Secret Lovers(20) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

志藤は当事者でもなんでもないのだが

 

ものすごい緊迫した空気の中で、動悸がしてきてしまった。

 

 

 

 

「・・それで。 本当にその人とは関係がないのね、」

 

 

 

 

絵梨沙は無表情にそう言った。

 

 

問い詰められた真尋は

 

 

すぐに返事ができなかった。

 

 

 

「・・ない、と思う。」

 

 

 

そして正直に言った。

 

 

 

「思うってことは。 ありえないことではないってことなのね。」

 

 

 

絵梨沙はため息をついた。

 

 

確かに

 

 

100%違うとは言い切れなかった。

 

 

 

「でも・・まだわからへんのやから、」

 

 

 

志藤が遠慮がちに口を挟んだ。

 

 

「・・あのピアノバーは本当に小さくて。 普段はお客が20人ほどでいっぱいになるくらいでした。 でも・・真尋のピアノはあの町で評判になっていて。 彼が弾く日はいつも店は満員でした。 もちろん、熱心な女性ファンもたくさんいたし。 私と付き合う前も、音楽院の女の子とそういう関係にあったりしたみたいだし。 もし・・その人が『Ballade』の真尋のライヴチケットを持っていたのだとしたら。 そうとうなファンだったと思います。 ほとんど常連の人しか告知は知らなかったし、チケットはすぐに売り切れてしまいましたから。」

 

 

絵梨沙は抑揚のない口調で

 

 

当時を思い出しながら話をした。

 

 

 

「当時・・あそこでの真尋のライヴはおそらく4回ほど行われたと思います。 マスターはもっとやりたがっていましたが、店にも迷惑を掛けてしまいますし評判は高かったですが、そうそう行われるものではありませんでした。」

 

 

 

 

「ほんまに・・幻のチケットって言っていいってことか・・」

 

 

 

志藤はそのころのことを知る絵梨沙の具体的なエピソードに小さくうなずいた。

 

 

 

 

その話を聞いている間

 

 

 

 

真尋はどこからともなく汗が噴き出てきた。

 

 

 

「もう・・思いっきり覚えがあってどうしようもないって顔やな・・・」

 

 

 

志藤は思わず口走って、絵梨沙の存在を思い出し慌てて口を噤んだ。

 

 

 

「わ、わかんないけどっ!! 別に、具体的に覚えがあるわけじゃないからなっ!」

 

 

 

若干真尋がキレると、絵梨沙はテーブルを思いっきりバンっと叩いた。

 

 

ビビる二人に

 

 

 

「真尋はあたしのことが好きとかなんとか言っておきながら。 ほかの女の子ともそういう関係があったし。 浮気もしたし。 今だってほんっと怪しいし!」

 

 

 

絵梨沙はそれ以上にキレた。

 

 

「今は浮気なんかしてねーし! 昔のことをいちいち穿りかえすなっつーの!」

 

 

真尋も一応言い返したが

 

 

 

「今は…」

 

 

 

志藤はあまりに説得力がなくて、情けなくなりため息をついた。

 

 

「・・もし。 その子が真尋の子だとしたら。 ちゃんと責任を取らないと! 関係ないとか言って知らんぷりする気じゃないでしょうね!!」

 

 

普段はおとなしい絵梨沙がもう

 

 

鬼の形相で言った。

 

 

 

「で。 その子のピアノ・・どうだったんですか?」

 

 

 

絵梨沙はのけぞり気味の志藤に冷静に質問した。

 

 

「えっ・・いや、まあ。 すごく才能は感じたよ。 14歳にしては・・曲の解釈とかそういうところが大人っぽかったし。 テクニックも、きちんと出来上がってるし、」

 

 

 

「そう、ですか。」

 

 

 

絵梨沙は小さなため息をついた。

 




「絵梨沙! 信じてくれ! ほんっとおれは絵梨沙だけだから! 昔のことは・・水に流して・・」

 

真尋は絵梨沙にすがるように懇願したが

 

 

「本当にあなたの子だとしたら。 簡単には水には流せないのよ。 無責任なこと言わないで。 その可能性があるのなら、きちんとその子とお母さんに会ってケジメをつけてください、」

 

 

怒りをグッと抑えるようにそう言われ

 

 

真尋はもちろん志藤も、逆にそれが恐ろしくて思わず固まった。


一方、真尋と絵梨沙は志藤を挟んでドロドロです・・(・.・;)

 

 


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