「あ、来てたの?」
結城は普通に茜に言った。
「あ・・あの・・。 この前はごちそうさまでした。 ありがとうございました!」
彼女は少し赤面し、一生懸命に頭を下げた。
え・・・
それを聞いた有吏は少し驚いたように二人を見た。
「たいしたことないし。 そんなに頭を下げなくったって、」
結城は余裕の笑顔を見せた。
「いえ・・」
恥ずかしくて彼の顔が見られない。
「もーすぐだね。 コンサート。 頑張ってね、」
優しく声をかけた。
「あの・・・結城さんは見に来てくださるんですか?」
ようやく彼の顔を見た。
「う~~~ん。 仕事、どーなるかわかんないけど。 できるだけ行くよ。」
と言うと茜の顔がぱああっと明るくなった。
「ほんとですか?」
「うん。」
「よかった・・・。 ぜひ、来てください。」
頬を赤らめて。
本当に嬉しそうな笑顔を見せる彼女に
有吏は
胸がシクシクと痛んだ。
『ねえ・・結城さんってどこから来たの・・?』
いきなり結城のことを自分に聞いてきた彼女のことを思い出す。
あの時は
別になんとも思わなかったけど。
結城を目の前にした彼女は
自分の知らない
彼女だった・・・
自分に見せてくれる笑顔とは
全く違う。
もうとろけそうな瞳で彼を見る。
千堂さん・・・
ナイーブな彼は
大好きな彼女の気持ちを一瞬で汲み取ってしまった。
「な~~~。 だからさァ・・・」
結城は落ち込む有吏を見て、気になってしまった。
「たまたま帰りが一緒になったから、メシ食っただけじゃん。 そんだけだし、」
それで彼が落ち込んでいると思って必死にいいわけをした。
有吏はチラっと結城を見た。
ほんと。
めっちゃかっこいいし。
大人だし・・・。
そっけない感じだけど、たまに優しくしてくれるし。
つかみどころのない人だけど・・・
男のおれから見ても
惹かれるのがわかるってゆーか・・・。
そしてまたどーんと落ち込んだ。
「千堂さんは・・・結城さんのことが好きなんですね・・」
デスクにつっぷしてそう言った。
「・・あ?」
結城は思わず聞き返してしまった。
すると有吏はガバっと起き上がって、泣きそうな顔で
「千堂さんは・・結城さんのことが好きなんですよっ!」
当たるのもみっともないと思いつつ、思いっきり言ってしまった。
「は? 彼女が? おれを???」
「わかんないんですかっ!? もう、はたからみたらモロわかりでしょーがっ!!」
「それはねーだろぉ~?」
まだのんきなことを言う結城に
「どう見たって! 恋する乙女の顔じゃないですかっ!!」
「そうかなあ・・・」
結城はうーんと腕組みをして考え込んだ。
この後
これが三角関係どころかややこしく絡み合い
事業部を揺るがす大事件にまで発展するとは
この二人は思いもしなかった・・・・
茜の気持ちに気づいてしまった有吏は激しく落ち込み・・
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