Secret Lovers(16) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
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とはいえ。

 

志藤はいきなり真尋にそのことを訊く勇気はなかった。

 

 

 

 

「え? 真尋と、エリちゃん?」

 

 

 

 

南は昼休みにファッション誌を読みながら志藤の問いかけを

 

 

おそらく100%は聴いていないだろうというような生返事をした。

 

 

 

「あの二人。 いつくらいからつきあってたんやろ、」

 

 

 

 

「え~? 何今さらそんなこと聞くの?」

 

 

 

南はまだ雑誌を見ながらそう言った。

 

 

確かにそうなのだが。

 

 

 

「・・や、なんとなく、」

 

 

 

南にいきなり真相を話す勇気もなかった。

 

 

 

「ええっと・・真尋がウイーンに留学して。 ちょっとしてくらいだと思うよ、」

 

 

 

「ちょっとしてって・・いつくらい?」

 

 

「え~? そんなのわかんないよ。 あたしだってその頃はまだエリちゃんの存在知らなかったし・・。 で、なんなん?」

 

 

また南に怪しまれた。

 

 

「いや、別に・・」

 

 

志藤はスーッとその場を離れてしまった。

 

 

 

ワンクッション置いたことは全くムダだったことがわかり、志藤は仕方なく真尋がいるピアノスタジオに足を運んだ。

 

 

 

合いカギを使って入っていくと

 

 

一心不乱にピアノを弾いていた。

 

 

 

・・・『展覧会の絵 キエフの大門』

 

 

 

 

真尋にはこうした荘厳で雄大なイメージの曲がよく似合う。

 

 

 

いつものようにそっと部屋に入って行っても全く気付かず

 

 

ものすごく集中してのめり込んでいた。

 

 

 

久しぶりに真尋のピアノを間近で聴いた。

 

 

 

こちらも時間を忘れてしまうほど集中してしまった。

 

 

 

すげえなあ。

 

 

 

相変わらず。

 

 

 

ここにやってきた理由も忘れて思わず聞き入った。

 

 

 

 

気が付くと曲が終わっていて

 

 

 

 

「あれ? いたの?」

 

 

 

真尋も志藤に気づいた。

 

 

「え? ああ・・。 珍しい曲弾いてるな、」

 

 

「ああ・・昔はよく弾いたなあって、」

 

 

真尋は蓋を閉めた。

 

 

「昔・・?」

 

 

「うん。 ウイーンのピアノバーにいたころ、」

 

 

少しハッとした。

 

 

 

「なあ、」

 

 

 

志藤は意を決して声を掛けた。

 

 

「ん?」

 

 

閉めた蓋の上でマンガ雑誌を読み始めた真尋は振り向きもせずに答えた。

 

 

「おまえ。 高遠さんて女の人、知ってる?」

 

 

緊張して少し声が震えてしまった。

 

 

真尋はマンガから志藤にゆっくりと目を移した。

 

 

「・・たかとお・・?」

 

 

「年は30中盤から後半くらい。 高遠 梓さんという人だ、」

 

 

真尋は宙を見て何かを考えているようだった。

 

 

 

真尋と奏の母の間には、いったい??

 

 

 


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