大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」第47回(最終回)~時間よ止まれ(後半) | 日々のダダ漏れ

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日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

大河ドラマ 
「いだてん~東京オリムピック噺~
 



第48回(最終回)~時間よ止まれ(後半)

 

 

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<日本橋>

タクシー運転手) あ~すいません…

 お客さん日本橋も駄目です。

美津子) 見りゃ分かるわよ。何で混んでんのよ。高速

 道路が出来て、渋滞解消されたんじゃなかったの?

タクシー運転手) 違うんです。今日何かみんな、

 車止めて空見てんですよ。

(街中の人が5つの色の飛行機雲で

 描かれた五輪マークを見上げている)

志ん生) 始まった? 

 オリンピック。じゃあ「富久」でもやろうかな。

美津子) フフッ。暮れでもないのに?

志ん生) ヘッ、いいじゃねえかよ。

美津子) フフフ。

タクシー運転手) えっ、おじいちゃん落語家さん?

 

**********

 

<東京・芝>

志ん生) え~…どうも。え~日本中がですね、「オリンピック

 オリンピック」って、大騒ぎの中ですね、寄席にこれだけお客

 さんが来るなんてのはもう…何でこんなに来たんだろうとい

 う。まあ、今日は、オリンピックに比べりゃちょっとね…寄席で

 すから、話が小さい噺で、「富久」というですね、久蔵というね、

 幇間(ほうかん)、まあ、たいこもちですね。これがあの~お

 酒でしくじっちゃってですね、どうにかして、旦那に出入りを許

 してもらおうかと思って、その火事の現場、駆けつけたり…。

 私がですね、満州でやった時にですね、浅草から日本橋に…。

 久蔵がですね、走っていくっていうことを、しゃべったんです。

 ところが、そこに聞いてた兵隊がですね、距離が短いよと怒り

 だしましてね。しょうがないから私は、日本橋から芝まで走る

 ことになっちゃった。そしたらその兵隊さんは何か、かけっこが

 好きで、オリンピック目指してたんですけど、あとで聞いたら死

 んじゃったと。まあ、その関係でですね、なぜかそのせがれが

 ですね…。まあ私のとこに、弟子入りしてきたんですよ。で、こ

 れがまた私をしくじりましてですね…。しくじったのにコレ作りま

 して。これがまたコレになっちゃって。コレになったら行方不明

 という、何だかよく分からないことになっちゃいまして、はい。

 

(回想・2か月前)

美津子) 五りん。

(工事現場で作業の手を止める五りん)

 

(回想・喫茶店)

五りん) 「聖火リレー参加のお願い」?

美津子) 落語協会から1人出さなきゃいけないのよ。

 ほらあんた、走りたいって言ってたから。まああの

 時は、「走ってる場合じゃない」なんて言ったけどさ。

五りん) あっ…あの…すいません。

 あの件は、忘れて下さい。

美津子) 開会式の日ね、お父ちゃん名人会なのよ。

 芝の「てれび寄席」。来たら詫びがかなうかも

 しれないよ? しくじりが直るかもしれないよ?

五りん) 何です? それ。

美津子) 「富久」だよ! 忘れちまったのかい。

 

志ん生) ジャンジャ~ンと、半鐘が鳴る。

 「おい、留さん、火事だ火事だ」。「火事」。

 「お前火事見るの得意じゃないかお前」。

 

(回想・喫茶店)

五りん) すいません。10月10日は、ちーちゃん

 の予定日なんで。あの…すいません。

美津子) ずっと気にかけてるよ。落語はサゲの

 ひと言で終わっちゃうけどさ、そうはいかないだ

 ろ、人の一生は。そのあとも続くだろ? あんた

 のこと許すかどうかは別としてさ、お父ちゃんも

 お母ちゃんも私も、強次も清も喜美ちゃんも、美

 濃部家一同…今松も、それから…きっと…死ん

 だあんたの父ちゃんも、気にかけてるからね。

五りん) ハハハハ…。

(笑って出て行く五りん)

美津子) いいサゲ待ってるよ。

五りん) どうも…。

 

(回想・工事現場)

