子どもの共感・大人の気持ち | ほんとうのピコットさん

ほんとうのピコットさん

子どもの本屋「夢文庫ピコット」店主です。
タイトル「ほんとうのピコットさん」については、
http://ameblo.jp/pikot/archive1-200711.html をどうぞ!

子どもの本屋として、

これは小さい人たちの体験と重なる、

子ども読者の共感を得られそう!と、

自信を持ってお店に置いたものの、

苦戦を強いられる絵本・・・というのがあります。

 

たとえば、こちら。

お母さんが保育園のお迎えに

遅れたときのお話です。

 

 

おむかえ まだかな

もとしたいずみ 文  おかだちあき 絵

学研 本体価格¥1,300

 

保育園の夕方。
ママのお迎えを待っているのは

かなちゃんだけになりました。
待ってようねと声をかけつつ、
お掃除に取り掛かる先生。
かなちゃんが少し心細い気持ちになった時、
縫いぐるみのクマが話しかけてきました。


ママ遅いね。

電車が止まっちゃったのかな?

ぞうさんやカバさんが

止まった電車を押してくれてるんだよ。
それともケーキ屋さんで、
ママ、何を買うか迷っているのかも。
それとも~~~
と、
ふたりのお話は、どんどんふくらみます。
そこへ、ママが帰ってきて・・・。

 

 

お友だちがみんな帰って、

一人だけお迎えを待つ寂しさにも触れつつ、
しかし、それ以上に、

かなちゃんにとって保育園が

安心して待つことのできる場所であることが、

保育士さんたちの対応や、

おもちゃ箱のクマのお人形とのおしゃべり、

という形で、さりげなく、

けれど丁寧に描き込まれています。

 

ようやく現れたママは、
ケーキも風船も持っていなくて、

抱えているのはお仕事の書類の袋だけ。

ちょっと疲れた様子のママですが、

気づいて駆け寄ったかなちゃんの顔に

嬉しさが、ぱあっと広がる場面が印象的です。

園も家庭も安心できる場所である事の、

幸福感が伝わって来る絵本です。

 

 

ところが!

この絵本を手にしたお客様、特にママさんは、

 

お母さん これ、切なすぎてとても読めない・・・

 

と言われるのです。

遅くなって息せき切ってお迎えに走った、

という経験はどなたにもお有りのようで、

絵本の中のママの気持ちと重なりすぎて、

切ないのだそうです。

もうそうなると、

かなちゃんがクマさんと一緒に待っていた、

あのちょっとワクワクな時間のことは、

目に留まらないらしいです。

待たせてしまった!という気持ちに、

塗りつぶされてしまうんですね

 

でもそれ、あまりに残念すぎる。

よーく絵本を見直していただくと、

かなちゃんの口元が、

悲しい気持ちのへの字ではなく、

口角が上がって、むしろ、

ちょっとおちゃめな表情に見えることに、

気が付いていただけるはずなんですけどね。

 

大人がこのような気持ちになるのは、

絵本が、子どもだけでなく、

大人の気持ちも、受け止めてくれるものだから、

ということなのでしょう。

その意味で、絵本はすごいのですが。ベル

 

結局、ここのタイプの絵本は、

園向けにせっせとおすすめしています。

ママが切ないという理由で、

こんな素敵な絵本に出会えないのはもったいないですからね。

 

版形を変えて再販になったこちらの絵本↓も、

残念ながら実はまだご家庭からは、

評価を頂けていないんですよ~。

 

 

 

ばいばい いってきまーす

みやにしたつや 文・絵

アリス館 本体価格¥1,000

 

 

登園の道すがら、出会ったみんなに、

ばいばい いってきまーす

と呼び掛ける絵本です。

表紙もほら、明るくてく楽しげでしょう?

だけど、

初めてお子さんを集団の場に送り出すママは、

ばいばいの を聞いただけでも、

涙が出るらしいです・・・。

 

家庭でいっぱい可愛がられている子さんなら、

園は楽しい場所になりますよ!

だから、ママから離れて過ごす時間のことを、

そんなに切なく考えなくても大丈夫!

とお伝えしつつ、一方で、

そりゃあママですものね・・・、と共感もします。

 

子どもの本屋であるわたしは、

小さい人たちと同じ立ち位置に立って本を選ぶのが仕事

と思っているのですが、

こういったテーマについては、

小さい人たちのその感じ方を、

大人の方に伝えるのを、なかなか難しく感じます。

 

しかし現実問題、店頭においては、

お金を支払って下さるのは大人の方。

買って頂けなくては絵本は子どもに届かない。

子どもの本屋、

その辺の事情に躓いております!の巻・・・でした。

 

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