エレメンツとトランジション:elements and transition | ピリカモシリ Pirika Moshiri

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アイヌ刺繍の作品をご紹介します。
アイヌは北海道の先住民族のひとつです。

I exhibit my works of Ainu embroidery.
Ainu is one of the indigenous people in Hokkaido, Japan.

アイヌ刺繍関係の皆さまへ

中途半端にフィギュアスケートと被った話です。
わかりにくいお話でごめんなさい。



シクレンモレウ
これはアイヌ刺繍の基本中の基本と言える文様です。
菱形の目(シク)のような形の両側(ウレン)に渦巻き(モレウ)文様が入っています。

最も簡単ですが、アイヌ刺繍の基本的な技術要素がたくさん入っています。


キラウ
角のような、棘のようなもの。
これで糸の始まり方、終わり方、そして方向転換の仕方を学びます。
方向転換はスリーターンね。

このキラウの作り方はたくさんあります。
先端に余分な小さいオホをひとつ作ってふたつめから折り返すとか、キラウの根元を押さえるとか押さえないとか。

どの作り方が良いのかは、私は角度によって使い分けています。


ウタサ
交差する部分では糸は対角側に流します。
糸が交わることによって交点が安定します。
片方にズッコケないの。

このやり方も様々です。
糸によっても違うし、角度によっても変わります。
少なくとも三種類くらいはあるでしょうか。
私は条件によってそれらを使い分けており、刺繍糸と刺し子糸では方法が違います。


分岐点と合流点
分岐点、合流点、そして交点に共通していることは、「線の流れを止めない」ことだろうと思います。
私も「スルッと始まった」とか「いつの間にか合流していた」になるように意識しています。
なんでもナサゲを目指しています。

ウタサもそうなんですが、なんでもナサゲにするにはここに入るまでのステップの調整が大事です。
手を動かしながら数を数えられない私は苦労します。


モレウ
このぐる〜んな渦巻きが大事。
でんでん虫みたいに綺麗にぐるぐる巻いているモレウ、朝顔の蔓が何かを求めてくるんくるんしているかのようなモレウ、たゆたうモレウ、さまようモレウ。
表情を決める重要なエレメントです。

モレウはエレメントでありながら同時にトランジションでもあります。
ひとつのエレメントから次のエレメントに移行するまでの動き。

アイヌ刺繍を始めた頃は、針子の個性が一番に現れるのはキラウやエタラカだと思っていました。
でも今はモレウかなぁと思い始めました。
トランジション、つまりエレメントからエレメントに移行するまでのこのラインの描き方に、性格だとか経験などが現れるような気がします。



これらのエレメンツは一番最初に学びます。
最初に学びつつ、日々試行錯誤を繰り返しています。
「これ、もっと良い方法ないべか?」とか「ここらで視線を散らすか?」と考えながら針を動かします。

私はまだ完成していません。
それどころか、最初から慣れておくべきフリーハンドの技術や文様構成の感覚を鍛練せずにここまで来てしまったことに気づきました。


ってゴチャゴチャ考えながら…




盛りすぎたわ。






昔シリーズ。
アイヌ刺繍教室に通い始めて3ヶ月くらいのときの作品。
津田先生に刺繍のポストカードをお渡ししたあとに(←怖いもの知らず)このメッセージをいただきました。
それを大事にしたくてこのフレームを作りました。

よく見ると今とは違う方法がいくつもあります。
今ならきっと違う線を描きます。

でも自由だった。
難しいことをいっさい考えていない、ただ刺したくて刺した作品です。

私はこういう刺繍が好きなんだと思います。




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