(工事現場の片隅に座り、

 満州の絵葉書を見ている五りん)

 

志ん生) 「久さん、芝の方に客はいねえか?」。

 「客? いねえどころじゃねえですよ。ええ、その

 客しくじんなきゃね、こんな汚えとこには、住ん

 じゃいねえ」。「火事はな、芝のな、久保町だっ

 てよ」。「久保町? 旦那のとこだ」。「行ったら

 いいじゃねえかおめえ。行って、詫び入れて、

 出入り自由になるぞ」。

 

(回想・工事現場)

(絵葉書に書かれた、鉛筆の文字を見る五りん)

五りん) 「志ん生の『富久』は絶品」。

 

**********

 

10月10日

 

(日の丸のユニフォーム姿の五りん)

五りん) はあ!? 

 えっ、いや、あの…あの、あの…。

係員) あっ、君名前は?

五りん) 古今亭五りんです。

係員) あ~そうかそうか、落語協会のね。

五りん) はい。

係員) えっ? 足袋で走んの?

五りん) えっ? すいません、駄目ですか?

係員) あ~まあいいか。

 はい、じゃあこっち入って入って。

 あっ、来たよほら。はい、並んで並んで…。

五りん) あっ…あの、ちょっと、あの…。

 僕の、トーチ…トーチは? トーチ。

係員) えっ? ないよ。

五りん) えっ!? 聖火ランナーじゃないんですか?

係員) えっ、説明聞いてない? 

 正走者1名、副走者2名、随走者20名、

 計23名で1区間を走ります。

五りん) 聖火ランナーズじゃないですか!

係員) ハハハ…そうだね。

五りん) えっ?

男性) 来たぞ~!

男性) はい並んで。

五りん) あっ…。

男性) 旗の受け渡しをお願いします。

一同) お願いします!

五りん) えっ、旗? えっ、これ持つの!?

 え~思ってたのと…。

男性) 点火!

(トーチからトーチへと炎がつながる)

(拍手と歓声)

女性) 駆け足、始め!

五りん) まっ、こんなもんか。五りんだし。

(五輪の小旗を手に、

 19名の随走者のあとに続く五りん)

係員) もう少しゆっっくりで~す! 

 時速12kmを維持してくださ~い!

 

**********

 

志ん生) 「邪魔だ邪魔だ邪魔だ…邪魔だよ

 この野郎! 邪魔だっつったって俺しかい

 ねえかこりゃ。何だよ。火事だ火事だ火事

 だこの野郎」。

 

**********

 

五りん) 「火事だ火事だ火事だ~!」っつって。

係員) おい落語家! うるせえ。

五りん) すいませ~ん。

(坂井の待つ最終中継点に走る五りんたち)

(笑顔の五りん)

五りん) スッスッハッハッ、スッスッハッハッ…。

(シマが走る映像)

(小松が走る映像)

(随走者たちがコースから外れて消える)

五りん) えっ?

男性) 点火!

五りん) ちょちょ…いや…えっ?

(坂井が炎を受け取る)

五りん) もう終わり? えっ? いや…。

女性) 頑張って。

坂井) はい。

五りん) あっ、ちょっと…えっ、えっ…。

(坂井が走り出す)

五りん) おっ? おっ、おっ…?

 

**********

 

<水明亭>

五りん)  おお~! おじさん、水ちょうだい!

店主) やだよ!

五りん) えっ?

店主) 焼き飯しかないよ。

五りん) ああ…まあいいか。

店主) おい…食べんのかおい。

テレビ) 「拍手が起こりました。聖火の入場で

 あります。オレンジの炎、白煙をなびかせて

 聖火が入場してまいりました。栄光の最終

 走者は、昭和20年8月6日生まれ…」。

五りん) あ~!

(テレビを見て裏庭へ飛び出す五りん)

店主) な…何だよ!? 何だよおい…おい!

(梯子のかかった木に上る五りん)

五りん) ほっ! おっ…?

(競技場を見る)

店主) 何なんだよ

 さっきのじいさんといいこいつといい。

五りん) うわっ…。

(木の上から聖火台の炎が見える)

 

**********

 

志ん生) ジャンジャ~ンと半鐘が鳴る。

 「おい、留さん、火事だ火事」。「火事だ

 火事だ火事だこの野郎。どけどけどけ! 

