Stay with me(11) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

夢だったら

どうしようと



二人は同じ気持ちで

一晩中

抱き合ったまま眠った。



萌香は東京を出てから

安心して眠れる日がなかったので

かなり

眠ってしまったようだった。

ふっと目を覚ますと、窓際で携帯を操作する斯波の姿が見えた。


「あ・・・、」



慌てて身体を起こす。

斯波はふっと微笑んで、


「目が覚めた?」

と言った。


「・・何時・・?」

乱れた髪をかきあげて、上掛けを身に纏った。



「・・10時。」


「10時? ・・もうそんな時間・・」

あまりに熟睡してしまった自分が恥ずかしかった。



「新幹線の予約、したから。 午後に帰ろう。」

斯波は携帯を閉じた。


「え・・」



「志藤さんも。 みんな待っている。」



優しい声でそう言った。



「・・戻れるんでしょうか・・」

萌香はまだ自信なさ気だった。



「戻れるよ。 みんな萌の分まで仕事するって・・頑張ってる。 萌が戻ってくること信じてるから。 会長と萌のこと、志藤さんが全部話して。 ・・ちゃんとみんなわかってくれたし、」



もう

嬉しくて

また胸の中がいっぱいになり萌香は涙ぐんだ。



「やり直せるから。 人生は。 おれと一緒に・・頑張ってやっていこう、」




斯波はベッドの端に腰掛けて

彼女の頬に両手をあてて

優しいキスをした。



「・・ん・・」



萌香は何度も頷くしか

できなかった。

言葉にできないほどの

安心感と

幸福感で。




「でも、帰る前に・・寄って行こう、」


「・・え・・」



「お母さんのところに、」

斯波は萌香を見つめた。



「きちんと話をして、東京に戻ることを許してもらおう、」

萌香は動揺して



「ダメよ・・何を言い出すか、」




あの母の姿が

子供のころからイヤでたまらなかった。

最愛の人に

会わせるのも

すごく恥ずかしくてたまらない。



「何を言われても驚かない。 荷物も取りに行かないと、」

斯波は悠然と笑顔でそう言った。





母は寝ていたところを起こされて、すこぶる機嫌が悪かった。

昼間でまだ誰もない、薄暗い店のカウンターに座ってタバコをふかしていた。



「で、あんた・・だれ?」



夕べは商売用の化粧をしていたが、ほぼスッピンの彼女も

萌香にすごくよく似ていて、十分若く、美しかった。


そんな彼女から

攻撃的にそう聞かれて、



「おれは・・東京の・・ホクトエンターテイメントの・・彼女の同僚です、」


「同僚・・?」

さらに目つきの悪い顔で睨まれた。


「ただの同僚が・・ひとんちの娘連れ出して。 朝帰り?」



そんなセリフとともに

タバコの煙も吐き出した。



「それは・・」




すると

着替えてきた萌香が降りてきた。



「・・私、東京に帰る。」



と母に言った。



「はあ?? あんた・・ここで仕事するから置いてくれ言うから・・女の子一人辞めさせたんやで!? 勝手なこと言うて!」

母は激怒した。


「ごめんなさい。 でも・・会社の人たち・・私のこと待っててくれてるって、」


「あんたみたいな子がな、堅気の仕事できる思ったら大間違いやで! 結局、なんもでけへんで帰ってきたくせに!こんなトコで育った娘がなあ・・まともな生活しよ、思ってもでけへんねん!」

テーブルをバンっと叩いた。



その音が

その薄暗い空気を震わせる。



あんまりな萌香の母の言葉に斯波は・・。

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