「カムカムエヴリバディ」第93回~それでも人生は続いていく。そういうことや | 日々のダダ漏れ

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日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

カムカムエヴリバディ 第93回
第19週「1993-1994」
それでも人生は続いていく。そういうことや

 

 

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(トランペットを構える錠一郎)

(姉弟喧嘩の仲裁に入ったまま

 息を飲んだるい)

(かすれたトランペットの音)

(構え直し、もう一度)

(かすれたトランペットの音)

(うつむくるい)

桃太郎) お父ちゃん?

ひなた) 何やってんの?

錠一郎) ひなた。

 桃太郎。

桃太郎) 何?

錠一郎) お父ちゃんな、

 昔トランペッターやった。

桃太郎) えっ?

錠一郎) ジャズバンドでプレーして・・・

 レコードデビュー寸前までいった。

 けど・・・謎の病気になって、挫折した。

 それからや。ひなたと、桃太郎が知っ

 てるとおりのお父ちゃんになったんは。

ひなた) アハハッ・・・何なん? 急に。

 何の冗談? ハッハハ・・・。あっ、私と

 桃がけんかしてんの止めよう思て、

 びっくりするようなこと言うたろ思たん?

 アハッ、いやいや。そこまで突拍子もな

 いこと言われたら、びっくりするより笑て

 しまうわお父ちゃん。フッフフフ・・・。

桃太郎) ホンマやで。

 作り話でも、もうちょっと信憑性

 のあること言うてえな。

錠一郎) 作り話やない。

 ホンマのことや。

 

**********

 

(店に貼った「妖術七変化」の

 ポスターを剥がするい)

(裏に錠一郎のサイン)

ひなた) えっ・・・。ホンマなん?

るい) ホンマや。

 関西一のトランペッターを選ぶコンテ

 ストで、優勝した時のサイン。お父ち

 ゃんは、東京でデビューすることが

 決まってたんや。

ひなた) え・・・。

るい) けど・・・。

錠一郎) 急に、トランペットが吹かれ

 へんなったんや。日常生活は何の

 問題もなく送れるのに、まともな音

 が、出されへん。訳分からんやろ。

 お父ちゃんも訳分からんかった。

 名医っていわれる人やら、アメリカ

 帰りのお医者さんやら、さんざん訪

 ね歩いたけど、みんな、分かれへ

 ん、治されへん言わはった。その頃、

 お父ちゃんとお母ちゃんは、結婚の

 約束をしてたけど・・・。それも諦めた。

 トランペットとったら何にも残らへん。

 そんな自分の人生に・・・大事な人、

 つきあわすわけにはいかへん思た。

るい) いっぺんは別れたんや。

ひなた) えっ・・・。

錠一郎) トランペット失って。

 大事な人失って。夢失って・・・。

 もう死のうかなあと思った。

 そやけど・・・お母ちゃんが・・・。

 るいが救ってくれた。

 2人で京都に来て、

 回転焼き屋さん始めて・・・。

 それからも・・・お医者さんとか、

 治療法とか探し続けてた。けど、

 桃太郎が生まれた頃からかな、

 それもだんだんしいひんように

 なった。諦めたっていうか、何か

 吹っ切れたんかなあ。

(錠一郎を見るるい)

錠一郎) もう一生トランペットは吹か

 れへん。この回転焼き屋で、仕事

 の役には立たへんけど、ひなたと、

 桃太郎の、いいお父ちゃんとして

 生きられたら、それでええ。

 それで僕は幸せや。

(錠一郎を見ている桃太郎とひなた)

(横顔を見つめているるい)

錠一郎) ・・・で、

 何が言いたいかっていうとやな。

 それでも人生は続いていく。

 そういうことや。

(錠一郎の背中を目で追うるい)

(軒先で揺れる錠一郎の風鈴)

 

**********

 

(空き地の土管に座った桃太郎とひなた)

桃太郎) すごいなお父ちゃん。

 そんな過去があったやなんて・・・。

 全く分からへんかった。

ひなた) お母ちゃんかて、ただの回転

 焼き屋のおばちゃんやなかったんや。

桃太郎) うん・・・。

ひなた) けど、よかった。

 お父ちゃんが死なへんかって。

 桃太郎) うん。その時お母ちゃんが

 止めてくれへんかったら思たら・・・。

ひなた) ああ。あっ、ゾッとするわあ。

桃太郎) うん。

ひなた) どこ行くん?

桃太郎) あかにし。謝ってくる。

ひなた) お姉ちゃんも一緒に行ったげる。

 

**********

 

<あかにし>

桃太郎) ごめんなさい!

ひなた) ちょっと魔が差しただけなん

 です。どうかこらえてやってください。

吉右衛門) いいや、こらえん。

ひなた) 今回だけ、

 見逃してやってください!