 どけってんだこの野郎!」。

 

**********

 

五りん) おじさん、こっから芝まで何km?

店主) え~…芝?

五りん) いや本当は日本橋なんだけどさ、

 親父が余計なこと言っちゃって、

 芝になっちゃったのよ。

店主) どっちにしても遠いよ。地下鉄乗んな。

五りん) 地下鉄じゃ詫びはかないませんよ。

 大事な旦那ですから。

店主) おいこれこれこれ!

五りん) あっ!

店主) ほら! いや、こっちだろおい!

 

**********

 

五りん) 「火事だ火事だ火事だ! 火事だ火事

 だ~! 火事だ火事だ~! おい火事だ~!

(焼き飯のレンゲを掲げて走る五りん)

五りん) 火事だ火事だ~!

 スッスッハッハッ、スッスッハッハッ。

(回想シーン)

 

**********

 

(日暮れの街を走る五りん)

五りん) スッスッハッハッ、スッスッハッハッ…。

(石段の先に明かりのついた東京タワー)

 

五りん) 「旦那!」。

 

志ん生) 「旦那~!」。「おう、久蔵じゃねえか」。

 「へい、駆けつけてまいりやした」。

 

五りん) 「駆けつけてまいりました!」。

 「どこから?」。「浅草、阿部川町から」。

 「えっ、浅草から、芝まで!?」。

 

志ん生) 「『浅草から芝までか! よし、出入りを

 許す!』ってなこと言うかな? ハハハ。どうす

 っか分かんねえけど、行ってみなきゃ分かんね

 え」。「ワンワン!」。「鳴くんじゃねえバカ野郎! 

 えっ? 何で犬が、鳴いてやがんだ犬のくせに。

 チクショー。泣きたいのはこっちだこの野郎。

 え~火事だ火事だチクショー! うわ~!」。

 パ~ッと燃えて、ダダダダッと広がっていく方に、

 パパパパっとひづめの音。「ごめんよ、ごめんよ! 

 ごめんください! 旦那、旦那、旦那!」。

 

**********

 

(楽屋に下がる志ん生)

五りん) あにさん…あにさん、ご無沙汰してお

 ります。師匠、復帰、おめでとうございます。

今松) 五りん、お前は…今頃どの面さげて…。

(転ぶ今松)

志ん生) あっ、あっ…足伸びちゃって。

 どっから走ってきたんだ?

五りん) あっ…。浅草の、三軒町…

 あっ、間違えた。国立競技場から。

志ん生) 忘れねえで来たんだな。

 よし、出入りを許してやる。

(そっと微笑むりん)

今松) ほら、何とか言えよ五りん。芸人だろ。

五りん) よし…出入りを許すぞ…

 そう来ると思った。

今松) 何言ってやがる。

(微笑む美津子)

五りん) いえいえ、こちらの話で。

志ん生) あの…志ん生のよ、

 「富久」はどうだった?

五りん) そりゃもう…。

(志ん生の「富久」の回想)

五りん) 絶品でした!

(笑う志ん生)

美津子) 五りん大変! 

 浅草の病院から。知恵ちゃん産まれるって。

五りん) あっ、予定日!

 

**********

 

強次) 「富久」は、片道で終わりじゃありません。

 ねっ? 芝から浅草まで戻らなくちゃいけませんから。

 

**********

 

五りん) 産まれる産まれる! 

 あっ、男か女か、女か男か!?

 まあ産まれてみなくちゃ分かんねえって

 やつだ! ちーちゃ~ん!

 

**********

 

<浅草・病院>

五りん) ちーちゃん…ちーちゃん…。

知恵) お父さんだよ~。お父さんだよ~。

 

**********

 

<高座>

強次) 女の子でした。「富久」やってる最中に

 産まれた知恵ちゃんの子どもだからってんで、

 富恵と名付けました。

客) おお~!

