社員のSNSの書き込み、どうする? | 小さい会社にしかできない労務管理のことを話そう

小さい会社にしかできない労務管理のことを話そう

労働エッセイストの松井一恵です。小さい会社には小さい会社にしかできない労務管理の方法があります。
丸17年社会保険労務士として生きてきて、みんなに知ってほしいこと、未来に残したいことを書き残そうと思います。

「インターネットにこんなんかかれましてん。減給や、減給!」

最近、こういう相談を受けました。

転職サイトに会社の口コミを書かれて、それが社長のお気に召さないようです。

 

セキュリティに気を配るのは当然なんですが、それにしたって、このネット環境ですから、社員が業務上知りえた秘密や人事の機微情報などを投稿するは簡単なことです。

「業務時間中の発信はもちろん、私生活上の行為であっても会社の風紀秩序を乱すような投稿は、懲戒するよ」と規則を作っておき、周知しておくことが大切ですね。

あくまでも、「周知することが大切」なんです。ネットは匿名性が高いですから、本気で悪意をもってやろうとすれば、「名無しさん」で会社を困らせることは難しくありません。会社側としては、「ダメなものは絶対ダメ」と社員のココロに刷り込んで、思いとどまっていただくしか手段がないなぁ、というのが現場にいる松井の実感です。

ついでに決めておくならば、モニタリングの権限と範囲です。「会社は必要に応じて、会社貸与のPC、携帯電話、タブレットなど通信機器の利用状況、メールの内容、検索記録、閲覧記録を閲覧することがあるし、社員はこれを拒否できません」と予め規定して、周知します。「見られるかも」と思ったら、思いとどまれることもあるはずです。

ことが起こってから、犯人を捜して懲戒しても、インターネットの世界では「あとの祭り」なのは、ご存知の通り。流れ出た情報を完全に削除することはほぼ不可能です。

思いとどまっていただくことが最大の防御です。

 

さて、先ほどの社長の件ですが、何を書かれているのか確認すると、

「初任給は17万円程度で、手取りは15万ちょっとになり普通の生活が難しいレベル」

「会社の強み なし。会社の弱み 経営に一貫性がなく不安定。取扱商品も平凡」

「産休育休 社員・パートともに100%休める」

「有給休暇 取り放題。言わないと損」

「研修制度 会社に必要な資格しか取らせない」

・・・ま、社長が多少気に入らないのは分かりますが、おおむね事実で、業務上知りえたといってもたいしたレベルじゃないし、機微な個人情報でもなし。で、減給するっていっても、誰の仕業だかわかりゃしないです。「在社年数」と「性別」と「現職」ってことしか書いてないんです。。。「結論、犯人探しするほどのことじゃなし。ただ、社長も言いたいことがあるでしょうから、こういう書き込みがあって採用活動に支障があったこと、誰だか特定できたら始末書をとること、今後同様なことがあったら内容によってはもっと厳罰になるよということ、社長の思いなどを全員回覧で伝えたら」とアドバイスしました。「回覧で」ってお願いしたのに、朝会で40分、演説しちゃったみたいですが(涙)

 

ネットに関しては、規定をおいても投稿を完全制限するのは難しいです。

「投稿、ダメよ。ポチッとする前にもう一回考えて」といい続けていきましょう。