Daybreak(19) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

玉田は戻ってくる楽団員たちをひとりひとり笑顔で迎えた。


そしてコンマスの麗子が戻ってくる。



玉田は彼女に歩み寄る。



「・・・おつかれさまでした、」



玉田は静かに彼女に言った。



「仕方なくやったと思われたくありませんでしたから、」



麗子ははしゃぐ若い楽団員たちとは違い、クールにそう言った。



「佐田さんが戻ってきてくれたから・・・ここまでやってこれた。」


それは正直な気持ちだった。



麗子はうつむいて少し苦笑いをしながら首を振り


「あの子の明るさに・・・丸め込まれるように引きずられていただけです、」



みんなと談笑する茜を見た。



「・・いい公演にしましょうって。 あたしにわだかまりもなく。」



「そう、ですか。」


玉田も静かに言った。



「わかってました。」


「え?」


「あの子がここにやって来たときから。 何か持ってる子だってことも。 ヴァイオリンの実力だけじゃなく、人を惹き付けるもの、あるし。 あたしたちとは・・・違う、」


「佐田さん、」


「会社が彼女に期待することも。 気持ちのどこかでわかってました。 だけど・・・・。 認めたくなくて。 自分はこんなに一生懸命にやっているのに、どうして報われないのかって・・・。 いつも不満だらけで、」



彼女のキャリアとプライドを


自分はわかってやれていただろうか



玉田は猛烈に反省した。



「成り行きでも・・こうしてコンマスも務めさせてもらえることができたのに、」


反省の弁を述べる彼女に



「・・・きみの気持ちをわかりきれなかった。 本当に・・・ごめん、」



玉田は素直に頭を下げた。


すると麗子は



「謝ったりしないで下さい。」



と、きっぱりと言った。



「え、」



「謝られたりしたら・・・。 ここにいることがつらくなります。」




志藤の言葉を思い出した。




『ああいうプライドの高い子に土下座なんかしたら、もっともっと素直になれなくなる。』




「・・ごっ・・ごめん。 おれ・・ほんっと、」


自分の女心のわからなさに赤面した。



そんなうろたえる玉田を見て麗子はクスっと笑って



「また・・・わかりやすく狼狽して、」



どっちが年上かわからないくらいに落ち着いて笑った。



そして、ふうっと息をついて



「今。 自分の身の丈に合ったことを頑張ります。 ・・・あとのことはそれから。 今はそう思っています。」



いつものように背筋をスッと伸ばして、力のある瞳でそう言った。



麗子もまた大人の判断をし、みんなと頑張ってくれました。


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