You're my sunshine(2) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「んじゃあ。 頼む。」

斯波は南にそう言って、すーっといなくなってしまった。


「ちょっと! なに? 責任者としてどうよ!」

その後姿に南は吠えた。


「しゃあないやん。 あれが斯波やから。 おまえ、そういうの得意やんか。 じゃ、おれも会議に・・。 栗栖、行くで。」

志藤も萌香を促して消えた。


夏希はその様子をただただ呆然と見送った。




「では。」

南は夏希を見上げた。


「はい!」


「もうランチ行こうか? 11時過ぎたし。」

時計を見る。


「え! いきなりランチ?」


「ま、初日やし。 いこ、いこ。」

と彼女の腕を引っ張った。




「あの人・・・」

社内を歩きながら夏希は南に話しかける。


「え?」


「・・本当に事業部の本部長なんですか?」


「え? ああ・・・志藤ちゃん? ウン、そうだよ。 年はね~・・まだ40なんやけど。 いちおう、取締役も兼務してるんやで、」

その言葉にさらに驚いた。


「取締役!?」


「彼が10年前にこのクラシック事業部を立ち上げて。 元々大阪支社の人やったんやけどな。 そのために社長に呼ばれて。 今は『北都フィルオーケストラ』を中心に仕事展開してる。 オケ作ったのもあの人やねん。」



「へえええええ。」



長い感心音を発してしまった。



「二丁目かなんかのホストかと思ったやろ?」

否定できないが、うなずくのも憚られ苦笑いでお茶を濁した。


「彼が取締役になってから、斯波ちゃんが実質上事業部の長になって。 まった、あの男も無口でね。 顔、怖いし。」

これもうなずけなかった。


「でも、二人ともすっごく仕事できるの。 志藤ちゃんは今、秘書課といったりきたりで。 ウチのダーリンとも一緒に仕事してる。」



「ダーリン??」



思わず聞き返した。



「ああ。 あたし・・ここの社長の息子のヨメやねん。」



満面の笑みでカミングアウトされて、夏希は瞬時に入社式のときに見た光景を思い出した。


北都社長はダンディな方で。

その横にいた、ジュニアで専務の真太郎さんは、またモデルばりのいい男で。

女子社員の目が全員そっちに向いていた。



この人が。

奥さん・・・・。



ジグソーのいろんなパーツをぐっちゃぐちゃにして、それを一生懸命組み立てて・・・


夏希の頭の中ではそんな作業が行われていた。



北都って

言ってたもんね。

さっき・・・・。


でも、

なんで社長のトコのヨメが

こんなはじっこな部署で仕事?



パーツがところどころ抜けて、どうしても見つからない気持ちと似ていた。




「ウチの部署。 みんな変わってるけどさあ。 楽しいから! きっとすぐ慣れると思うよ。 頑張ってな、」

その人懐っこい笑顔にちょっと励まされ。




「加瀬さんはどこの人なの?」

ランチは近くのイタリアンのバイキングに連れて行ってもらった。


「あ・・福島のいわきです。 えっと、海に近いところ、」

そのパスタが美味しくて、あやうく彼女の質問を聞き逃すところだった。


「へえ。 いわきかあ。 いいね。 じゃあ、一人暮らしなの?」


「はい。 大学で東京に出てきたんですが。 最初の2年は寮に入ってて。」


「寮?」


「女子野球部に入っていたもんですから、」

会話を続けながらも、本当にこのペスカトーレが死ぬほどおいしくて食べることに専念したいくらいだった。



「女子野球?? ソフトボールやなくて?」


「はい。 女子野球です。」

夏希はにっこりと笑った。


「へえ・・・そういうの、あるんだ。」


「女子体育大学だったんですけど。 軟式野球部で。 まあ、実際、女子野球部のある大学も少ないから。 すぐ日本代表とかになっちゃって。 あたし、アメリカにも行ったことあるんです!」

ちょっと自慢げに言った。



「へ~。 すごいなあ。 うちの部署に珍しい体育会系や、」

南は感心した。


「珍しいんですか?」


「だって。 志藤ちゃんも、斯波ちゃんもタマちゃんも・・・んで、今出張中の八神も音大出やもん。 特殊な部署やからな。 あたしと萌ちゃんは違うけど。 なんやろ、体力採用かな?」

南は豪快に笑った。


「・・そうかもしれませんね・・・・。」

ひきつった笑いをするしかなく。


実際。

なんで自分がこんな一流の芸能社なんかに入れたのさえ不思議だったのだから。




「で、あたしはどんな仕事をしたらいいんでしょう・・」

夏希は本来の目的を思い出し、口の周りを拭きながら言った。


「ウン。 とりあえずはね。 庶務的仕事してくれる? ウチは斯波ちゃんとタマちゃんが現場。 萌ちゃんとあたしは企画なんやけど、今萌ちゃん、志藤ちゃんの秘書みたいな仕事もしてるから。 八神は営業やし。 細かい仕事してくれる人がおらへんねん。 なんかもっとメガネかけた真面目~な子が来ると思ったから! ちょっとびっくりしちゃったんやけど、」

南は食後の紅茶を飲みながらクスっと笑った。


「・・すみません、」

また謝ってしまった。


「謝ることないよ~。 元気な子が来てくれてうれしいし。 って・・・」

南はテーブルに残された皿の数々を見て


「・・いっぱい食べるんやな、」

ボソっと言った。


「えっ! あ! なんか・・おなかが空いてしまって・・・。」

夏希はいつもの調子でどんどん食べてしまっていた。



そんな彼女がおかしくて、


「アッハッハッ・・! ほんまおもろい子やなあ・・・。 あたし、そういうの大好き!」

南はよく通る声で思いっきり笑ってしまった。



南から事業部の概要を聞かされた夏希は・・・いっぱい食べてしまいました!(´Д`;)


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