学年末試験も終わって、学校は休みに入り

 

奏はさくらのレッスンがない時はほとんど地下のレッスン場で過ごした。

 

食事もそこに運んでもらい、ピアノを弾くかDVDで神宮寺綾の演奏を確認するかで一日が終わった。

 

その後はもう部屋に戻ってすぐ寝るだけを繰り返す。

 

 

「・・で、かなで、」

 

遠くに声が聞こえてきてハッと目を覚ました。

 

「・・・」

 

むっくりと起き上がると南がそこにいた。

 

「もう、どうしたの。 全然起きてこないから心配しちゃったよ、」

 

ぼーっとしてふっと時計を見た。

 

もうお昼近くになっている。

 

「え!!」

 

思わずスマホを手にして驚いた。

 

「もう疲れてんのちゃうの? お手伝いさんに聞いたら、ここんとこずーっと地下に籠ってるって。 」

 

「え、まって。 今日・・何曜日・・」

 

「土曜日。 今日はあたしも休みやから・・」

 

「・・せ、先生のところ・・」

 

慌てて起き上がった。

 

「今日さくらちゃんのとこなの?」

 

「は、はい・・  わーーー、もう、アラームセットしたのに! 自分で止めてるし!」

 

「もー、しゃあないなあ。 ちゃんとご飯たべないと、」

 

南は腕組みをした。

 

 

 

「・・す、すみません・・」

 

結局、レッスンに30分遅刻して。

 

そのうえ。

 

「時間は守る!!」

 

今日はさくらの代わりに志藤が来ていて

 

早速怒られた。

 

「先生は・・」

 

「つわりが厳しいみたいで。 なんか波があるんやって。 しゃあない。 今日はおれも休みやから、」

 

志藤はいつものスーツ姿ではなく、ラフな格好だった。

 

「おまえのことやから。 また根詰めてやってたんやろ。」

 

「・・いえ・・」

 

「もうな。 今更慌てても無駄。 おまえが今できることをやるしかない。 神宮寺綾との最初の合わせは1週間後。 彼女も忙しいからなかなか時間を取れそうもない。 なるべく仕上げて。」

 

奏はその言葉に志藤を見やって

 

「いえ。 ぼくが若いとか、経験が浅いとか。 そういう言い訳は一切通用しないと思うんです。 やるのならば。 神宮寺さんに負けたくないんです、」

 

いつもの穏やかな表情から一変して厳しい表情できっぱりと言った。

 

「甘えたくないんです。 しょうがないとか、そういう評価とか。 一切受けたくないんです、」

 

彼の気が伝わってきた。

 

 

なんとなく流れでこんなになってしまったけれど。

 

奏なりに今までと同じではいけない、と気持ちを切り替えようとしている。

 

志藤は彼の気持ちを推し量って、ふと笑った。

 

「・・寝ぐせ。」

 

奏の頭にぽんと手を置いた。

 

「え、」

 

「もちょっと身なりも『イケメン』にならんと。 おまえ、宣材写真見た人が今のおまえみたら『詐欺やろ!』って思うで、」

 

志藤はデスクに置いてあった茶封筒から彼の宣材写真を出した。

 

「うわ、めっちゃイケメンじゃん。」

 

小野塚がそれを覗き込んで笑った。

 

「人に見られるのも仕事やで。 着るもの、振る舞い。 すべておまえのピアノを汚さないように。」

 

志藤は優しく微笑んだ。

 

プレッシャーから根を詰めてしまう奏。そんな奏に志藤は・・

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