La Campanella(39)

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「ぜんぜんかまえなかったからな。 ちっちゃい頃優しかったのは。 日曜日お父さんが休みとか? え? みんなの家はそうなの?って感じ。 休みとかあったのかなー。 よくわかんないけど、」

 

ひなたは昔を思い出しながら上目遣いで考えた。

 

「そんなに忙しかったんだー・・」

 

奏は頬杖をついた。

 

「まあ、ママはその分大変だったよね。 子供5人もいるし。 近くにおばあちゃんちがあるから、大変な時は面倒見てもらったりはしたけど。 ほんとパパと夕飯一緒に食べるとか。 なんかまだ違和感っていうか。 末っ子の凛太郎なんかさ、赤ちゃんの時、パパに抱っこされると泣いちゃうの。」

 

それには笑ってしまった。

 

「パパがいてもね。 そのころは正直パパのありがたさとか。 わからなかった。 パパがクラシックの仕事してるってことは知ってたけど、いったい何やってるのかもわかんなかった。」

 

そしてひなたはふと思い出した。

 

「前にね、まーくんに言われたの。 『おれが今こうしていられるのはひなたのパパのおかげだよ』って。」

 

「北都、マサヒロさんが・・」

 

「うん。 ママも言ってたけど、まーくんをね。 すごいピアニストにしたくて、パパは本当に一生懸命だったんだって。 泣いたり、笑ったり。 ケンカしたり。 今、まーくんは世界でもすごく有名なピアニストでしょ? あー、パパはすごい仕事してきたんだなって、思った。」

 

いつものようにひなたは語彙も幼く

 

それでも思いの詰まった言葉を口にした。

 

「この前のコンクールの前、カナが風邪ひいちゃって。 あたしが感染しちゃったんじゃないかって・・パパにすごく怒られたことあったでしょ? その時にね。 あとから話してくれたんだけど、そのころのまーくんとのことを思い出してたんだって。 一生懸命熱くなって頑張ってた頃のこと思い出してたんだって。 ・・あー、カナのことすごく思ってるんだなって、」

 

奏は再び志藤の思いをかみしめる。

 

「パパ、ちょっとひねくれてるから。 簡単には優しくしないんだけどね。 気持ちはすっごく熱いんだよ。 今はけっこうケンカしたりもするんだけど・・、でも。 あたしはパパのこと大好き。」

 

笑顔で父親が大好き、というひなたがすごくかわいかった。

 

「おれも。」

 

胸がいっぱいで

 

そう言うのが精いっぱいだった。

 

なんだか泣きそうだったので

 

「でも。ひなたとつきあうことおれは許したわけじゃないからな!って言ってたよ、」

 

冗談ぽくそう言った。

 

「えー? ほんと? 全く、いまさら何言ってんの? ほんっとさあ、ワケわかんないこと言うでしょ? すんごい理屈言ってくるからさあ、口げんかとかしても全然かなわないんだよ。 最後にいっつも『ま、おまえはアホやからわからへんやろけど!』って言うの。 憎たらしいでしょ?」

 

と、言いながらひなたもそう言って笑った。

 

志藤の仕事人としての一面と父親としての一面を垣間見る奏でした…

 

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奏が北都家に下宿するいきさつからさくらとの出会いはこのへんから→

 

 

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