La Campanella(11)

テーマ:

「や、別に。ぼくは・・」

 

奏は『そんなつもりはない』と否定しようとしたが

 

「まさか『そんなこと思ったこともない』とか言わないよね? モテるヤツが『全然モテませんよ~~』とか言う感じで。 自分の魅力を最大限に表すのもピアノの表現力でも重要なんだよ? 奏は真面目すぎてそういうエモーショナルな部分が出て来ないというか、きっちり弾くことに関してはもう100点くらいだけど、そういう部分はまだ50点だよ。 もっと前にでなきゃ!」

 

さくらはだんだんと興奮して思わず立ち上がってしまった。

 

その勢いに圧倒された人々は。

 

ぽかーんと口を開けたまま・・

 

もちろん、奏本人も。

 

「・・さくらちゃん・・?」

 

志藤さえもやや気押されてしまった。

 

さくらはそんな空気も気にせず

 

「よし。 やりましょう、」

 

据わった目でそう言った。

 

「せ、先生、」

 

奏が一番驚いた。

 

「これは。 奏の新しい面を引き出すいいチャンスかもしれません・・」

 

小山内もガバっと立ち上がり

 

「そうです! ぼくに任せて下さい。 必ず高遠くんの魅力を最大限引き出す演出をしてみせます、」

 

ぐっとこぶしを握り締めた。

 

しかしさくらは

 

「ひとつ。 条件があります、」

 

と冷静になり言った。

 

「は?」

 

「スタッフに。 私もピアノ指導として入れていただけませんか。」

 

「えっ、」

 

みんながまた驚いてさくらを見た。

 

「もちろん総合演出はお任せしますが。 あんまりいじくられても困ります。 私が奏のことを一番わかっているので。 私が納得いくものにしていただきたい。 そして。 今、奏は単なる高校生という立場で、シロウトです。 スポットのCMと言っても契約等交わすわけですから。 その辺のマネジメントをホクトさんにやっていただきたいんです、」

 

さくらは姿勢よく立ったまま2人に言った。

 

志藤は事の成り行きに目を丸くした。

 

長谷川はしばし考え込んだ。

 

そして

 

「わかりました。今日この話を上司にします。 それでOKが出たら。 正式にこちらの事務所、ホクトさんとも契約します。 うやむやにするよりそうした方が『今後』のためにもいい、」

 

そう言われて

 

「いえ。 別に。 私はこれを仕事にしようとか思ってないです。 そういうのではなく、」

 

なんだか奏を利用して仕事に結び付けているようで嫌だった。

 

「いえいえ。 先生のおっしゃることはもっともです。 きちんとピアノの指導もしていただかないといけないので。 もし受けていただけるのならスタッフに加わって下さるのはこちらもありがたいです。 それにもきちんと『報酬』がついてきますから。 こういうことはきちんとしないといけません。」

 

長谷川はキッパリと言った。

 

さくらは少し考えてから、

 

「志藤さんの方は、」

 

志藤を見た。

 

「いや・・まあ・・。 うーん。 もう、さくらちゃんがいきなり突飛なことを言うから。 こっちにだっていろいろ考えがあったのに、」

 

志藤はいきなりの展開に困ってしまった。

 

思いこんだら一直線のさくらの決断にみんな驚きを隠せず…

 

奏の登場はこのへんから→

 

奏が北都家に下宿するいきさつからさくらとの出会いはこのへんから→

 

 

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