのか悪なのか...?そんなことを考えみてもしょうがない。人間は欲望の赴くまま業を重ね、その不協和音を世の中に奏で続けるような気がする。私も多分気づかないだけでそんな人間のひとりなのだろう。いや、気づいているのかもしれない。(自分のことは見ないふりをするのも人間の得意とするところだ)神などいてもいなくても、善でも悪でも、明日も人間は変わらず欲望に埋もれながら生きていくのだろうと、このお芝居を観て思った。松尾スズキさん演出の芝居は必ず観ている。いつも傷に塩をサラリと塗りつけるような辛辣さが好きなのだけど、今回の塩梅はいつもとちょっと違っていて、かなり私の傷の沁みこんだ気がした。誰も助けてくれない。なぜなら、誰もが問題児だから。卑しくも、滑稽にも、人間らしいお芝居だったなと思う。-- 絲和 --

      31
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  • 11 Sep
    • ほとりの朔子

      昭和の映画によくあったような、のんびりした雰囲気で物語は始まる。朔子(二階堂ふみ)は大学受験に失敗した浪人生。夏、叔母さんの田舎で過ごすことになった。そこで出会う人々と様々な人間の感情。福島の原発問題や叔母さんの幼馴染の友人や不倫問題を絡めた人間関係。何もこれといったポリシーのない若者の行き場のない感情...など。取り立てて大きな事件が起こるわけでもないが、ちょっとした人と人の感情のすれ違いや不穏な空気。前回観た深田監督の「淵に立つ」のような恐怖感があるわけではないが、心にモヤッと黒い雲がかかるようなイライラ感は否めない。その黒い雲はすっきりと晴れることはない。まぁ、そもそも100%すっきりと晴れた心の持ち主なんかこの世にはいないのだけど...ほとんどの人間は、それほど大それた野望など持っていなくて、与えられた場所と環境で細々と暮らしている。ただその細々さの中にも時々、意地悪にも黒い雲が押し寄せてくる。二階堂ふみさんは台詞のない場面での存在意義がすごいと思った。画面にちらっと映る彼女の雰囲気がそのシーンに欠かせない人間の感情を表現していた。深田監督の映画には欠かせない古舘寛治さんや太賀さんも、やっぱり怖いくらいに上手い。台本のある台詞ではあるけど、ドキュメンタリー映画を観ているような錯覚を覚えた。初公開:2013年10月19日監督:深田 晃司音楽:Jo Keita撮影:Kenichi Negishiキャスト:二階堂 ふみ、杉野 希妃、鶴田真由、太賀、古舘 寛治、小篠恵奈、渡辺 真起子、想田 和弘、志賀 廣太郎、Takashi Ohtake-- 絲和 --

      34
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  • 07 Sep
    • あなたが子供だった頃、わたしはもう大人だった

      平山とユキコの老夫婦の話である。でも、妻・ユキコはもういない。平山はひとりで思い出す。子供の頃のことやユキコさんとの生活や会話を...平山夫婦は12才の年の差がある。妻のユキコの方が年上である。東京郊外の坂の上にある戸建て住宅を買って長年住んでいる。二人はよく話をする。昔のこと、今のこと、年老いていく自分たちの将来のこと。他愛のない日常のこと、ここに深く残ること。そして平山は誰に語るわけでもなくいろんなことを思い出す。子供の頃のことや両親や学生時代の先生のこと...それはちゃんとした事実に基づいた記憶か、自分で無意識に捏造したものか、自分でもわからないが、平山は断片的に、時には詳細に昔のことを思い出す。懐かしいような切ないような...そんな気分にさせられた。青臭いと思いながらも「人生って?」と考えてしまう。長いのか短いのかわからない人間の一生。年老いて思うのは、改ざんされた思い出と本当の思い出の入り混じったあやふやな思い出なのかもしれない。あの時はこうだった(たぶん...)あの時の会話はこうだった(と、思う...)あの人はこう言った(だったような...)というふうに。改ざんされた思い出は時には優しく、時には厳しく、現在の自分に詰め寄ってくる。しかし思い出が事実であれどうであれ、私たちは思い出なしでは生きていくのに寂しすぎる。我が家も平山夫婦のように子供はなく夫婦二人だけだ。年老いて体も自由に動かなくなった時、どんな思い出話を夫婦でするのだろうと思う。少し不安であり、少し楽しみでもある。とても良い本だった。じっくり人生を考えることができる。誰にでもやってくる自分の人生の終末のための... あなたが子供だった頃、わたしはもう大人だった Amazon -- 絲和 --

