猫侍 その1の1

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夏。午後の陽が激しく照っている。

うるさいくらいの蝉の鳴き声。

雑木林沿いの木陰道を3匹の猫が歩いている。

着ている物は麻の、いたって日常的な着物だが会話から葬式の帰り道であると思われる。


「いやぁ、それにしても惜しい猫を亡くされたねぇ・・・」

「もう随分とお年だったからなぁ・・・さすがの『漆黒』の旦那も年には勝てなかったみたいだなぁ」

「でもよぅ、何でさっきの葬式はあんなに陽気な雰囲気だったんだい?

 ありゃあ、不謹慎ってもんだ」

「ああ、あれな。あれは旦那の遺言っていうの?そう、その遺言によるものなんだと」

「へぇ、他の猫がやったら馬鹿みたいだけど旦那の指示じゃあな。えらく意味ありげに思えるねぇ」

「そうなんだ、そうなんだよ。旦那は何をしてても格好になるんだよ。

 あるときこんな事があった。

 旦那が魚屋に用事で歩いてると草履の紐がプツリと切れちまった。 旦那はたまたま持っていた

 女物のハギレをちょいちょいとして処置をしたんだ。

 そしたらそれが洒落てるってんで大流行りしたんだよ。『彩結び』っていったっけ?あれだよ」

「なんで旦那は女物のハギレを持ってたんだい?」

「そんな事ァ、知らないよ。 旦那はそんな猫だったからもう本当に・・・

 ああ、もうすっかり夏なんだなぁ・・・」

猫侍(仮)

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この物語には『猫』という記述が多数見られますが、それは私たちが知っている猫

ではなく、彼等の容貌が私たちの知る猫ととても似ているために『猫』と形容しているのであって

彼等は猫ではありません。