Growth(20) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「少なくともタンタンは正直だった。 あんなに正直に言わなくてもってくらい・・」

 

ひなたは丹波のあの泣きそうな表情を思い出していた。

 

「確かにおれにはその気持ちはわからん。 でもな。 それに甘えててなんの進歩がある、」

 

志藤は厳しい表情のままだった。

 

「みんな頑張ってるのに自分がその中にさえ入れないジレンマは本当につらいと思う。 でもな、うまくいかないことを怪我のせいにしてたら、楽やもんな。 自分はほんまに実力はあるけど怪我してるからしゃあないとか。 おまえもあいつも時が経てば良くなる。 怪我をする前のパフォーマンスに戻れるかどうかはわからんけど、でも。 治る希望はある。 つらいリハビリをするのも、そういう経験をしてこなかったヤツよりも絶対に身になるはず。 無駄な時間やないはず、」

 

「パパ・・」

 

ひなたはやや呆然として父を見上げた。

 

「力がなくてその道を諦めるヤツより。 どれだけマシか。 おまえにだって待っていてくれる人がおるやろ?」

 

 

さっきみんなが新しいユニフォームの写真を見せに来てくれた時

 

『ひなたの分もあるよ。』

 

って言ってくれた。

 

ひなたはぎゅっと拳を握りしめた。

 

ああやって励ましに来てくれる友達を時につらく思ったりしていた自分がバカみたいだった。

 

どれだけありがたいか、と思い知った。

 

「・・そうだね・・」

 

ひなたは身体の力がどっと抜けた。

 

パパは

 

ピアニストを夢見ていたけど、自分の力が足りなくて諦めたって言ってた。

 

自分はその夢をかなえられないって気づいた時って

 

どれだけのショックなんだろう。

 

あたしが怪我をしてチアができなくなったショックより

 

ひょっとして大きいのかもしれない・・

 

 

黙って父を見た。

 

「・・おんぶ、するか?」

 

いきなりそんなことを言ってきた父に

 

「・・恥ずかしすぎるから・・いい、」

 

真顔で答えた。

 

 

 

もう。

 

希望ないな・・

 

 

丹波は自宅に戻っても落ち込みまくった。

 

でも。

 

ふっと顔を上げた。

 

 

ひょっとして神宮寺綾みたいな大物と競演できる日がくるかもしれないなんて。

 

本当だったらそれだけでおつりがくるくらいなのに。

 

 

いつも明るくしているひなたが、友達を見送ってひっそりと泣いていた姿が

 

忘れられない。

 

 

常務の娘にちょっかい出したとかなんとか言ってクビになったりして。

 

ま、なんもしてないんだけど。

 

キャラメルフラペチーノ奢っただけなんだけど。

 

でも・・このままじゃ終われない。

 

拳をぎゅっと握りしめた。

 

その時LINEが着信した。

 

 

絶望している丹波でしたが、やはり諦めることなんかできずに・・

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