      37
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  • 19 Aug
    • 淵に立つ

      淵に立つを観た。金属加工の小さな工場を営みながら平凡に暮らしてきた家族(鈴岡家)があった。夫・利雄(古舘寛治)と妻・章江(筒井真理子)と小学生の娘・蛍(篠川桃音)の3人家族。平穏な暮らしを送っていた家族の前に、利雄の昔の友人である八坂(浅野忠信)が工場を訪ねてきた。八坂は罪を犯して刑務所にずっと入っていて最近出所してきたようだった。利雄は八坂の願いを受けて、工場で働かせて自分の家に住まわせることにした。そして家族3人と八坂の4人の生活が始まる。最初は警戒心を抱いていた妻と娘だったが、礼儀正しい振る舞いをする八坂に次第に好感を抱くようになる。しかし、この頃から家の中で不穏な空気が流れ始める。果たして八坂の礼儀正しさは本当なのか?八坂と利雄の関係はただの旧友というだけなのか?ある日、八坂はとんでもないことをしてこの家から姿を消す。8年後、夫婦は八坂を探しながら重苦しい気持ちで生きていた。それぞれがそれぞれの闇(罪とも言えるかも)を抱えながら...闇を持たない人間はいない。それを踏まえて観てみると、至る所に「不穏」が漂っている。具体的にどこがどうという演出ではなく、何気ない男の後ろ姿や、ちょっとした会話の端々や、ちょっとした目の動きに「さぁ、何が起きても不思議じゃない」感がある。一言で言えば、決して後味の良い作品ではない。誰も笑わない。誰も幸せではない。闇は罪人間はなんて罪深い生き物なんだろうと思う。そして全ての役者の演技力が素晴らしく怖い。この作品の底知れぬ怖さは、役者の技量の怖さでもある。カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞した人間ドラマ。「ある視点」というのが気になって観始めた。誰の視点とかいうのではなく、何か目に見えない何者かの視点なのだろうと、観終わってから思った。英題:Harmonium2016/日本、フランス 上映時間119分監督・脚本:深田晃司出演:浅野忠信、筒井真理子、古舘寛治、太賀、篠川桃音、三浦貴大、真広佳奈 他-- 絲和 --

      36
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    • カウントダウン

      面白くて一気読みした。亜希子。50歳。独身。以前は結婚していたが、実の妹に夫を寝取られてしまう。「お掃除コンシェルジュ」としてテレビや書籍なのでちょっとした有名人であるが、ある事故がきっかけで亜希子は「甲状腺癌。余命半年」と宣告される。それから半年をかけて亜希子の終活が始まる。お掃除コンシェルジュというわりにはゴミ屋敷のような部屋の片付けや、過去にムカついた相手や自分の夫を寝取った妹との決着。そういうことも終活に含まれていた。亜希子の望みは「名誉ある"戦死”」どうせ死ぬならかっこよく死にたい。彼女の周りの個性的な登場人物たちと彼女自身のハチャメチャな思考とで人が亡くなるという不幸なストーリーではあるが笑いの絶えない作品だった。伏線の面白さもあり、さすがに真梨さんはイヤミスは小気味いい。そしてつくづく思ったのだが、女というのは、女というだけでどうしてこうも自分本位にしか生きれないのだろうか。-- 絲和 --

      15
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  • 03 Aug
    • 笹の舟で海をわたる

