こんばんは。


ご訪問くださり、ありがとうございます。



こちらでは、腎不全の方、腹膜透析をしている方、透析前の保存期のかたに何らかのお役に立つと思われる情報を書いております。


これまでシリーズで、食事制限(たんぱく質制限、カリウム・リン制限、減塩)されていてもおいしくごはんを食べるために便利な食材(食品)について書いておりましたが、間食(おやつ)についてお悩みのかたがあるとわかりましたので、今回は、


制限されている成分の多い危険なスイーツ

と、

食べ過ぎなければ大丈夫そうなスイーツ


についてご説明したいと思います。


次回はたくさん食べても大丈夫なおやつの作り方をご紹介する予定です。


※糖尿病を併発されている方や、血糖値が高いと注意されている方につきましては、別途、糖質制限が必要ですし、ドライウェイトを減らすよう指導が入っている減量中のかたもスイーツはまずいです。

こちらの記事は、糖質制限を受けていたり、減量中のかた以外の方向けの内容としてお読みください


危ない間食・食材について
腎不全の方は、塩分のほか、たんぱく質、カリウム、リンの制限があると思います。

1日当たり、
塩分 4g
たんぱく質 40g
カリウム 1500mg
リン 700mg
程度の制限の方が多いと思いますので、その観点から「間食でこれを食べたらやばい」というものをリストアップしていきます。

世間で「体にいい」「自然」「腎臓にいい」などと言われているものは、たいてい、ミネラル=カリウムがどばっと入っていますので、これまでの「健康」常識はいったん捨てて、調べ直したほうがよさそうです。

1 さつまいも(ふかし芋/焼き芋)
100g当たり、
カリウム 480 / 540mg
リン 47 / 55mg
です。
(焼き芋のほうが水分が飛ぶせいか、カリウムもリンも多いです。)
おやつで1日のカリウムの1/3以上も摂取したら、ごはんが食べられなくなります。
さつまいも使用のモンブランやきんとんも、同じ理由で避けたほうがよさそうです。
 
2 ポテトチップス
1袋100g当たり、
カリウム 1200mg
リン 100mg
です。 
もともと、イモ類はカリウムが多いのですが、ポテチは揚げて水分が飛んでいますので、もはやカリウム爆弾です。

3 きなこと黒蜜(黒砂糖)
安倍川餅、信玄餅、葛餅など、きなこと黒蜜をかけた和菓子はたくさんあります。しかし、驚いたことに、きなこも黒蜜もめちゃくちゃ危険な食材なのです。
きなこは100g当たり、

たんぱく質 37.5g
カリウム 2000mg(!!)
リン 680mg

という、全方位にやばさ炸裂の食材です。
もしご訪問先できなこをかけたわらび餅などのお菓子が出たりしたら、表面のきなこをふるい落として食べましょう。節分の炒り豆も、きなこと同じ成分ですので、数粒にしておくほうが無難です。

一方の黒蜜は、水に黒砂糖を溶かして煮詰めたものですが、その黒砂糖は

カリウム 1100mg
リン 31mg

とこれまたカリウムの塊です。

白砂糖やグラニュー糖は、工場で精製することでカリウムなどを全て取り除いて白くしているわけですので、カリウムは検出不能=0mgです。
腎不全の方の使うお砂糖は、白砂糖やグラニュー糖、氷砂糖などの精白糖一本でいくしかないと思われます。

「精製した砂糖や小麦粉は体に悪い」という自然派のかたの議論は、カリウムでもリンでもどんとこい、な健康な人向けの話なので忘れましょう。

4 植物性脂肪のホイップ
乳製品はリンが多い、と言われているので、あえて植物性ホイップなどを選んでおられないでしょうか。実は全く逆です。

植物性脂肪のホイップは、100g当たり、
たんぱく質 6.3g
カリウム 65mg
リン 190mg
です。

乳脂肪のホイップは、100g当たり、
たんぱく質 1.8g
カリウム 72mg
リン 45mg
で、リンもたんぱく質も、植物性ホイップよりずっと少ないのです。

おそらく、植物性ホイップは、サラダ油みたいなサラサラした油に粘り気を出してふわっとさせるために、いろいろ添加物を入れているからではないかと思います。
スタバのホイップは植物性と乳脂肪を混ぜているそうですので、あまりホイップは盛らない方がよいと思われます。

