無事の勉強 | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

千眞工芸の「茶禅一如」カレンダーの4月の墨蹟が「無事(ぶじ)」という書で、説明文に「他人との比較、執着や計らいを一切持たない境地のこと」と書いてある。

 

日常語としても使われる「無事」という言葉は本来仏教用語であり、いろんなお寺サイトやブログにもそのことが書いてある…と言いたいところなのだが、正直に告白すると、私はこのカレンダーを見るまで「無事」が仏教語であることを、恥ずかしながら全く知らなかった。

 

そこで手持ちの「佛教語大事典」(東京書籍)を引くと「なすべきわずらいがない。障りのないこと。ひっかかりのないこと。生まれながらにして仏である人間には、求めるべき仏もなければ歩むべき道もないということ」と書いてある。

 

では、最近よく耳にする「有事(ゆうじ)」という言葉も元は仏教語なのかと思ってついでに仏教辞典を引くと、「有事(うじ)」という言葉があり、「因から生じたもの。因縁によってつくられた諸現象」とあり、「有為(うい)」とほぼ同義であることが書いてあった。

 

禅における「無事」のニュアンスの完全なる対比語でもない感じではあるが、いずれにしても「他人との比較、執着や計らいを一切持たない境地のこと」という「無事」の意味はとても清々しいので、今後これを踏まえてこの言葉を見るようにしようと、勉強させて頂いた次第です。

 

 

                           おしまい。

 

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