      60才代半ばになった左織は、ひとり高齢者用マンションで暮らしている。左織の人生には風美子という女性の存在が常にあった。その風美子との出会いを思い出している。左織は22才の時、戦後の好景気に湧く銀座のデパートで、矢島風美子と名乗る女性から突然声をかけられた。「坂井左織さんでしょ?」風美子の話では、左織と風美子は小学生の頃に疎開先で一緒だったらしい。左織に優しくされたことがずっと忘れられなかった。今、偶然見かけて声をかけたと説明する。しかし左織は、疎開していたことは事実だが風美子のことは全く覚えていなかった。そこからこのふたりの付き合いが始まるが、何かにつけて左織の生活にお節介を焼く風美子に何かしら疑いの目を持って見ている。左織の結婚相手の温彦の弟と風美子は結婚し、ふたりは義理の姉妹となる。縁も深まるが、左織は何か納得がいかないモヤモヤを常に抱えている。進歩的な考えを持って自分の夢を次々と実現していく風美子。保守的でただ平凡な家庭を築き、平凡に暮らしていきたいと願う左織。その左織の生活に多方面から入り込んでくる風美子。風美子には何か目的があって左織に近づいたのか?それとも、そんなものはなくただ本当に偶然だったのか....。ひとりの女性の人生を見たような気持ちになった。左織がかわいそうでならなかった。確かに左織の考えも今の時代から思えば頑な過ぎるところもあるが、風美子に出会わなければ、左織はもっと自分の思い描く生活ができたのではないか...戦後という時代背景も関係しているにはいるが、人生の中で大きな幅を持たせる人物との出会いは重要だ。良いようにも悪いようにもなる。相手を拒絶することができるほどの強さを持っていれば別だが、左織のように不穏に思っていても拒絶できない人間もいる。でも、そういうことも含めて人生だ。切ないなぁ。今がしあわせのように見えても、そんなものはすぐに日常の煩雑に紛れてしまう。しあわせは点のようなものなのかもしれないと左織は考える。線のようには続かない。あらわれてはすぐに見えなくなる。後半に出てくるこの言葉を読んで、切なさに涙した。 笹の舟で海をわたる (新潮文庫) Amazon -- 絲和 --

      31
      テーマ:
  • 31 Jul
    • ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常

      K・パターソンの小説「ガラスの家族」を映画化した作品。実の母親と一緒に暮らせないために里子として、里親の元に預けられる少女ギリー。ギリーは何かにつけて反抗的で、育った環境のせいもあるのだろうがとてもひねくれている。人の優しさを素直に受け入れることができなくて皮肉や嫌味を相手に返す。そのために、どこの里親のところにいっても長続きせず、今まで転々としている。「もうここが最後、ここがダメなら施設に入ってもらう」と福祉の人に言われメイム家に引き取られる。それでも反抗的な態度を直そうとしないギリー。でも養母は優しくギリーを諭す。でも優しくされればされるほど、反抗心がパワーアップしていく。実の母親がいつか迎えに来てくれることを夢見ているが、我慢しきれずに、お金を盗んで母親に会いに行くために家出してしまう。でも、ギリーは...この年頃というのは、誰でも不機嫌なものである。思い出せば、私も毎日不機嫌であった。理由がある時もあれば、理由なく不機嫌な日もあった。しかし、それを見て見ぬしてくれた大人たちがいる。そのときは気がつかないけど、今になってやっとわかるようになった。やはり大人には包容力がある。ここに出てくるギリーを取り巻く大人たちも包容力満載の人たちばかり。ギリーがそれに気づくのには長い時間がかかるのだが...見せかけの愛や同情では人の心は変わらない。ましてや、血の繋がりなどでも変わらない。包容力なのではないか...と、この映画を見て思った。ギリー・ホプキンスの不機嫌な日常原題/The Great Gilly Hopkins制作年/2016制作国/アメリカ内容時間(字幕版)/98分ジャンル/ドラマ出演メイム・トロッター/キャシー・ベイツハリス先生/オクタヴィア・スペンサーノニー・ホプキンズ/グレン・クローズギリー(ガラドリエル)・ホプキンズ/ソフィー・ネリッセコートニー(ギリーの母親)/ジュリア・スタイルズ他-- 絲和 --

