ジャクソンねこのほんとうの家 | プラネタ旅日記

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児童書専門古本店プラネタ(無店舗)の管理人が細々~となにやら呟いております。大半は読書記録。時々頭の悪さと猫馬鹿具合を炸裂させてます。

ブライアン ボール, Brian Ball, Carolyn Harrison, 清水 真砂子, キャロリン ハリソン
ジャクソンねこのほんとうの家

内容(「BOOK」データベースより)
ねこの話はどこの国でも多いようですが、この物語のように、冷静で、皮肉な目をもったねこが描かれることはまれで、世界的な書評紙『タイムズ文芸付録』でも、まず、その点が高く評価されました。まったく、「かわいい」ということばは、このジャクソンにはどう考えても不向きで、臨機応変、人間を利用してかかるねこは、ときに人間に眉をひそめさせるかもしれません。とりわけ、ねこを人間の所有物と考え、「かわいらしい」を連発してきた人々には…。けれど、人間の勝手な思いこみどおりに動物が生きていようはずはなく、もしそうならば、ねこはねこではなくなってしまいます。同じことは、人間同士、おとなと子どもの場合にもいえましょう。それにしても、必要なときに、適当に人間を利用しながら、あくまでも本来の自分を失わずに生きていくジャクソンのふてぶてしさは、たしかに、これまでの児童文学にはあまり見られないもので、けれど、それは、まだ世間を知らない、無邪気なマリリンと好対照をなして、作品をひきしめ、全体をこくのある軽妙な喜劇に仕立てあげました。小学校中・上級向き。



まず最初に、勘違いを訂正しておかなければなりません。

私たち人間は、犬や猫を「ペット」と呼び、自分達の所有物であるかのように振舞いますが、本当のところ、特に猫に関しては、これは大きな間違いです。

猫が私たちの所有物なのではなく、私たちこそが猫の所有物なのです(笑)

世界各国の猫好きの皆様方、この本を読めば、「うんうん、猫ってこんな視点だよね」と納得できるはずです。

猫と言うのは外見のかわいらしさや、心を許してくれたときの安堵した姿のほかにも、大変鋭くシビアな性格を持ち合わせています。

このジャクソン、まさに猫!猫の鏡。猫のお手本。

こんな猫にも、私たち人間、猫好きの面々は踊らされ、愛情を注がずにはいられないのですっ!

……と、猫に関してはついつい熱く熱く語ってしまいますが(笑)

別段このジャクソンが激しくシビアで冷めた性格の持ち主と言うわけではなく、これがジャクソンなりの生き方であり、食事や寝床を得る手段なのです。


そのジャクソンとは全く逆に、人間に甘やかされ、大切にされ、寝床も食事も存分に与えられたのがマリリン。

全くの世間知らずで、やっと1歳になったばかりのヒヨッコちゃん。しかも美人でうぬぼれやさん。

8年間生きてきたジャクソン評するところの「ふわふわで、おつむのかるいちびねこ」マリリンの飼い主が、家中の戸をきちっと閉めて、旅行鞄を手に出て行ってしまったと言うから、マリリンは大慌て。

どこでどうやってごはんを食べるの?どこで眠ればいいの?

ぬくぬくと育ち、世間を知らないマリリンに、ジャクソンの指導が始まります(笑)

あるところでは「ティドルズ」、またあるところでは「クチクー」。

どこで食事を貰い、どの家に住んでも、どんな名前で呼ばれても、猫は猫。そして、自分は自分。

猫ならでは、と言うわけではなく、人間にも同じことが言えますね。

私は私、と、大切なことを気付かせつつ、猫の世界を垣間見せつつ、ちょっとにっこり笑ってしまう、素敵なお話。


因みに、にやりとしちゃう猫のお話と言えば、「黒猫ネロの帰郷」があります。

これまた、シビアで冷静、しっかりとした考えの持ち主の猫が主人公です。

あわせて読んでもみると楽しいかもしれません。

「ジャクソンねこのほんとうの家」には「ジャクソンねこの友だち」「ジャクソンねこの休日」と続きがあります。

「ジャクソンねこの友だち」は検索しても出てこなかったので、出版されていないのでしょうか。

図書館には「ジャクソンねこのほんとうの家」と「ジャクソンねこの休日」の2冊がありましたので、両方とも書庫から引っ張り出してきてもらいました。

手元に「ジャクソンねこの休日」が残っています。

27日が返却日。

……早く読まねば!

ブリアン・ボール, 清水 真砂子
ジャクソンねこの休日
エルケ ハイデンライヒ, Elke Heidenreich, 畔上 司, クヴィント ブーフホルツ
黒猫ネロの帰郷

内容(「BOOK」データベースより)
めっぽう気は強いくせに、友だちや妹を可愛がる、どこか憎めないイタリアのボス描ネロ。この黒描にも次第に老いが訪れる。情愛豊かな育ての親との暮らしを続けるか、それとも、なつかしの生まれ故郷イタリアで安らかな老後を選ぶか?ネロは悩んだすえ一大決心をする…。ドイツで30万部をこす大ベストセラー、世界各国であいついで翻訳されている「大人の絵本」。