Half bloom(15) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

じゃなくて!

 

成はようやく事態を把握し

 

「あの。 神崎 成と申します。 初めまして。 父がいつもお世話になっています、」

 

と普通の『大人』のあいさつをした。

 

しかし仏頂面の柚の父の表情が変わることなく

 

「いやそんなことどうでもいいんだよ。 どういうことなんだ?」

 

柚に迫った。

 

「あ・・ええと、」

 

彼女も心の準備ができておらずどこから話していいものか迷ってしまった。

 

成はそんな空気の中、勇気を出して

 

「あの。 柚さんとおつきあいさせていただいてます。」

 

と言うと、それを予感していたのか

 

「聞いてない。」

 

とバッサリだった。

 

「・・そりゃ誰にも言ってないですから・・」

 

いつものように言わなくてもいいことまで言ってしまい

 

「どういうつもりなんだ?」

 

父は鬼の形相で柚に言った。

 

「どうって。 おつきあいしてる、としか。」

 

困ってしまった。

 

「簡単に! 娘とつきあうとか。 言ってくれるな。 神崎の息子ならば。 事情はわかっているだろう、」

 

 

怖い・・

 

成は思わず半歩下がってしまった。

 

そのくらい柚の父の顔が怖かった。

 

「もちろん、わかってます。 その上で、」

 

さらに勇気を出して言うと被せ気味に

 

「わかってない!」

 

さらにバッサリだった。

 

成は焦ってしまい

 

「彼女のことは理解してます。 もちろんただつきあいたいからつきあってるわけでもないです。 『結婚』を前提にしたおつきあいをしたいと思っています、」

 

必死に言った。

 

しかし。

 

「結婚・・?」

 

さらに柚の父の目の色が変わった。

 

 

 

柚さんと結婚を前提にしたおつきあいをさせてください。 絶対に幸せにしますから

 

 

6年前のことを父は一気に思い出した。

 

その男の横で幸せそうに微笑む娘。

 

幸せしかないと思っていたのに。

 

その日から1カ月もたたないうちに

 

癌を宣告された。

 

 

明らかに動揺する父の姿に

 

「・・お父さん・・?」

 

柚は顔色を窺った。

 

父はぎゅっと拳を握って

 

「・・簡単に。 言うな。 理解してるとか。 上辺だけで。 きみに娘の全てが背負えるって言うのか! 私たちの苦しみがわかるって言うのか? もう帰れ!」

 

成に怒りをぶつけた。

 

「お父さん!」

 

柚が必死に止めた。

 

成はじっと柚の父の目を見た。

 

そして

 

「・・わかりました。 ご挨拶は改めて・・させていただきます。」

 

静かにそう言って一礼して帰って行った。

 

「ナルさん、」

 

心配そうにその背中に声をかける柚に一度振り返って小さく手を挙げた。

 

 

角を曲がるまではゆっくりと歩いていたが、そこからは思わず走ってしまった。

 

おれが考えてた以上に

 

エネルギーいる!

 

 

彼女から何となく聞かされていたけれど

 

結婚を約束した恋人との別れが

 

自分が思うより辛辣であったことを思い知らされた。

 

 

柚の父は6年前の『傷』を忘れていませんでした。あまりの険しさにさすがの成も・・

 

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