      26
      テーマ:
  • 26 Jul
    • 森山中教習所

      能天気で行き当たりばったりの大学生・清高とどこか覇気のないヤクザの組員・轟木。かつて彼らは高校の同級生だったが、ほとんど接点はなかった。ある夜、ちょっとした事故がきっかけでふたりは再開し、同じ自動車教習所に通うことになるのだが...そこは非公認教習所で、良心的だがどこかすっとぼけている。そこを舞台にふたりの若者のひと夏が始まり、そして終わっていく物語。何かが起こる!というようなドキドキ感はないが、登場人物のそれそれが、静かに笑わせてくれる。そして、みんな何かを抱えて生きているのだということ。それを紛らわすように生きているのだということ。男女の「好き」だの「嫌い」だのとかいう青春映画よりよっぽど切ない。男同士だからかなぁ、ネチネチしない切なさが良かった。「この夏は楽しかったよ」と真顔で言えるような青春を過ごしてみたかった。なんてね...森山中教習所出演:野村周平、賀来賢人、麻生久美子、岸井ゆきの、根岸季衣、ダンカン、光石研 他監督:豊島圭介原作:真造圭吾主題歌:星野源-- 絲和 --

      32
      テーマ:
  • 19 Jul
    • ヤング・アダルト・ニューヨーク

      40代夫婦ジョシュとコーネリア。自分たちはまだ若いつもりでいたが、なんとなく生活に刺激がないのは自覚していた。そんなある日、ジェイミーとダービーという20代夫婦と知り合う。自由でイキイキと生活する彼らを見て刺激を受ける。刺激を受けて若い彼らの趣味趣向に傾倒していく。それは若い刺激を参考にてそれを自分たちのもににするということではなく、ただ若い人の真似をすることで自分も若くなったような錯覚をしているだけのようだ。そしてジョシュとコーネリアは同世代の友人たちからも愛想をつかされ....年を重ねると、若い人たちを羨ましく思う。それは誰でもそうであり仕方ないことだ。自分の時代より自由を謳歌しているような気がするし、何を選択して何を選択しないかがはっきりしている。あえて古いものを選択して「レトロ」というセンスも持ち合わせている。必死で新しいものを追い求める40代とはそこのところに差が出る。「いいなぁ、今の若い人は...」とつい呟きたくなる。でも滑稽だ。今まで生きてきたプライドや経験などおかまい無しに若い子の真似をする。自分の生きてきた歴史を覆してまで若者に媚を売るのは滑稽でならない。うまくミックスできる賢さを活かせると素敵なミドルエイジになれるのに。余談だが、この映画の主人公たちのように、40代というのは鬼門だ。30代はまだ自分は若いと思っているし、50代になるともう諦める。そんな中、40代はまだ頑張ればまだ若い部類に入れるのではないかという幻想を抱く。それと、若い子はいつの時代も「合理的」であるということを忘れてはならない。製作国:アメリカ 上映時間:97分 製作年:2014年監督・脚本・製作:ノア・バームバック キャスト:ベン・スティラー / ナオミ・ワッツ / アダム・ドライバー / アマンダ・サイフリッド / チャールズ・グローディン / アダム・ホロヴィッツ 他-- 絲和 --

      32
      テーマ:
  • 18 Jul
    • 豆の上で眠る

      これは「一気読み」というのだろうか...途中でページを閉じることができないくらいに惹きこまれた。主人公である結衣子と同じように、隠された「何か」を追うように、私もある意味「本物探し」をしているような気分で読んだ。姉・万佑子(小3)と妹・結衣子(小1)は仲の良い姉妹だった。見た目や性格は少し違うものの、いつも一緒に遊んでいた。ある夏の日、遊びから家に帰る途中で万佑子が行方不明になる。警察やマスコミを含め家族はあらゆる方法で探すが、ほとんど情報が得られないまま2年が経過した。そしてまる2年たった夏の日、自宅近くの神社で万佑子が保護された。衰弱していて病院に入院した万佑子を見て、結衣子は言葉では言い表せない気持ち悪い違和感を感じる。「この子はお姉ちゃんじゃない...」と。そこから結衣子の長い長い疑惑と葛藤の日々が始まる。ハードなサスペンスやミステリーでもないのだけど、じわじわと部屋の隅から近寄ってくる闇のようなものがページをめくるたびに現れる。大人達の微妙な感情や、子供達の無邪気な悪意など、見過ごせばそれで済むかもしれないことが、非日常に置かれると全てが地獄への入り口のような気がしてならない。でも真実を知りたいような、知りたくないような、あるいは、知らない方がいいような...複雑な気持ちにさせられる。これは主人公・結衣子とて同じだろうと想像する。物語の中で「えんどうまめの上にねたおひめさま」という絵本が登場する。ほんとうのおひめさまを探し求める王子様の話だ。行方不明事件が起きる前、万佑子が結衣子に読んでやった絵本だ。結衣子にとってのほんとうのお姉ちゃんは....?そもそもほんとうの家族って何を以って「家族」というのだろうか。-- 絲和 --

