Let's get married(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「・・ねえちゃん、大変ばい、」

 

トイレから戻ってきた大我は読経が流れる中、姉にコソっと耳打ちした。

 

「・・葦切さん。 来とるよ、」

 

「え、」

 

さくらは驚いた。

 

「弔問客の中、並んでた。 え、なんで? わざわざ東京から? どういうことね、」

 

「って、」

 

さくらは焼香する弔問客を少し背伸びをするように見やった。

 

「やっぱりただの関係やなかと、」

 

大我がニヤっと笑った。

 

「あんたたち。 何をくっちゃべってる。 静かにせんと。 みっともない、」

 

隣の母に怒られた。

 

 

母にだけは葦切と交際していることを告げたが、どうやらそのことを家族には話していないようだった。

 

ていうか。

 

え、わざわざ来た?

 

さくらは目で彼を探してしまった。

 

 

そして、しばらくして8台ほど並べられた焼香台のひとつに葦切が進んできたのが見えた。

 

お辞儀をするときに彼と目が合った。

 

葦切は小さく頷いて焼香を始めた。

 

 

え?

 

この時間に来てるってことは。

 

会社を早く退けてきてくれたってこと?

 

もー

 

そこまでしなくても・・

 

 

さくらはたまらなくなって、そっと席を立った。

 

 

「・・耕平さん、」

 

香典返しを受け取っている彼に何とか追いついた。

 

「・・やっぱり来てしまいました。 すみません、」

 

「もう・・。 わざわざこんな遠いところまで・・」

 

さくらは胸がいっぱいになった。

 

「さくらさんのご家族にはお世話になりましたし。 お母さんにもこの前ご挨拶させていただいたし。 やっぱり、どうしても・・と思って、」

 

「もう、帰るのですか?」

 

「最終便には間に合いそうです、」

 

「明日、仕事は?」

 

「明日はもともと休みですけど。 特に泊まるところも予約してないし・・」

 

「ちょ、ちょっと待って下さい。 よかったら・・家族に紹介します。 お浄めの方で待っていてもらえませんか、」

 

「いや、でも。 今日はおじいさまのご葬儀ですし、」

 

「どうせ葬式でもなんでも。 とりあえずみんな飲むんです。 宴会みたいなもんです。 祖父も大往生ですから・・みんなで賑やかに送ってやりたいですから、」

 

さくらは何とか葦切を引きとめた。

 

 

不謹慎だけれど。

 

喪服姿の彼女がとても

 

とても

 

キレイで。

 

葦切は離れがたい気持ちになってしまった。

 

 

「お、終わった・・」

 

通夜の最後の弔問客の焼香が終わったのは開始から2時間以上経過していた。

 

葬儀屋が焼香台を増やして対応してくれても、こんなに長い時間がかかるほどの数だった。

 

大我はぐったりしながら立ち上がった。

 

「もう。 じいちゃんに怒られっとよ、」

 

母に叱られた。

 

「おれ、今日朝飯しか食うとらんとよ・・。 死ぬ・・」

 

さくらは葦切が気になってお浄めの席へと移動した。

 

わざわざ博多まで来てくれた葦切にさくらは感動します・・

 

 

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