「ちむどんどん」第87回~ネーネー&ニーニー襲来! | 日々のダダ漏れ

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ちむどんどん 第87
第18週「しあわせのアンダンスー」
ネーネー&ニーニー襲来!

 

 

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暢子) おいしくないものって、

 これですか?

二ツ橋) 懐かしいですね。

房子) 試しに作ってみたの。

暢子) どうして、これを?

房子) 料理は、おいしいだけじゃ

 ない。忘れていた思い出を、

 呼び起こすものでもある。

(味見をする暢子)

房子) おいしくないでしょう?

暢子) はい…。

(笑い声)

暢子) 思い出を、呼び起こす…。

(笑顔で頷く房子)

 

**********

 

<道端の公衆電話>

電・歌子) 和彦君のお母さんの所に?

電・良子) 近くまで来たら、

 急に緊張してきて。

電・歌子) やっぱり、

 やめた方がいいかな?

電・歌子) 行くしかないよ。

 絶対に行った方がいい。

 ネーネーが行かないと、

 ニーニーが行くかもよ。

電・良子) アキサミヨー、それは駄目。

 絶対阻止しないと。

 よし、がぜん勇気が湧いてきた。

電・歌子) 頑張って。

 あっ、預けておいたアレ、持った?

電・良子) うん。

電・歌子) 必ず渡してね。

電・良子) 分かった。じゃあ、行ってくる。

電・歌子) うん。

 

**********

 

(門の前に立ち、深呼吸をする良子)

良子) よし…。

(インターホンに手を伸ばし…

 引っ込める)

 

**********

 

<青柳家・家の中>

重子) 波子さん? どうしたの。

波子) 奥様、怪しげな女性が。

重子) 押し売り? 何かの勧誘?

 それとも泥棒?

 

**********

 

<家の表>

賢秀) 何してる?

良子) ハッ…。

 まさかやー。何しに来たわけ?

賢秀) 妹をコケにされて、

 黙ってられない。ここは、

 ゴッドファーザーの、出番ヤサ。

良子) ゴッドファーザー?

賢秀) 父親代わりの長男として、

 きっちり落とし前をつける。

良子) 落とし前って、

 殴り込みじゃないんだから。

賢秀) ファミリーの幸せのためなら、

 俺は、いつでも命を懸ける。

良子) ニーニーは帰って。話はうちが。

 

**********

 

<家の中>

波子) 奥様、一人増えました。

 人相の悪い男です。

重子) 警察を呼ぶ?

 

**********

 

<表>

良子) どかない!

賢秀) 比嘉家のドンに任せれ!

良子) 比嘉家のお荷物でしょ!

 帰ってよ、もう!

賢秀) お荷物とは何か!

良子) うわっ。

賢秀) おい! いるんだろ!

波子) どなた?

良子) 石川良子と申します!

賢秀) 比嘉賢秀です!

波子) 比嘉?

(玄関のドアを開ける波子)

波子) 暢子さんの?

良子) 突然押しかけてすいません。

 暢子の姉、良子です。

賢秀) 兄の、ドン賢秀です。

波子) ドン?

賢秀) はい。

良子) 相手にしなくていいです。

賢秀) 和彦君のお母さんに、

 折り入ってお話が…。

良子) ニーニーは帰ってって!

賢秀) お前が帰れ!

良子) 帰ってよ。

波子) 分かりました。

良子) えっ、いいんですか?

波子) そのかわり、私が「帰ってくだ

 さい」と言ったら帰ると、約束してい

 ただけますね?

賢秀・良子) (頷く)

 

**********

 

<青柳家・応接間>

波子) 奥様、申し訳ございません。

重子) どうしたの?

波子) 突破されました。

重子) はあ?

波子) 暢子さんのお兄さんと

 お姉さんです。ごゆっくり。

良子) お邪魔します。

♪(オルゴール)

賢秀) ん? ん?

良子) ニーニー、何してるの?

 勝手に触ったら駄目!

賢秀) どんなやって止めるのか?

良子) 閉じるわけ蓋を。

賢秀) おっ、そうか。

 あっ…アイヤー!

(オルゴールを壊してしまう)

良子) ニーニー!

賢秀) わざとじゃない。

 蓋を閉じようとしたら…。

(賢秀を見る冷たい目の重子)

賢秀) ごめんなさい。

良子) すいません。

重子) (ため息)

 どうぞ。牛飼いのお兄さんも、

 手短にお話を伺います。

(重子を前に、

 ソファーに座る賢秀と良子)

良子) これ、沖縄の母から、

 お土産のアンダンスーです。

重子) あんだんすー?