      23
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  • 14 Jul
    • 孤独のススメ

      オランダの田園の広がる田舎に、妻に先立たれてひとりで孤独に生きる中年男(フレッド)がいる。規則正しく、真面目に、平穏に。教会で祈りを捧げることも忘れない。それはとても退屈な生活ではあるけど、彼にとってはそれが一番落ち着く暮らしなのだ。ある日ちょっとしたことがきっかけで、素性も知れない、言葉も発することができないホームレスのような男(テオ)と家の前で知り合い家に入れる。ガサツなテオの振る舞いにイライラしながらも、食事を与え、一晩泊めてやる。それからテオはフレドの家に居座り、中年男二人の生活が始まる。近所からは「ホモ野郎」とからかわれ、教会からは「ホテを追い出せ」と迫られる。そのことがあってからフレッドは教会へは行かなくなる。今までのフレッドからは考えられないような行動だった。それからフレッドとホテは...閉鎖的な地域で暮らすということの不条理感がある。「これがいい」と思っていたことが知らず知らずのうちに重いしがらみを身につけている。フレッドはホテと暮らすうちにそのしがらみから解放されていくように思えた。田舎というのは、規則正しく生活していれば、皆とても親切で暮らしやすい。でもちょっと人と違うことをすれば総攻撃にあう。何を持って幸せというのか?幸せを装うのが幸せではないはず。解放されることだ。自分が纏っているしがらみから。フレッドもホテもそれぞれ切ない過去を持つ。お互いが少しずつ理解しあって解放されていく姿が微笑ましい。この映画を見てると、以前見た「ホルテンさんのはじめての冒険」を思い出した。あの映画も微笑ましい真面目な中年男が主役だった。そして思う。神は弱き人や悩める人を助けるものだと思っていたけど、それも時と場合によって...どうやら違うようだ...。-- 絲和 --

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  • 10 Jul
    • 葛城事件

      蒸し暑いこの最中「葛城事件」を観た。蒸し暑さが怒りと怖さと交わって変な汗をかいてしまった。家族や周りに対して抑圧的な父、葛城 清(三浦友和)些細なことで怒鳴ったり暴力を振るったりするのが日常的にある男。一見真面目だが、リストラされたことを言い出せない長男、保(新井浩文)自己中心的で親や世間に対して反抗的な次男、稔(若葉竜也)息子を甘やかすばかりで主婦としては何もしない母、伸子(南果歩)料理もせず、いつもコンビニ弁当を食べている。長男の自殺がきっかけで地に足がついていない家族は、ますますおかしな方向へと進んでいってしまう。次男は無差別殺人者となる。そして死刑囚として収監される。精神が崩壊してしまう母。さらに抑圧的になっていく父。そこに死刑廃止論者の縁もゆかりもない謎の女性、順子(田中麗奈)が現れる。死刑囚の稔と結婚したいと申し出て獄中結婚する。彼女の中にある本当の気持ちはどこにあるのか?暗いし、後味の悪い映画だ。100%作り話であるなら、救いもある。しかし、これは実話をモデルにした作品だということだ。被害者は誰で加害者は誰だ。全てが被害者で全てが加害者だ。これが今の世の中なんだろうと思う。不可解な人間関係でこの世は作れられている。誰もいなくなった家にひとり残る父。哀れな父ではあるけれど、私は、最後までこの父には同情できない。「葛城事件」製作国:日本 上映時間:120分 製作年:2016年監督・脚本:赤堀雅秋キャスト:三浦友和 / 南果歩 / 新井浩文 / 若葉竜也 / 田中麗奈  他-- 絲和 --

