上高地の徳沢キャンプ場までは疾走だった。
 山道が歪むほどの勢いで大粒の雨が隙間なく降り落ちてくると、可愛い水溜りの円が道のあっちこっちに続く。
 空からびっしりした「銀のコイン」を川に投げられ、一面の水しぶきで白い煙が上がっているようだ。
 どしゃぶりの雨の中、すぐ後に夫のレインコートの摩擦音がとても嬉しい。
 滝の裏に迷い込んでもその音さえ聞こえば安心😊

 雨化粧でお山は格別に美しかった。
 しかし、防水ケースから携帯電話をイチイチ出し閉めするのは面倒。
 写真を諦めて、ゆっくりしっかりと記憶に焼き付けてきたよ😎
 
 八時半で消灯。
 真っ暗の山、雨滴が微かな光を放っているような錯覚。
 大雨小雨しくしく雨
 ヌルヌルのテント
 濡れた手で触れるもの
 隣のテントから漏れる囁き
 どこかに潜んでいる細くて長い足の蜘蛛(明るい時に見えた!!!)
 聞き慣れた夫のいびき
 なかなか寝れないけど、
 楽しかった😊

 少し足を伸ばして辿り着いた上高地は、雨の夜に広がる面白い音ばかりだった。
 テントの中でしか聞こえない豊かな雨の音を聴き、忙しい都会の雑音や、ややこしい人と人の騒音も何も聞こえなくなったよ。
 静かに、自分の音を聴けた。

 次の日、最高な秋晴れでした☺️