Let's get married(9) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

母は少しだけ考えて

 

「まあ。 しょうがないって。 あんたがアメリカ行くから成人式に戻ってこんって言われたから・・。 着物あるからって言っても。 しょうがないでしょう、」

 

普通のトーンで言われて

 

さくらは父と祖父のことを思う。

 

そして

 

ぽろぽろと涙をこぼした。

 

「ちょ! あんた、汚れる!」

 

母はデリカシーのないことを言ってさくらから着物を取り上げた。

 

「お母ちゃん、ミもフタもない・・」

 

大我は思わず突っ込んだ。

 

さくらはそのままつっぷして子供のようにわんわんと泣いた。

 

「なんね~~~。 いい年して。 何泣いてる、」

 

叔父や従兄たちが呆れるくらいに。

 

 

この着物を着る自分の姿を楽しみに

 

祖父や父が誂えてくれた気持ちを思うと

 

自分がどれだけ親不孝、祖父不幸をしてきたかがものすごい勢いで返って来てしまう。

 

「さくらさん、」

 

葦切はさくらの背中に手をやった。

 

「・・もう・・。 なんで言うてくれん・・。 どうでもいいことは・・うるさいくらい・・口出すのに。 なんで・・言うてくれんかったと・・」

 

さくらは嗚咽を漏らした。

 

「あんたが。 着物くらいで自分のしたいことをやめてまでこっちに戻ってこないこと。 お父さんもわかってたとよ。 しょうがないでしょう、」

 

さっきから何度も何度も

 

しょうがない

 

を口にする母。

 

 

自分のことを何度

 

しょうがない

 

と諦めてきたのだろうか。

 

 

そう思ったら、さくらはまた泣けてきてしまった。

 

 

結婚のことも

 

また勝手にしてしまいそうな勢いだった自分への気持ちが爆発してしまったのだろう。

 

 

「まあ。 これも振袖やもんねえ。 ちょおっとこれ着るにはとうが立ちすぎてしまって、」

 

母はまた呑気にアハハと笑った。

 

「・・と、年を取ったのは・・あたしのせいやなか!」

 

泣きながらもそこは強調するさくらに、まわりの親せきたちは力なく笑った。

 

 

「お、お父さんは・・」

 

さくらはようやく落ち着いて顔を上げ、鼻をかんだ。

 

「ああ。 なんか明日告別式の前に仕事で行くところあるって。 はよう寝る言うて家帰ったけど。」

 

母はようやくお茶を口にした。

 

 

 

「自分が。 アホすぎて、」

 

さくらは葦切と大我の寝床を整えた。

 

「親が。 子供にこうなって欲しい、ああなって欲しいっていう気持ちはとても強いものです。それは愛が深ければ深いほど強い、」

 

葦切は枕カバーをつけるのを手伝っていた。

 

さくらはゆっくりと彼を見やる。

 

「親もわかっているんです。 子供が親の思うように育たないってことは。」

 

それは親である彼のしみじみとした言葉だった。

 

父や祖父の思いを嫌というほど思い知るさくら。 そんなさくらに葦切は優しく言葉をかけます・・

 

 

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