沙羅双樹あれこれ | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

御用があって、京都の大徳寺をお訪ねさせて頂いた。昨日の午後はまだ、仏殿に大きな涅槃図が掛かったままだった。
 
どのお寺の涅槃図にも、沙羅双樹が描かれている。パーリ語の涅槃経(岩波文庫版は「ブッダ 最後の旅」)によれば、ブッダは二本の樹の間に身を横たえた、という表現が見えるだけなので、「双樹」というのは本来は、単純に二本の沙羅の樹を指したのだろう。
 
一本の樹から分枝している沙羅の樹、みたいな解釈をしている本もあるが、それは違うようだ。ちなみに涅槃図の沙羅双樹は八本描かれているのが普通で、四方に一対ずつの沙羅の樹が生えている形を表したものだ。いつから二本が八本に変わったのかは分からない。
 
八本の沙羅双樹については、「新・佛教辞典」(誠信書房)の説明が詳しくて、「四辺に一双ずつ8本の沙羅樹があって、入滅を悲しんで一双の各一本ずつが枯れ、他の一本ずつは生きていたと伝えられる。これを四枯四栄または非枯非栄という。東方の双樹を常と無常に、西方の双樹を我と無我に、南方の双樹を楽と無楽に、北方の双樹を浄と不浄とに譬える」とのこと。
 
涅槃図の沙羅の樹が八本あって、半分ずつ色が違うのは、こういう訳だ。
 
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※写真はクシナガラの涅槃堂です。
 
 
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