完全に固まっていた斯波だったが、ハッと我に返り
いきなりガバっと立ち上がった。
「い・・意味分かんない!!! え?? なんで? なんでいきなりキス???? って! あんた、よくもまあそんなに意味なくキスなんかできんなあ!!!」
もうパニくり度100%な感じで南にすごい形相で反撃し始めた。
笑っていた一同はぽかーんと彼を見た。
「なんなんだっ!!! この部署はっ!! いっつもみんなしてくだらないことを延々と話して盛り上がったり! 学校の休み時間じゃねーし!! だいたい! 志藤さんだってデスクの上にキャバクラのDMなんかも平気でおいてあったり!! 泉川さんと昼間っから下ネタで盛り上がったり!!! 会社でしょ! もっとまじめに仕事をしたらどうなんですかっ!!!」
おそらく
ここに来てからずうっと悶々としていたのであろう心の内まで爆発させてしまった。
とにかく無口で就業中はほとんど私語もなく、黙々と仕事をしていた彼が
いきなりこんなに大きな声で自己主張をし始めたので
みんなまたもあんぐり状態になってしまった。
その異様な静寂を打ち破るように
「なに真面目ぶっこいてんの?」
南が冷めた一言を言い放った。
「はあ???」
斯波は彼女を信じられないような表情で見降ろした。
「・・・そんなもん。 楽しくなくちゃあ仕事なんかやってられへんやん。 あんたはずうっと一人で仕事してきたからそんなこと言えんねん。 なに??? キスくらい! ちっさい男~~~~、」
いつものように南はオブラートにも何にも包まずにそのまんまを口にする。
斯波はわなわなとふるえ始めた。
「ちょっとお・・。 言い過ぎじゃない?」
香織がその気配を察して南に耳打ちした。
「え?だって。 も、堅すぎ~・・。 みんななーんもしゃべんない中で一日中仕事なんか、もう息が詰まっちゃうし! 別にさあ、キスなんかあいさつやろ???」
南は隣にいた志藤の首にいきなり抱きついた後、またもいきなりキスをした。
志藤は迷惑な顔をした後
「だから!! おれは関係ないやろ!」
まったく平然と受け流した。
斯波はそんな光景を見て、また自分の中の『モラル』に火がついてしまったらしく、
「なんなんだっ!!! 水商売じゃあるまいしっ!!! あんたには節操ってモンねーのかよ!!!」
さらに激昂する結果になってしまった。
それでも南はケラケラと笑って
「だって! あたし元キャバ嬢やし~~~、」
と、また志藤にしなだれかかるようにして言った。
「は・・・・」
斯波はもう
呆れるとか
茫然とするとか
なんだかわけがわからなく
立ちつくしてしまった。
思いっきり『ちっさい男』と言ってしまいましたが・・・
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