『暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』読んで | ・・・   旅と映画とB級グルメ と ちょっと本 のブログ

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著:堀川 惠子
 広島市の宇品には、かつて「暁部隊」と呼ばれた陸軍船舶司令部が置かれ、軍事の要諦(よう・てい)である兵站(へい・たん)を担った。序章を締める一文が本書の何たるかを端的に伝える。「旧日本軍最大の輸送基地・宇品には、この国の過去と未来が凝縮されていた」

 海軍でなく陸軍が船舶輸送を担う意外な経緯は本書に詳しい。知られざる史料を発掘する手腕は健在で、「船舶の神」田尻昌次司令官や技師の市原健蔵ら魅力的な人物の群像劇が周到にして生き生きと描かれる。

 戦時、日本は「ナントカナル」で突き進んだ。輸送の死活的重要性を熟知し、先を危ぶむ田尻の声は届かず、直言すれば待っていたのは更迭である。耳に心地よい情報が上に集まり、さしたる吟味もなく判断が下され、あげく国は破滅に向かう。昔の話と思えないのは、臨場感あふれる筆致のせいばかりではない。
 英雄視も見下しもせず、著者はその時代を懸命に生きた無名の軍人たちを忠実によみがえらせている。
 「大きな歴史のダイナミズムに、個々の人生がシンクロした。田尻さんも市原さんも、書き手としての醍醐(だい・ご)味を感じさせる存在でした」
 宇品の主要任務は特攻に転じた。「小さなベニヤ板の特攻艇で出撃した」若者たち――読みながら胸が塞がれる。初の原爆はなぜ広島に投下されたか。その疑問に始まる物語は巻を措(お)く能(あた)わずであると同時に、読後に残されるものがあまりに重い。
第48回大佛次郎賞受賞作品。表題『陸軍船舶指令』を見てすぐにその重要性がピンと来なかった私には(大本営だけでなく)兵站の発想が欠けているのだろう。考えてみれば中国もインドシナも太平洋諸島も兵員、物資、糧秣を船で運ばなくてはならない。船舶の神と言われた田尻昌次は昭和6年宇品に着任し、上陸用舟艇の開発をはじめあらゆる方面で船舶輸送部を整える。中国戦争初期には対応できていたものの、戦線拡大により対応困難となり、昭和15年に陸軍省と参謀本部に大部の意見具申書を書いて罷免される。→
その後も戦線拡大は続き太平洋では多くが餓死、徴用された輸送船の船員の死亡率は40%と言う。最後の章は原爆投下直後の船舶輸送部。佐伯文郎司令官は組織の縦割りを越え関東大震災時の経験を生かして迅速に対応したことが語られる。綿密な調査に基づき、歴史を掘り起こしつつ様々の問題を喚起してくれる本だと思う。

日露戦争 勝因のひとつ 日本はイギリスを味方につけたことで、軍事面と財政面ともに支援を受けることができたという点があります。軍艦を動かすための石炭の調達に関して、イギリスはロシアに対して妨害工作をおこない、日本に優先して調達できるようにしました。兵站で勝負は決まりました。
日本軍の士気が、ロシア軍を大きく上回っていました。当時の日本軍の幹部は日本軍の幹部は、幕末から明治にかけて近代国家誕生のためいくつも戦火をくぐってきた経験をもっており、またロシアに勝たないと国が滅びるという危機感もあったため、優れた作戦を生み出したのです。
兵站を忘れ士気が高ければ戦争に勝てると勘違いした。軍の官僚がその後の戦争を拡大させたのでしょう。
南方の石油を調達するためのタンカーがない。それでは・・・・・。
兵站するための船がない。
原爆投下後の佐伯の行動は出来ることはすべてやる。これも官僚ですね。