5 甘栗
甘栗は、焼き芋同様に石焼きして水分を飛ばしていますので、カリウムが濃縮されています。100g当たり、

たんぱく質 4.9g
カリウム 560mg
リン 110mg

です。
栗が好きなのに~!というかたは多いと思いますが、抜け道がちゃんとありまして、栗の甘露煮なら大丈夫です。
栗の甘露煮は、100g当たり、

たんぱく質 1.8g
カリウム 75mg
リン 25mg

です。
甘露煮のカリウムが少ないのは、甘いシロップで煮たときにシロップにカリウムやリンが流れ出ているためだと思われますので、シロップはもったいないけど捨てて、蜜が必要なら、白砂糖や氷砂糖とお水で別途白蜜を作りましょう。

平均的な市販のお菓子の成分値
それでは、市販のお菓子の成分値をあげていきます。
あくまでも平均的なもので、その商品の原料によって大きく変わりますので、商品裏の原料をみて、リン酸塩など、やばい添加物が入っていないかはよくおたしかめください。

全て100g当たりの数値ですので、小さなお菓子ならその半分になります。
鶏卵1個がおよそ50g、おはぎは普通サイズで90から100gです。
ただ、2個も3個も食べるとなんにもなりませんので、量にはくれぐれもお気をつけくださいね。

山盛り食べても大丈夫、な手作りおやつは、次回、作り方をご紹介します。
 
1 ねりきり(和菓子屋さんで売っている、花の形をしたねっとりした白あんの生菓子)
※お茶会で出るような、こういうものです。
 ↓

259kcal
たんぱく質 5.3g
カリウム 33mg
リン 46mg
 
普通はひとつ50gぐらいなので、この半分なら、まあまあ大丈夫ですね。


2 くずまんじゅう


216kcal
たんぱく質 3.1g
カリウム 22mg
リン 30mg

ねりきりよりだいぶカリウムなどが少ないのは、原料の「葛」のおかげだと思います(透明な皮の部分です)。次回の記事でご説明しますが、くず(葛)という食品はカリウムがほぼ入っておらず、大変優秀です。

3 今川焼(大判焼、御座候とも)


217kcal
たんぱく質 4.5g
カリウム 64mg
リン 55mg
 
皮のところに卵などが入りますので、だんだんとカリウムとリンが増えてきました。

4 おはぎ


231kcal
たんぱく質 4.8g
カリウム 81mg
リン 41mg
 
あずきが増えるとカリウムが増加します。まわりのあんこの多いものはこれよりカリウムが増えそうです。

5 シュークリーム


211kcal
たんぱく質 6g
カリウム 120mg
リン 150mg
やはり、洋菓子は卵が入ったり乳製品が入るので、たんぱく質もカリウムもリンも増えますね。
ケーキ等は、中身がものによって全然違うので、個別にご検討ください。
フルーツがのってるとカリウムは一気に増えます。
チョコレートもカリウムの多い食材です。


乳脂肪の生クリームは、先にみたとおり、食べ過ぎなければわりと大丈夫…ですので、生クリームをホイップして栗の甘露煮を乗せたマロンパフェもどきなら、さほど問題なく食べられそうです。
アイスクリームを入れるとさらにカリウムとリンが追加されるので、アイスクリームよりは、ホイップして凍らせた生クリームのほうがいいかもしれません。



次回は、寒天と葛粉などを使った、おいしくて安心なおやつについてご紹介する予定です。

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