「は? 社長と?」
真太郎はネクタイをゆるめながら意外そうに言った。
「そーなの! 美味しかった~~。 あたしじゃあとっても行かれへんような料亭でさあ。」
南は料理が非常に美味しかったことよりも、北都にあれだけの言葉をかけてもらったことの方がうれしくてテンションが上がっていた。
「めずらし・・・、」
「ほんまに社長は懐が大きくて、いつまでも若々しくてダンディで。 冷たいようでちゃーんといろんなとこまで見ていてくれはるし・・・」
南は夢見るようにそう言うと、
「今さらなに言ってんの?」
真太郎は少しつまらなそうにブスっとして言った。
「あ、妬いてる? ひょっとして!」
南は座っていた真太郎の後ろから抱きついた。
「なに、妬くって、」
「声もしゃべり方も。 ほんっまに優しいトコも。 真太郎にそっくりやなあって。 ほんまに思った、」
南はもうそれがうれしくてたまらない。
「なにソレ・・」
真太郎は少し呆れて笑ってしまった。
「・・だから。 お義父さんのことも・・・真太郎のことも。 大好き、」
いい年して。
平気で言うもんな。
真太郎は自分の首に手をまわした彼女の手をそっと握った。
「なんかもうどうでもよくなってきちゃった・・・」
夏希はぐったりとして言った。
「何言ってんだよ~~。 夏希が忙しいってばっかでなかなか決めないから! もっとさあ、どうなの? 女の子ならこういうのがいいとかあるでしょ?」
高宮は若干イラついて言った。
「だってみんなおんなじっぽいし。 たいして変わんないし、」
「絶対に今日決めないと! 間に合わないよ。」
もうすぐに迫った結婚式なのに
なんと夏希はまだウエディングドレスも決めていなかった。
ファッションにまったく疎い彼女はどれを見ても同じように見えてしまい、何度か足を運んだがまったく決められない。
「あ~~、もう。 やっぱり南さんか栗栖さんに一緒に来てもらえばよかった・・」
泣き言をいう夏希に
「またそーやって。 あの二人に頼るんだから。 自分のことくらい自分で決めたら、」
高宮は呆れて言った。
「もう、これでいっか? 隆ちゃんが好きなのでいい・・・。」
肩を出したシンプルだがラインのきれいなドレスを試着した夏希は言った。
隆ちゃんの好きなのでいい・・・
少し苛立っていた高宮の心が一気に萎えてしまう。
背が高くて手足が長い彼女は何を着ても似合う!
と、正直思っていて。
「ねー。 いい? これで。」
夏希は座っていた高宮にすがるようにそう言った。
計算してるわけじゃないんだろーけど。
ホント。
いちいち萌えるよな・・・。
高宮は照れて、つい綻んでしまいそうな顔を必死に抑えた・・。
ラブラブの真太郎&南、そして・・・バカっプルぽくも見える夏希&高宮ですが・・・( ̄Д ̄;;
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