良子) それとこれはサーター

 アンダギー、沖縄の麩。村で

 作った黒糖。カラキのお茶です。

 あっ、これは、一番下の妹から。

賢秀) すいません、

 つまらんものばっかりで。

良子) ニーニー、まさか手ぶら?

賢秀) 俺は嫌いヤサ。

 賄賂とか、袖の下とか。あっ…。

良子) 何を言ってるの?

 大人としての常識でしょ。

賢秀) 何でよ! お前のそういう、

 人を見下した言い方。

重子) きょうだいゲンカは

 後にしてくださる?

波子) 失礼いたします。

(お茶を出し、下がる波子)

重子) ご用件は?

賢秀) はい。良子。

良子) どうぞお先に。

賢秀) ゴッドファーザーは、

 最後にビシッと言うわけ。

良子) 言ってることが全然違う。

重子) お話がないようでしたら…。

(絨毯の上に正座する良子)

良子) お義母さん!

賢秀) 土下座!? いきなり?

良子) お義母さん。

重子) あなたにも、あなたの妹さん

 にもお義母さんと呼ばれる覚えは

 ありません。

(賢秀も正座する)

賢秀) おばさん!

重子) おばさん!?

良子) まねしないで!

賢秀) 俺は最初から

 こうするつもりで。

良子) ビシッと言って

 やるんじゃないわけ?

賢秀) 良子が土下座したから、

 しかたなく俺もやってるのが 

 分からん?

良子) 全然分からん!

賢秀) お前、長男に向かって

 そういう口のきき方が…。

重子) あの! 人の家に来て

 いきなりきょうだいゲンカしな

 いでいただけます?

賢秀) お願いします!

重子) 何を?

良子) 暢子と、和彦君の結婚を、

 認めてください!

賢秀) 確かに暢子は、ドジで、

 おっちょこちょいな食いしん坊で、

 のんびりしてるようで、せっかちな

 ところもあって、お調子者だけど…

 足が速いんです!

重子) だから?

良子) 違うでしょ!

賢秀) 違わん! 

 あいつは足がデージ速いさ!

良子) 兄の説明では、分かりにくい

 と思いますけど、本当に家族思いで

 優しい妹なんです。

賢秀) 分かりにくいって何が?

 お前こそ、暢子にはもっと、

 褒めるとこがあるだろ!

良子) 黙ってて!

 急に出てこないわけさ。

賢秀) 長男に命令するな!

良子) 命令しないと…。

賢秀) 大体お前は…。

重子) きょうだいゲンカは…。

賢秀) 昔から偉そうで! とにかく、

 暢子のためには、こんなおばさん

 でも、披露宴に来てもらわんと。

重子) こんなおばさん?

賢秀) 俺たちの母ちゃん、披露宴で

 琉装するのを楽しみにしてるんです。

良子) 違う。琉装するのは暢子。

 お母ちゃんは琉装しない。

重子) りゅうそうって?

賢秀) アリあの…。琉球の着物の、

 こんなして派手な…。

重子) 住む世界が違いますから

 牛飼いのあなたとは。

賢秀) 牛飼いじゃない!

良子) 暢子は、悩んでます。

 めったに悩まないのんきな子なのに、

 真剣に、デージ悩んでるんです。

重子) 何を?

良子) 自分と結婚することによって、

 和彦君が不幸になってしまうんじゃな

 いかって。自分のことより、人の幸せ

 を心配する、本当に優しい子なんです。

 デージ悩んでるくせに、お母ちゃんに

 心配かけないために、なんとかしよう

 と頑張ってるんです。

重子) つまり、ここに来たのは

 お母様の差し金?

賢秀) 違う!

良子) 違います!

重子) お母様の差し金なのね。

良子) 母はそんな人じゃありません!

 うちは何を言われてもいいし、

 ニーニーのことはもっと何を言わ

 れてもいいけど、お母ちゃんを

 悪く言うのだけは絶対に許さん!

賢秀) お前怒鳴るな!

良子) 怒鳴ってない…。

重子) 失礼しました。じゃあ暢子さん?

 牛飼いのお兄さんも

 暢子さんに頼まれて?

賢秀) 勝手に来たんだのに勝手に!

 見たら分かるだろ。

重子) 見ても分からないわよ!