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    • 首折り男のための協奏曲

      それぞれ別のところで発表された短編を7編収録した短編集。どこか浮世離れしている。殺人があっても、不幸な出来事があっても、どこかクスッと笑ってしまう。首折り男は人の首を折って殺人を犯す。その男は虐められている中学生を助ける...?誰かにそっくりな男がたどる運命は...「大人になっても、人生はつらい?」と、聞いてみる。7編の短編は別々のところで発表した作品にも関わらず、微妙にリンクしている。・首折り男の周辺・濡れ衣の話・僕の舟・人間らしく・月曜日から逃げろ・相談役の話・合コンの話個人的には「濡れ衣の話」が好きだ。犯人と刑事(らしき人物)との会話が洒落ていていい。伊坂幸太郎さんの作品はある程度の想像力がないと楽しめない。徐々に繋がっていく快感はその想像力によって得られる。読み終わってかなりの快感ではあるが、もう少し想像力があるとより高度な快感なんだろう...何年か後に生きていればもう一度読んでみたいと思う。 首折り男のための協奏曲 (新潮文庫) [ 伊坂 幸太郎 ] 723円 楽天 -- 絲和 --

      11
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  • 06 Jul
    • ツイン・ピークス The Return

      20数年前、私はアメリカのドラマ「ツイン・ピークス」の底に落ちてはまっていた。チェリーパイも、その底で意味もなく食べまくっていた。デヴィッド・リンチ監督の大ファンだった私は、彼が作る作品の一挙手一投足を逃すまいとしてテレビにかじりついて見ていた。それが、あれから25年後という設定で「ツイン・ピークス The Return」としてWOWOWで放送されることになった。これは私の中で騒がずにはいられない出来事である。旧ツイン・ピークスの最終回で、あの印象的な真っ赤なカーテンの前でローラ・パーマーが「25年後にまたお目にかかる それまでは...」とクーパー捜査官に言っていたことが本当になった。7月22日から放送が開始されるようだが、先行放送(1話〜4話)を我慢しきれずに見た。何か良からぬことが起きなきゃいいけど...と思わせるような雰囲気が全体に漂う。ドキドキする。心臓が高鳴るのがわかるようだ。そして、やっぱり良からぬことは起こってしまうのだが...(22日から見る人のためにあらすじは書かないでおく)全18話、楽しい夏になりそうだ。-- 絲和 --

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  • 04 Jul
    • 団地

      岸部一徳と藤山直美というカップリングだけで、面白いに決まっている。そう思って「団地」を観た。漢方薬局を営んでいた初老の夫婦ヒナ子と清治。ふたりはあることがきっかけで漢方薬局を廃業して大阪の古い団地に越してきた。周りの住人たちはいつも噂話に時間を費やし、勝手な想像と妄想で他人の誹謗中傷に花を咲かせる。清治はそんな煩わしさが嫌になり、床下収納の狭い場所に「死んだことにしてくれ」と言って隠れてしまう。周りの住人は清治の姿が最近見えなくなったことに対して、「殺されてバラバラにされている」と噂をする。「団地」というコミュニティのシュールさがある。「何が起こっても不思議じゃないさ、団地というところは...」みたいセリフが何度か出てきた。出演者が巧妙だ。会話が巧妙だ。シュールなドタバタ劇と言ってもいいだろうか(あくまでもいい意味で)黙っていてもクスッと笑いが起こるような雰囲気がある。それが、黙ってなくて大阪弁(ほぼ100%の大阪弁)を喋るのだからたまらない。大阪自慢をするわけではないが、普段聞き慣れている言葉というのは、こんな「変」な設定にも関わらず、自然に頭に入るから小気味いい。斎藤工がまた変わった役で出ている。彼は俳優としてはセクシャルなイメージで見られることが多いが、私はこの作品の中の「変な青年」っぽい斎藤工が好きだ。舞台化すると面白いだろうと思った。どこかの小劇団がやってくれないだろうか... 作品データ 制作年・国 2016年 日本 上映時間 1時間43分 監督 脚本・監督:阪本順治 出演 藤山直美、岸部一徳、大楠道代、石橋蓮司、斎藤工 ほか -- 絲和 --

