Tiny memory(20) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

自分の想像以上に



結城の過去は重いものだった。



簡単な慰めの言葉なんかじゃ

とっても彼の気持ちを軽くしてやれることなんかできっこなくて。




玉田はしばらく黙っていたが




「何もする必要はないんじゃないか、」



本能が言葉になった。



「え・・」



結城は涙を拭うこともなく玉田を見た。




「もし。 あの子がおまえの子供だったとしても。  あの人が違う、と言うのなら・・・違うんだって。 そう思うことがみんなの幸せになるんじゃないだろうか、」



「みんなの・・幸せ・・?」



「重い過ちかもしれないけど。  どっかで気持ちを断ち切らなければ。 あの人もおまえも。 前に進めない。 この真実を明らかにすることは・・・家族を不幸にすることになる。  おまえはその罪に苛まれ続けて、周りなんか見ようとしてこなかった。 全てをふっきって、あの人のことも・・もう諦めて。  おまえ、まだ30前じゃんか。 もう・・ぜんっぜんこれからじゃん、」



何だかこっちまで泣けそうだった。



「諦めの気持ちでお父さんの勧める人と結婚して、料亭継いで。  ホントにそれでいいのかよ!  そんなことしたら、またきっとおまえ自身が追いつめられて・・不幸になる!」



「玉田さん・・・」



「人間なあ・・・。 もうダメかもって思うこと1度や2度あるじゃん。  負けたくなるときもあるけど。 絶望したって、ちゃんと上を向いて歩いたら・・・。 も、ぜったいいいことあるって!  もう後ろばっかりふりかえってちゃ、ダメだろ!」



涙があとから

あとから出てきて



気がつけば


結城よりも泣いていた。




そーだよ・・



ひどい腱鞘炎がもとで演奏家生命を絶たれた里香は


毎日、毎日泣いて。


もう死にたいって何度も口にした。


それほど


家庭に恵まれなかった彼女はチェロに賭けていて。


チェロが全てだった。




それまで奪われて

生きることさえ拒絶しようとしていた彼女を


おれは自分はどうなってもいいから

死ぬ気で支えたかった。




玉田は自分のことを一瞬にして思い出した。




「その時は・・・死にたくなるほど絶望していたって。  諦めなければ絶対に幸せは来る。  おまえがその一歩を踏み出さなかったら・・・・あの人の幸せだって・・一生ないんだから、」




結城は

頬に伝わる涙を拭おうともせず



自分の罪も

罰も



全て洗い流すように



涙と一緒に


重かった気持ちまで


蒸発していきそうだった。



玉田は結城のことを思い、心からの気持ちをぶつけます・・


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