Daybreak(17) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「わ~~! かわいいっ!」


沙耶は結城から手渡されたプレゼントをすぐに開け、それが自分の欲しがっていたバッグだとわかると小躍りするように喜んだ。



「ありがとうヒロくん。 こんな女の子のもの買うの恥ずかしかったでしょう、」


義母・泉美が言う。


「いや。 そーでもないよ。 初めてマルキュー行ったけど、ホント中学生くらいの女の子ばっかでさ、」


結城は照れて笑った。


そしてポケットからチケットを3枚出して父に手渡す。


「これ。 家族席だからいい席だと思うよ。」


「ありがとう。 コンサートなんて久しぶりだ。」


父も嬉しそうだった。



「お兄ちゃんは一緒に聴かないの?」


沙耶は言った。


「ん。 別の場所で聴くから。」


結城は彼女の頭を撫でる。


「なんだあ・・。 つまんないの、」


膨れる妹に


「また遊びに行くから、」


と宥める。



この子が生まれたころは


すっごくすっごく後ろめたくて実家に近づくこともできなかった。


だけどこの子が自分を兄だと慕ってくれて


たまに帰ると子犬のようにじゃれついてくるのを見ると


本当にかわいくてかわいくてたまらなくなった。


愛しくてたまらなかった。




『妹』としてこれからもずっとずっと


彼女を守っていこう。




結城は楽団員たちとのニアミスを避けるために、裏方の人間が出入りするところから入って行った。


セットの裏手に回ってそっと見守った。




もちろん麗子とも会うことはないし


茜とも会うつもりはなかった。




エルガーの交響曲第1番変イ長調で幕を開ける。



結城はセットのほんの隙間から様子を伺う。



茜の凛とした横顔が見える。





キレイだな





本当に素直にそう思えた。



真っ白な木綿のような女の子で。


一点の曇りもない漆黒の瞳がまぶしくて。



彼女を見ていると、まるで初恋の気持ちを思い出すようだった。




こんな気持ちになったのは

久しぶりだった。




がんばれよ。




ほんとに。





彼女のヴァイオリンの音がいつか世界に届くように。



今は心からそう思う。



結城は茜のことを遠くで見守ろうと思います。


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