吉右衛門) あかん言うたらあかん。

清子) 吉右衛門。

 もうそれくらいにしとき。

 おめでたい時なんやさかい。

吉右衛門) しかしやなあ。

清子) 昔お父ちゃんは、

 堪忍したげたはったえ。

吉右衛門) それは知ってるけど。

吉之丞) ただいま。

清子) お帰り。

吉之丞) 何やきょうだいそろって。

ひなた) あ・・・まあ、ちょっと・・・。

桃太郎) 吉之丞さん。

 結婚おめでとうございます。

吉之丞) おっ・・・。な・・・何や、

 もう小夜子から聞いたんか?

(桃太郎を見ているひなた)

 

**********

 

<納戸>

(トランペットを磨いている錠一郎)

(振り向くと、るいが立っている)

るい) ありがとう。

 けど・・・。うそやんね?

 諦めたやなんて。

 私は信じてる。またジョーさんが、

 トランペット吹ける日が来るって。

錠一郎) 時々試してた。

 今日みたいに。ある日突然、

 治ってるかもしれへん思て。

 けど、あかんかった。

 この30年、何べんも試したけど、

 あかんかった。

 初めはしょっちゅう。そのうち、

 月に1回、3か月に1回、

 半年に1回。ここ10年は、

 何年かに1回くらいになった。

 トランペットを持つ。

 口に、マウスピースを当てる。

 息を吹き込む。

 夢みたいな音が出る。

 薄れていくんや。あの感覚が。

 トランペットが・・・

 僕にさよならを言うてる。

 そんな気がするんや。

(ピカピカに磨いたトランペットを

 そっとケースにしまう錠一郎)

(ふたを閉め、ケースに触れる錠一郎)

(錠一郎の背中から目をそらするい)

(頬に、涙がこぼれる)

 

**********

 

(あかにしに設置された福引き会場に、

 サンタクロース姿の錠一郎)

錠一郎) あっ、ハズレ~残念。

 でもこれ。メリークリスマス。

節子) メリークリスマス。

錠一郎) はい次の方。

男の子) お願いします。

錠一郎) は~い。

 1、2、3、4・・・10枚だから10回。

森岡) ちゃうちゃうちゃう!

 これ補助券や。

錠一郎) あっ、ホンマや。

森岡) 1回な。

錠一郎) 1回やって。

 お~! 大当たり、1等!

森岡) ちゃうて! 大月さん。

 1等は赤玉や。

(ベルを鳴らす錠一郎)

森岡) うるさいな!

錠一郎) はい、

 こっから好きなやつどうぞ。

(おもちゃの中から、

 トランペットを取る男の子)

男の子) これ!

錠一郎) おっ!

 メリークリスマス。

男の子) メリークリスマス!

(おもちゃのラッパの音)

(男の子を目で追う錠一郎)

るい) ジョーさん。

錠一郎) ああるい。

 鶏買うてきたん?

るい) 手羽やけど。

錠一郎) 上等や。

 あれは? 福引き券は?

るい) もろたけど・・・明日にするわ。

錠一郎) ああああああ。

 僕もすぐ帰るよ。

るい) 待ってるよ。

 

**********

 

(店の前に客)

るい) おいでやす。

 すいません。すぐ焼きます。

 すいませんねえ、お待たせ

 してしもて。何個しましょ?

 あの・・・?

算太) るい。るいじゃのう?

 

**********

 

トランペット、ピカピカに磨いて、時々、手に

取って、吹いてみようとしていたんだね~。

突然吹けなくなったんだから、突然吹けるよ

にもなるかもしれないって・・・思いたいよね。

 

もう一生トランペットは吹か
れへん。この回転焼き屋で、

仕事の役には立たへんけど、

ひなたと、桃太郎の、いい

お父ちゃんとして

生きられたら、それでええ。

それで僕は幸せや。
・・・で、
何が言いたいかっていうとやな。
それでも人生は続いていく。
そういうことや。

 

どんなにつらいことが、悲しいことがあっても、

腹は減るし、眠くなるし、朝も夜もやってくる。

諦めても、諦めなくても、人生は、続いていく。

続けてこそ、生きてこそ、可能性は無限大に。

錠一郎が死んでいたら、ひなたも、桃太郎も、

いない。トランペッターにはなれなかったけど、

2人にとって、最高のお父ちゃんだよ、ジョー。

 

トランペットを持つ。
口に、マウスピースを当てる。
息を吹き込む。
夢みたいな音が出る。
薄れていくんや。あの感覚が。
トランペットが・・・
僕にさよならを言うてる。
そんな気がするんや。

 

切ないね。トランペットを吹く感覚が薄れてい

ってしまうのは。忘れたいわけじゃないのに、

忘れたくないのに記憶が遠ざかっていくのは。

福引きに来た男の子のように、トランペットを

吹くまねをする姿も楽しそうだったジョー。トラ

ンペットはずっとジョーの友達だったんだよね。

さよならなんて・・・言わないよ。ずっとそばに

いるよ。忘れないでって思ってるよ、ずっと!

 

 

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