      29
      テーマ:
  • 03 Jul
    • ブランケット・キャッツ

      テレビドラマはあまり(というかまったく)見ないが、NHKドラマ10 「ブランケットキャッツ」は欠かさず見ている。仕事人間で家庭を顧みなかった椎名秀亮(西島秀俊)。妻、椎名陽子(酒井美紀)とのコミュニケーションもうまくいっていなかった。妻が事故で急死してから、妻が可愛がっていた猫7匹と暮らしている。毎日の猫の世話が大変だと思いながらも、甲斐甲斐しく世話をする。里親募集の張り紙を出して里親を探すが、その里親に対する条件が厳しくてなかなか見つからない。私は猫ものに弱い。しかもここに出てくる猫はみんな可愛い。子猫じゃなく、大人猫という設定もいい。子猫を題材にした作品は、なんとなく媚びているような気がするが、大人猫は決して媚びない。そこが見る方もシラけないで済む。妙齢の女性たちは西島秀俊という俳優も見逃せないだろう。西島秀俊と猫。不器用で無口な男と猫。訴えるパワーがハンパない。物語は猫をもらいに来た里親たちのうまくいかない人生や、飼い主である秀亮の亡くなった妻に対する後悔の思いなどが描かれている。ほのぼのとしたものであるが、猫と人間というのは様々な物語を作ってくれるものである。(猫を飼っている私が思うことで、興味ない人にとってもどうでもいいことであるが)以前「レンタネコ」という映画を見たことがある。それを思い出した。愛が足りない人には猫を....!という、猫好きの独りよがりな思いをここに...。-- 絲和 --

      27
      テーマ:
  • 27 Jun
    • 本日は、お日柄もよく

      以前、テレビドラマ化された同作品をを見て、「良い題材だなぁ」と思っていた。「そして勉強になるなぁ」とも思っていた。どうしてもその「良さ」を文字で追ってみたくて読んでみた。普通のOLだった二ノ宮こと葉は、幼馴染の結婚式に出席した時、次々とありふれたスピーチが披露され退屈で仕方なかった。そんな中、ある女性が皆を魅了する感動のスピーチをした。その女性こそ、世界で活躍するスピーチライターの久遠久美だった。こと葉は彼女のことが気になって仕方ない。最初はスピーチ原稿の依頼者として久遠久美のところに出向いたこと葉だったが、ついには久遠久美の元でスピーチライターの修行をすることになる。テレビ版でも本でも思ったことだが、「相手に伝えたい」という気持ちは、自分の言葉に酔っていては伝わらないということ。計算と熟慮が必要。一般人のブロクなどを読んでいても、この人、自分の言葉に酔ってるな...というのが多い(もちろん私も含めて)『良いこと書いたでしょ、かっこよく書けたでしょ...』というのが丸見え。それは自分だけが感動して相手には伝わらない。伝わらないどころか相手をシラけさせている。スピーチライターとまではいかなくても、せめて相手はこれを読んでどう思うかな?という配慮くらいはしたほうがいいのかも....。余談になってしまったが、言葉は人を助けるものだと思いたい。傷つけるものでは決してない。ドラマや本を読んだ人の中で話題になっている台詞は、何度読み返しても涙が出る。絶望の底にいる人に歩き出してもらう言葉。何度も読み返して暗唱できるくらいになってしまった。  困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、  想像してみるといい。  三時間後の君、涙がとまっている。  二十四時間後の君、涙は乾いている。  二日後の君、顔を上げている。  三日後の君、歩き出している。これから先、そう長くない人生で、できるなら人を助けることができる言葉を発していけたらいいなと思った。-- 絲和 --

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絲和

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大阪在住純情ババァ。 死ぬまでの暇つぶしブログ。 無粋にも映画、演劇、本などの記録をここに。 ...

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