センター数学の講評第三回です。
第1問:三角関数、指数関数。普通すぎ
ラジアンの定義が登場。
意外と出来ない生徒が多そうですね。
このブログでも何度も言ってますが、今の受験数学って、ただの計算訓練みたいなものです。
公式の証明や、数式の持つ意味なんて、あまり考えずに、とにかく計算して答えを出す訓練ばかりやってますから、
こういう定義を答える問題にはめっぽう弱い。
ちゃんと教科書を読み込み、公式を導出するような、正攻法の勉強をしましょう。
後半は良問。
π/30を工夫して置換すると上手くいく問題。
誘導もわかり易く、特に問題ないと思います。
次に、指数・対数関数
これも普通の問題。
前半も後半も、普通のセンター試験の問題と言って良いと思います。
あまりに普通なので、ノーコメント。
第2問:微積分、ビックリするけど実は難しくない!?
今回、最も難しかったのが、この微積分。
(1)は簡単。
放物線と直線が接する条件ですから、
f(1)=g(1)
かつ
f’(1)=g’(1)
を計算するだけです。
しかし、(2)ではいきなり積分が登場します。
センターの微積分と言えば、「ほとんど微分で最後に積分計算が1問でる」というイメージの方が多いと思いますが、
今回は序盤で積分計算を放ってきました。
また、センターの積分計算は、工夫をするというより、地道な計算をさせる事の方が多い印象がありますが、
今回はバリバリ計算の工夫をさせるタイプ。
(1)で点(1,1)で接する条件を求めているので、重解条件を使って計算を簡単にする問題です。
ちなみに、数Ⅲの合成関数の微分を使えば、さらに楽になるというオマケ付き。
丁寧に図を描いて計算すれば、難しくはないんですが、工夫せずに地道な積分計算をしようとして、マス目に合わない結果が出て挫折した方も多いでしょう。
ここを乗り切れば、その後は普通の微分の問題。
別にそこまで面倒ではない計算をして、増減表が書ければ最後まで行けると思います。
続いて、右のページの〔2〕
ここでは、左のページの文脈を全てぶった切って、全く新しい問題に突入します。
過去にはあまり例を見ないタイプかと思いますので、解いていて驚きました。
そしてツとテの問題は、全く難しくないというか、怖い問題。
不定積分の定義や、面積のインテグラルの式を立式するだけの問題なんですが、後半に来て、こんなに簡単なので良いの?ってなります。
直前に書いてある、二等辺三角形の面積は使わないのかとか、色々考えて混乱しそうですね。
いつもと違う雰囲気が漂っているので、ここで点数を落としている人もいるでしょう。
第1問の始めの問題と言い、式の定義を問う問題がここでも出ました。
計算訓練ばかりではなく、教科書を隅から隅まで読むような対策が効果的だと思います。
家に帰って冷静になって解いたら解けちゃった、となるような問題ですね。
第3問:数列、数学は国語だ!
左のページは、ほとんど教科書の例題と同じ。
基本問題なので、分からない人は単なる勉強不足と言えるでしょう。
しかし、右のページに言って途端に雰囲気が変わります。
まず、Cnの定義が分かり辛い。
シグマの中に、複雑な式が書かれていて、読むのが面倒になります。
一体、どういう誘導をしたいのか、読みづらいのですが、こういう時に役立つのが国語の読解力ですね。
数学でも国語の力が大切!
ここに注目して下さい。
よく、「数学には国語の力が必要だ」とか、「国語が出来れば数学も出来る」みたいな事が言われますが、その証拠の一つがコレ。
あまり指摘されませんが、センター数学は問題文を「文章」として読む事でヒントが得られます。
今回は、「であるから」という一言があります。
これは国語を勉強していれば、いや、していなくても無意識的に分かっている通り、
左が原因で、右が結果になっている「因果構文」です。
ということは、左に書かれているdnの定義式を使って、右のセの穴を埋めることが自然に分かります。
今回も、アレコレ余計な事を考えず、ここに注目してdnを計算すると、自然に答えが出てしまいます。出題者は、こういうところに気を配って問題を作成しているので、覚えておいて損はないでしょう。
第4問:ベクトル、基底のベクトルの取り方が変
最後のベクトルは、概ね普通の問題。
でも、一言あるとすれば、基底のベクトルの取り方がハテナ。
普通は最初に与えられる三角形の2辺を基底のベクトルにするのが普通ですが、今回は三角形の内部に原点を取っています。
そのせいで、少し計算が面倒になったり、イメージし辛くなっているような気がします。
あまり気持ちの良い問題ではないですね。
それでも、左のページは、誘導に乗ってたら自然に出来ちゃった、というタイプの問題で解くに文句ありません。
右の前半も、言われた通りに計算すれば(この先の流れは分かり辛いとは言っても)、解く上で困る事はありません。
しかし、右の後半、つまり(4)に入った途端、よく分からなくなります。
特にベクトルBEの大きさを求めるところが、やや分かり辛いと思います。
計算結果の式を見ると、ベクトルpと、ベクトルqしか登場していないので、ベクトルrを消去すれば良いんですが、、、。
(3)では、ベクトルqをpとrを使って表したのに、今度はrを消去すると言う事で、意地悪な気がしなくもないですね。
一言書いてくれれば良いのに、とも思いますが。
計算自体は、それほど多くなく時間内に何とか解けるレベルだと思います。
ということで、全体を通して感じる事。
センターの問題は、問題を最後まで解き終わった時に、スッキリしないことが多い。
解いていて楽しくないし、ストレートな問題より、変な捻りを加えた問題が印象に残ってしまう。
特に、センター数学のⅡBは毎年平均点が低いんだから、もう少し問題の捻りを無くすとか、問題量を減らすとかすれば良いのに、と思うのですが。
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