予約していたソーシャルワーカーさんとの面談日。
すでにネットで色々調べてはいたので、ある程度知っている内容ばかりだった。
2000㌘以下で産まれた未熟児には手当てが出る。障害者手帳や療育手帳などの取得によって、金銭的な援助は色々あるようだった。
しかし、認定される頃まで果たして我が子は生きているのか・・・。
一番の頼みの綱である訪問看護については、高齢者対象のものは多く存在するが、乳幼児を対象とした訪問看護は、この地域では殆ど無いのが現状とのことだった。
近くに頼れる親戚がいない私達にとって、これが一番辛い現実だった。
県外に住んでいる実母に長女を預けて2週間。
娘が熱中症で嘔吐したとの連絡が入った。
別に外で遊んでいた訳でもなく、8月下旬の暑い家の中で、何故か毛布にくるまって眠っていたそうだ。
幸い大事には至らなかったようだが、母も暑さとイヤイヤ期長女の相手に、疲れが出てきて限界のようだった。
NICUには兄弟であっても子供は中に入れない。
お腹の子が産まれたら、私達の生活はどうなるのだろうか・・・。
産前産後で申請した保育園。来月からやっと利用できるようだったが、利用期限は産後の8週間。
その後はどうする?
それまで赤ちゃんは生きていてくれる?
この頃は色々悩みすぎて、もう本当に思考回路が鬱々としていた。
出来るだけの治療を望むつもりだったのに、この段階になってまたグラグラ。
短命ならそれはそれで悲しいのだけれど、もし長く生きられた場合、将来的に長女に負担をかけることになってしまうのではないか・・・。
高校時代の私の友達に、知的障害の妹がいる子がいる。
他に兄弟はおらず、二人姉妹。
その子はとっても人に優しくて、とっても明るくて、人が辛い思いをしている時に親身になって寄り添うことができる、素敵な子だった。
大人になって久しぶりに会った時、付き合っている人がいて、そろそろ結婚間近だと聞いた。
婚約指輪まで貰っていた。
それなのに、次に会った時、相手の両親に反対されて、破局したんだと知らされた。
理由はその子に、知的障害の妹がいるから。
別に彼氏には隠していなかったし、きちんと伝えていた。
でも、土壇場になって両親に反対されたから別れてくれと言われたそうだ。
そんなのってない。
両親に反対されたからって諦める程度の覚悟で、プロポーズなんてするなって、腹がたった。
「そんな意気地なしの男と結婚なんてしなくて良かったよ。」
って、励ましたものの、やりきれない思いに私も辛かった。
こんなに優しくて、明るくて、とっても良い子が、なんで幸せになれないんだろう。
もちろん結婚したからって幸せとは限らないけれど、それを望んで、叶う間近になってのこの仕打ちは、辛すぎる。
もし、将来。長女が同じように苦しむことになったら?
そこまで長く生きられなかったとしても、赤ちゃんの病院につきっきりで、寂しい思いをさせてしまうかも知れない。
イグジット手術。
私の命も危ないかも知れない。
もちろん死ぬつもりなんてさらさら無いけれど、命を落としてしまう妊婦さんがいることも現実だ。
私が死んじゃったら、まだ2歳の長女はどうなる?
沢山障害のある赤ちゃんだけ助かったら?
主人は仕事しながら一人で障害のある赤ちゃんと長女の子育てをするの?
いや、無理でしょ。
お姑さんもいないし、抱え込みすぎて、また鬱が再発しちゃうかも。
私の実母だって病気持ちだし、長女の面倒を見るのも、そろそろ限界がきている。
私一人が、赤ちゃんを助けてくださいって言ったって、その後私がもし死んでしまったら・・・。
後に残された家族が不幸になるのでは、意味がない。
生きた赤ちゃんを抱っこしたいっていう私の願いは、私のエゴ?わがままでしか無いのかな?
苦しくて苦しくて、息をするのも忘れてしまうほどだった。
時々我に返って、慌てて深呼吸をしていた。
もしかしたら、赤ちゃんの心拍が止まってしまったのは、これが原因だったのかも知れない。