今回は、よい授業とはなにかという話です。

生徒が満足する授業がいい授業なのでしょうか?
成績が上がるのがいい授業なのでしょうか?

私が教わったあるいは自覚できた基本的な考え方は以下です。

①クラスの平均のレベルに合わせて授業をする。
②やる気(意欲、モチベーション)が落ちないよう気をつける。
③高い結果は要求しない。
④進学をエサにした指導はしない。できない。

評価基準は以下です。

⑤テストの点数分布が正規分布になっているか。
⑥成績「2」と「4」の生徒からのクレームがないかどうか。

① 基本的には自分が得意だった教科の免許を持っているので自分が中学なり高校のときの授業より低いレベルで授業をすることが重要です。
 自分が中学校のときより低いレベルというの慣れるまで結構難しいです。最初は授業が難しいとのクレームが結構来ます。ほとんどの新人が引っかかるポイントです。レベルの高い学校に赴任した場合は別です。

② やる気(意欲、モチベーション)が落ちないよう気けます。本人が勉強して点を取れるようなところを作ること。あるいは教科係りや実技、作業などで一定の役割があったり結果が出たりすると意欲が落ちません。

③ 高い目標は掲げることはあってもても高い結果はまず要求できません。覚えることだけはきちんと覚えさせて、あとは現状維持です。理解を求めるられるのはごく一部です。

④ 今の成績で進学できるところを目指させること。ちょっと上のレベルを目指すぐらいが限界。学校は塾とは違うので、成績と信賞必罰的なものを組み合わせると大量の脱落者を出して、学校自体が崩壊しかねません。

⑤ 生徒のもともとの成績が極端に分かれていなければ、テストの点数分布が正規分布になります。一部の生徒の意欲が下がると学年末に点数分布のピークが平均点をはさんで上下に二つできます。二こぶラクダといいますが、授業としては失敗となります。

⑥ 授業が分からないというクレームの多くは成績が「2」の生徒のものです。生徒の成績が開いている中学校などの場合は、授業の中で「2」の生徒にアピールする部分を入れてゆくという対応をします。ただ、それでも「2」の生徒からのクレームがなくなることはありません。成績「4」の生徒からクレームが来る様なら授業の根本的な組直しが必要でしょう。
 成績が「5」の生徒は授業に関係なく点数を取るし、成績が「1」の生徒は座って話を聞いていれば上出来です。一般に中学での成績「1」はほとんど漢字が読めず、分数計算はほぼ不可能といった学力です。
 高校の場合は学校ごとにレベルが違うのでそのレベルに合わせます。学力の低い学校の場合は、事実上教科書を離れ、中学、場合によっては小学校の内容の復習を兼ねた授業になります。高校の教科書を教えきるのは不可能です。

 よい授業とは、うまく生徒をひきつけそれぞれの成績の生徒にうまくアピールできる授業ということになるでしょう。
 楽しい授業とか分かりやすい授業とかは基本的に生徒の意欲を失わせないためにやるもので目的ではありません。授業の中でのアイテムの一つといったところです。