先ほど、アマゾンプライムで思いがけなく1970年代の映画『四角いジャングル 格闘技世界一』を観ました。
作品はプロレスと格闘技の試合を集めたドキュメンタリーなのですが、その中に収められた、プロレスの坂口征二選手の試合がことのほか凄いのです。
ピラティスインストラクター的独断の、極めてひいき目によるものですが凄いのです。
何が凄いかと言って、正確には映像を観ないと伝わらないのかもしれませんが、あえて言葉の説明を用いれば「華々しくなく、むしろどんくさい凄み」ともいうべき元柔道日本一の底力。伊達に重量級で柔道日本一を取ってはいません。
東京オリンピックの翌年・昭和40年に、坂口選手は全日本柔道選手権で優勝を果たしています。
東京オリンピックの重量級クラスで日本代表の神永さんに勝利して金メダルを獲得したオランダのアントン・ヘーシンク選手も、坂口征二には一目置いていたと言われます。
そして、私が昔この試合を観たのは、記憶ではおそらくリアルタイムだったかと思います。
数十年を経て、たまたま再度観ることができた面白さに、ありがたい思いです。
さて話を元に戻し、この映像で見る試合は、 全米プロ空手の強豪・ランバージャック選手と坂口征二選手の異種格闘技戦です。この試合での坂口選手が「すごいのなんの!」という話です。
ランバージャック選手の脚力ならびに跳躍力は強烈で、坂口選手は一見蹴られまくって頭を抱えて逃げているのですが「大丈夫か?ワンサイドマッチにならないか」と思いきや、「おもむろ」に形勢逆転。逆の意味のワンサイドマッチになる。
その試合展開は「あっけなく」、ある一瞬に、相手の体を根っこからつかむイメージで「おもむろ」に掴んだら、後は凪ぎ倒して有無を言わさない坂口選手の圧勝です。
この映像よりはるかに時代が下った2000年代に、実は私は、引退した後の坂口征二選手が、代々木第二体育館でのプロレス興行のリングにおいて、パフォーマンスではあるものの、あのボブサップ選手の150キロ級の巨体を、きれいな柔道技「払い腰」で投げたのを目の当たりにして、「やっぱり元柔道日本一はすごい!」と一緒に観ていた友人と話したものです。
坂口征二選手も用いた『パイルドライバー』という当時定番だったプロレス技もまた昭和的凄みを持っていました。
この映画で見る1970年代よりもう少し前だったかもしれませんが、『パイルドライバー』の名称は日本語で『脳天杭打ち』でした。日本語で言うと、より過酷な印象を受けます。言葉のイメージも含め、坂口選手が使うことでシンプルな技がまさに大技になったものです。
尾骶骨を強打するアトミックドロップ、それからボストンクラブなど、平成時代には既に昔ほど使われなくなった技も、坂口選手の大きな体躯から繰り出されると荒業にさえ見えます。
からだの動きにおける新時代の表現を、ピラティスインストラクター的独断で見てきいきたいと思います。