Full Bloom(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「じゃあ、あたし帰るね。」

 

「おつかれ、」

 

さくらはまだ資料を読み込んでいる志藤を残して先に帰った。

 

シーンとした空間に成と志藤が二人残された。

 

気まずい・・

 

適当な会話をすることなんか簡単なのだが

 

彼相手だと気軽に口が開けない。

 

「・・なあ、」

 

志藤から声をかけてきた。

 

「はい?」

 

「レッスンの方はいいとして。 イベント企画の方とか。 だいじょぶなん?」

 

「え、」

 

意外な問いかけだった。

 

「いちおう。 社長が産休明けて出てくるのが1月ころになるらしいんですけど。 年末年始のイベントをいくつか抱えてて・・。 あともう音高や音大の試験は1月から始まるので。 まあ忙しいっちゃ忙しいんですけど、」

 

「イベント。 どんな感じなの? ちょっと見せて。」

 

「え。 いや・・志藤さんでも一応部外者なんで、」

 

いきなりのことに面食らった。

 

するとジロっと睨まれて

 

「ウチみたいなでっかい会社が。 お宅をどうこうしません。 別にウチの下請けってわけでもない。」

 

手を出されてしまった。

 

少し考えた後、席を立ってファイルを持ってきた。

 

それをサーっと見た後

 

「この。 中野のクリスマスイベント。 演者出してくれる『ムジーク』って会社。 初めて聞いた。 なんなん?」

 

指をさして尋ねた。

 

「えっと。 これは藤堂事務所さんから紹介されたクラシック演奏者を派遣してくれる事務所です。 まだできて1年くらいって言ってましたけど、」

 

「あ、藤堂さんトコの紹介ね。 それじゃ・・大丈夫だと思うけど。 知り合いの知り合い、とかのようわからんトコと絡む時は気をつけてな。 ヤバいところもあったりするから。 設楽んトコはこういうイベント企画もやってたの?」

 

「いえ。 ほとんど設楽さん絡みのコンサートとかイベントが多かったです、」

 

「ウチみたいな大手だと監査があったりするからヘンなところは弾いてくれるけど。 今ワケのわからん会社もあるしな。 きちんと精査して。 なんやかんや言って、さくらちゃんは子供生まれたら両立が難しい人やと思う、」

 

「え、」

 

「彼女。 一本気だから。 子育ては、特に赤ん坊のうちはもうわからないことだらけで。 大変だと思う。 社長をきちんと立てながらもあんたが引っ張っていっていいと思う。 こんなんさくらちゃんに言ったら・・めっちゃへそ曲げるから言わないけど、」

 

ペットボトルのお茶を一口飲んだ。

 

「この前。 おれに社長やってくれ、みたいな弱気出してましたよ。」

 

成はふと笑った。

 

「うん。 彼女が社長でいいんだけどね。 番頭がしっかりしてないと。 小さくても誠実に仕事を積んでいけば。 信用ができるからね。 何事も信用だよ。 この世界、」

 

ものすごくとっつきずらいと思っていたこの人が

 

なんだかんだでレッスン以外の仕事の心配もしてくれている。

 

それがわかって成は少し心が軽くなった。

 

「ま、なんか困ったことあったら。 相談して。 金は出せんけど、」

 

大真面目に冗談を言われて

 

「・・すみません。 今笑っていいところでしょうか、」

 

大真面目につっこんで

 

「どっちでもいい! ・・ああ、あともうひとつ12月の半ばの・・これ、」

 

志藤はさらにまたチェックを始めた。

 

何でもズケズケと言ってくる志藤が成は少し苦手でしたが、セリシールを心配してくれていることもわかって・・

 

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