奏はひなたの手をまたぎゅっと握って

 

「おれのこと。 すごく大事に思ってくれるとこ・・」

 

少し恥ずかしそうに視線を外して小さな声で言った。

 

「・・カナ、」

 

ひなたはその言葉で胸がいっぱいになった。

 

奏はスッと立ち上がって、そおっとひなたを抱きしめた。

 

 

「・・カナが。 いなくなっちゃったら。 あたし・・どーしよ、」

 

ひなたは不安な気持ちをか細い声でぶつけた。

 

 

ここのところたまに。

 

こうやって彼女が不安を口にする。

 

 

この前、志藤さんがおれの留学のことを具体的に話をしてきたけど

 

このことを彼女に話をしているのかはわからない。

 

 

離れ離れになる時が来ることが

 

具体的に見えるようになって

 

彼女も感じるようになって

 

 

そこに蓋をしようと思っても、やっぱりいつかはやってくること、と現実を見据える。

 

 

「・・おれ。 この先もピアノ頑張って行くことには間違いなくて。 もうホクトと契約して半分プロみたいなもんで。 きっと志藤さんとはこの先もなんらかの形で繋がって行くと思ってる。」

 

奏はひなたを抱きしめながら静かに話し始めた。

 

「志藤さんだけじゃなくて。 ・・ひなの家族みんな・・おれのこと応援してくれて。 なんかもう・・離れられない気がするんだよ、」

 

「え・・」

 

ひなたは彼の言葉に小さな声を上げた。

 

「・・たぶん。 いつかは遠い外国へずっと、長く行くことになると思うんだけど。 離れられないって・・思うんだよ、」

 

「・・なにと?」

 

彼の肩に頬をくっつけた。

 

「・・ひなと。」

 

奏は彼女の背中に回した手にグッと力を入れた。

 

「カナ・・」

 

彼の白いパーカーは

 

とてもいい匂いがして。

 

いつもの彼の匂いで

 

すごく安心できて。

 

 

ひなたは背の高い奏の首にぶる下がるようにぎゅっと抱きついた。

 

目もぎゅっとつぶったら

 

涙がぽろっとこぼれた。

 

 

「まだまだ子供で、未熟で。 なんもわかってないから。 はっきりと何を言えるわけでもなんでもない。 ひなのことは大好きだけど、大好き以外のちゃんとした気持ちが・・全然できてなくて。 ひとつだけ、言えるのは。 おれが。 設楽さんの籍に入らなくて、家族で一人だけ名前が違くても・・全然淋しくなかったのは。 ひながいてくれたからだ、」

 

あのころから

 

ずっとぼんやりと感じていた気持ちが少しずつ形となって奏の心に影を落とすようになっていた。

 

ずっと前から奏がひなたに対して思っていた『気持ち』。

少しずつそれが形になって・・

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