古木以外の2年生部員を大会のメンバーから綺麗さっぱり外したジャイ。

その理不尽ともいえる行動の捉え方は人それぞれでございましょうが、

“指導者として何か考えがあるのでは?”という前向きに捉えようとする谷口。

一方で、“ただ単に、自分に反抗的な2年生部員を外したいだけだ”と

後ろ向きというか現実的な厳しい捉え方の古木。

見事に意見が対立してしまった二人は

つかみ合い、そしてにらみ合い、今にも殴りあわんばかりの雰囲気でございます。


しかし、ここで仲間割れをしても何の得にもなりません。

私は二人の間に割って入りました。


「やめとけよ二人とも。」


ところが・・・、


「お前はどう思ってんだよっ!!」


古木の怒りの矛先は突然私に向けられました。


あれ?


これって、いわゆる“とばっちり”ですか?


「・・・俺は。・・・俺も古木が言うように、ジャイは俺たち2年生をメンバーから外したいだけだと思う。」


「だから、そんなの分からないじゃないか・・・。」


納得いかなさそうな谷口に、私は続けて言いました。


「でもそれは多分、谷口らがちょいちょい俺をかばうような態度を見せてるからだよ。

 ジャイが俺の事を嫌いなのは間違いないと思うし、

 お前らが俺の事を気にせずにジャイの言う事を聞いてれば、ジャイの態度も変わるかもな。」


・・・、


・・・、


・・・、


しばらくの沈黙の後、古木が口を開きます。


「この際、畑中の事は関係ないだろう・・・。」


そして、谷口に向かって、


「じゃあさ、自分でジャイに確認してみろよ。

 修学旅行には行かないし、やる気があるからメンバーに入れてくれって言ってみればいいじゃねえか。

 俺は、そんな話ジャイが聞くとは思わねえけどな。

 大体、やる気を確認するんならメンバー決める前にやっとけば済む話だろうが。」


・・・、


・・・、


・・・。


「もうやめとけってお前ら。」


入ってきたのはキャプテンの沼田さんでございます。

気がつけば、私たち2年生部員の周りを、3年生と1年生の部員とマネージャー全員が

心配そうに取り囲んでおりました。


「ジャイには明日俺が話してみるから。」


キャプテンの何ともキャプテンらしい態度と言葉に皆沈黙。


私はここで、ジャイとの会話を録音したテープを皆に聞かそうかもと思いましたが、

切り札は、もっといい雰囲気のときに効果的に使いたいということもありまして、

とりあえず、翌日のキャプテンとジャイの話し合いまでは様子を見る事にしたのでございます。



                                             

                                                       (つづく)



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