Rainy blue(13) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

麗子はゆっくりと結城を見て



「あの男のせいです、」



つぶやくようにそう言った。



「は・・・」



斯波と玉田は意味がわからず固まった。




結城もワケがわからず立ちすくんでいる。



麗子は彼の顔を見たとたん、あの時の悔しさが蘇り




「・・そうよ。  ぜんぶ! この男のせいよ!」



感情的になって彼に詰め寄った。



結城は思わず後ずさりした。



「あんた。  あたしにはオケに残るようにってやんわりと言いながら。 あの子には留学を勧めたりして! あたしのことバカにしてたでしょ!」



麗子は目に涙をためて結城に怒りをぶつけた。



「は?」



まだ彼女がなぜこんなに怒っているのかがわからない。



「あたしだって! ほんとに必死でヴァイオリンやってて! 年も取って、目標を失いかけて! 北都フィルのコンマスに収まったのだって・・・前の人が急に辞めちゃって仕方なくなっただけだし! 千堂茜みたいにソロで売り出してもらえるわけでもなく!  あたしが・・どんだけここで我慢してたと思ってるの!」



麗子は泣きながら結城のスーツの襟を両手で掴んだ。




ようやく


自分が茜に留学を勧めたことを彼女が知ったのだ、とわかった。




「若くてかわいい、何も知らないような・・あんな子に!  あたしは負けたの!?  あなたもあの子のことが好きなの!?  あたしのこと・・・なんだと思ってたの!? ただの遊び? 」


泣き喚く彼女に



斯波と玉田は呆然としてしまった。



結城と・・・佐田麗子が?


いったい


どういうことなんだ・・




二人はもう頭の中が混乱していた。



「あの子にあんなに優しい顔をして!  あたしのことは身体だけ?」



麗子はもうわけがわからなくなるほど自分を失っていた。



結城はひとことも発することができなかった。



「もう・・・やめてやる! こんなところ!」



彼女はそう叫んで事業部を後にした。




「・・結城、」



玉田は呆然と彼に近づいた。



「どういうこと?」



彼を問い詰めた。



「・・どう・・って、」



結城もまだ混乱していた。




「彼女と・・つきあってたの?」


その問いに



「・・・つきあってたわけじゃありません、」


すぐさま否定した。



玉田は腹の底がだんだんと熱くなってきた。



すべてをぶちまけた麗子の言葉に玉田は・・・


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