絵本選びのお手伝いで、
小さいお客様に
絵本を読ませてもらう機会があります。
ぴったりの絵本だった場合、
まるで乾いた砂に水が染みるように、
聞き手の中にお話が広がっていくのを感じます。
反対に、
す~っと入って行く感じがしないときは、
このお話あんまり好きじゃないね?
と、さっさと撤退。
別の絵本に取り替えです。
さて、染み入る方のケースですが、
あまりにお話に入り込みすぎて、
聞き手のお子さんを、
怖がらせてしまったことがありました。
と言っても、一緒に読んだ絵本は、
お話のはじまりで安全策が示されていて、
安心してスリルを味わえるタイプの
お話なんですけどね。
おおさむこさむ
小出保子 文・絵
福音館書店 本体価格¥900.
一緒に遊んでいたかわいい雪だるまが、
雪を食べて
どんどん大きくなっていく。
その様子を見たきっこは、彼らが、
おおばあちゃんに聞いた
ゆきぼうずであることに気付くのです。
おなじみ、キツネのきっこと、
2匹のイタチのシリーズ冬の巻です。
お話の中の雪だるまが、
ページをめくるたびに、
どんどん、どんどん・・・
大きくなって雪坊主になっていく、
という場面が怖かったらしく、
この絵本を買ってもらうどころか、
それからしばらくは、
きっこの絵本の棚の前を通ることも
出来なくなった彼女でした。
も~しわけない ・・・
そこまで怖くなる前に
やめたらよかったのに、
何しろ小さな時からのお付き合いで、
いつも一緒に絵本を読む仲だったので、
わたしとしては、
二人でいるのだから大丈夫!
(↑お話世界で、ってことです・・・)
と思い込んでいたのですよね。
もう15年くらい前のお話ですから、
その時の彼女は今は大学生です。
ななちゃ~ん、あの時はごめんよ~!
こういう失敗も時には引き起こしますが、
でも、だからといって、
怖い場面のあるお話はだめだなんて、
思っている訳ではいないんですよ。
むしろ、お話の中で、、
賢さや勇気で危機を切り抜ける疑似体験は、
生きていく上での支えになると思います。
この絵本の中でも、きっこは
おおばあちゃんのアドバイスを覚えていて、
事なきを得ましたから。
ただ、読むタイミングや、
聞き手のコンディションには、
充分配慮したほうがいいと思うのです。
ところで、
わたし自身のことなのですが、
物語を読んでいて怖い場面になると、
してはいけないことを
つい、実行してしまいます。
途中を飛ばして最後のところを読んで、
主人公の安全を確認するのです。 笑
そんなことしたら読む楽しみが半減する・・・
それは分かっています。
そもそも児童文学では、
ハッピーエンドが約束されていることも、
頭の中ではわかっているのです。
それでも、怖いものは怖い。
怖いけど読みたい。
空想世界に入り込みすぎですよね~。
で、後ろめたい気持ながら、
こっそり最後のページをめくってみる。
それがわたしの、
怖いお話との付き合い方です。
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