良子) 私も兄も、

 誰からも頼まれていません。

 大体誰も兄にこんな大事なこと

 頼んだりしません!

賢秀) 見たら分かるだろ!

重子) それは何となく。

賢秀) さっきから聞いてれば何か?

 住む世界が違うとか、おばさん

 には、いちゃりばちょーでーの

 心がないわけ?

重子) いちゃりば?

良子) 「一度会ったらみんなきょうだい」

 という意味の沖縄の言葉、

 「いちゃりばちょーでー」です。

重子) もう、結構です。

 お姉さんも、牛飼いのお兄さんも、

 お引き取りください。

賢秀) 頼むよおばさん。

重子) あっ…。

賢秀) おれはもう、さんざんガキの頃

 から家族に迷惑かけてきた。この上

 また、俺のせいで暢子が結婚できな

 いとかなったら、俺はもう、豆腐の角

 に、頭をぶつけて死ぬしかないわけ!

 暢子をちゃんと見てやってちょうだい。

 あいつのどこが気に入らない? 

 俺の、大事な大事な大事な大事な

 妹だわけよ!

重子) あのですね、

 牛飼いのお兄さん…。

賢秀) 牛じゃない!

 牛じゃなくて豚! 豚ヤサ!

重子) 豚!?

良子) 豚?

賢秀) 待て、

 そんな話はどうでもいい。

 今は暢子の話!

波子) では、お約束ですので、

 そろそろ。

良子) お邪魔しました。行くよ。

賢秀) 俺は牛じゃないから。

良子) 牛って何ね?

賢秀) 知らん!

良子) オルゴール壊したの誰ね?

賢秀) いきなり土下座とかありえん!

(ソファーにぐったり座る重子)

(青柳重子様と書かれたカセット

 テープを手に取って見る重子)

波子) お帰りになられました。

 ちゃんと、約束どおりに。

重子) 母親の顔が見てみたいわ。

波子) 披露宴でお会いに

 なれるのでは。

(立ち去る波子)

(目を剥く重子)

 

**********

 

<比嘉家>

優子) あ~そこも茶色にするんだね。

 上手だね。

(お絵描きをする晴海)

優子) 緑を…うん。

 

**********

 

(夕方になり、

 縁側で三線を磨いている歌子)

歌子) 博夫さんから電話で、

 晴海の迎え、明日の昼から

 くらいになるって。

優子) あっ…そう。

 良子は、今晩帰ってくるの?

 急に東京に行って、

 何だったのかねぇ。

歌子) あっ、ほら、披露宴の段取り

 が、いろいろあるみたいで。

優子) 大丈夫なのかね。

歌子) えっ、何が?

優子) 何か、心配があるんでしょ?

 暢子のことで。

歌子) いや~何もないよ。

 アハッ、アハハハ…。

優子) うちは知らない方が、

 いいんだろうけど。

(立ち去る優子)

 

**********

 

<フォンターナ>

電・暢子) はい、フォンターナです。

電・賢秀) 暢子。

電・暢子) んっ、ニーニー?

 どうしたわけ?

電・賢秀) いや~あの…。

 アリ、元気?

電・暢子) 何かあった?

電・賢秀) いや、あれさ。もしかしたら、

 和彦の母ちゃんから、電話かかって

 きたりしてないか?

電・暢子) 来てないよ。何で?

電・賢秀) いや、ならいいけど。あばよ。

電・暢子) ?

 

**********

 

(道端の公衆電話に賢秀と良子)

良子) ぽってかす。

 オルゴールまで壊して。

賢秀) ぽってかすって言う方が

 ぽってかすーヤサ!

良子) ニーニー、「こんなおばさん」

 って言ったんだよ?

賢秀) 言ってない!

良子) 言った!

賢秀) 良子、お前、「絶対許さない!」

 とか、目むいて怒鳴って。

良子) 怒鳴ってない!

賢秀) 怒鳴ってた。

 俺、言ってたな…。

良子) うちも、怒鳴ってしまった…。

 もう、どうしたらいいわけ。

賢秀) ちゃーならん…。

 はぁ~…。

 

**********

 

体調不良のため、短めの感想で…。

 

重子さんが気の毒すぎる。何でこんな目に

遭わされなきゃいけないのか…恐ろしい…。

他人事ながら、心底嫌になるのだけれど…。

毎回毎回、一体何を見せられてるんだか…。

 

 

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