強次) ねっ、普通でしょ? えっ? …あっ、時間が

 ないそうなんで、「オリムピック噺」に戻ります。

 

**********

 

<ハリマヤ>

辛作) マラソン金メダルのアベベ・ビギラ。

(テレビを見ている辛作や四三)

四三) あっ、あっ、あっ…!

辛作) どうだ? アベベ、うちの足袋履いてるか?

四三) あっ、いや…。

辛作) いけよほら…ほら…。

 

強次) レースのもようはってえと、宇宙中継

 システムってのが導入されまして、なんと、

 全世界で放送されました。嘉納治五郎先生

 が再三おっしゃられていた、「マラソンは、

 スタジアムを出ると待ってるしかないのか

 ね?」問題を、テレビ中継が解決したんで

 す。…が、カメラは、一台っきり。

 なので、アベベしか映ってない。

 

四三) アベベ、ぶっちぎりの1位ばい!

辛作) はだしで走れってんだよ。

 

強次) ですからね、2位の選手の姿がこう

 カメラにスッと入ってきた時に、お茶の間

 の皆さんは、度肝を抜かれたそうです。

 

テレビ) 「日本の円谷が来た!」

四三) ばばばっ! 

 つ…つ…円谷君が、円谷君が2位ばい!

辛作) 何!?

 

強次) ゴール直前ってところで英国

 の選手に抜かれちまいましたが、

 それでも見事、銅メダルを獲得。

 

テレビ) 「円谷も今、ゴールイン!」

辛作) よかったよかった! よくやった! 

 やった! よくやったよくやった。

四三) やった! やった、やりました!

 

**********

 

五りん) え~そして、10月23日、

 女子バレーボール決勝。

 

大松) ウマ。

河西) はい!

大松) オチョコ。

宮本) はい!

大松) アチャコ!

磯部) はい!

大松) パイスケ。

谷田) はい!

大松) 力道山!

松村) はい!

大松) お前何やったっけ?

半田) 最近はフグです。

大松) フグ!

半田) はい!

大松) み~んな今日で卒業や。ウマ。

河西) はい。

大松) お前何て言うた? 

 「バレーボールは続けます。でも…」。

河西) やめたくなったら、

 オリンピックの前日でもやめます!

大松) 当日やぞ。どないする?

河西) やめます!

一同) えっ?

河西) うそです。

女性) あ~びっくりした…。

河西) やります。

大松) 脅かすなお前。

 ええか? 人道上、許し難き女性の敵、

 鬼の大松は今日で卒業や。お前ら…

 勝って嫁に行け。行ってまえ!

一同) はい!

 

**********

 

<田畑家>

(ヨンベとウランダ、大河原もいる)

テレビ) 「日本チーム6回目のマッチポイント。

 金メダルポイントであります! サーブは

 サウスポーの宮本」。

菊枝) いけ、オチョコ!

政治) おい…おい。

テレビ) 「さあ宮本打った。ソビエト懸命に…」。

テレビ) (ホイッスル)

テレビ) 「おっとホイッスル!」。

政治) うん?

テレビ) (ホイッスル)

テレビ) 「オーバーネット! 日本勝った」。

政治) あっ、やった! 

 やったぞやったぞ! アハハハハ!

菊枝) キャ~!

政治) 勝った勝った勝った勝った…。

 やったぞ大松!

 

五りん) 選手たちの胸に金メダルが輝き、

 優勝の日の丸が揚がった。鬼の大松も、

 この時ばかりは、涙を浮かべ、その体は

 何度も宙に舞ったのです。その後も、うっ

 とうしいぐらいに、選手の世話を焼き続け

 た大松監督。父親を亡くした河西選手の

 結婚式では、父親の代わりに、親族の

 列に並びました。え~だいぶ駆け足でし

 たが、全競技、終了しました! ありがと

 うございます。え~…そして迎えた、

 10月24日、閉会式当日。

 

**********

 

政治) ザンビア、独立?

岩田) 北ローデシアがイギリスから独立して、

 ザンビア共和国になったんです、今日。

政治) 今日!? これ今日の新聞かい!

岩田) はい。

政治) えっ? あ~ゴンパパ、独立したって?

ゴンパパ) タバタ!

 (英)プラカードをザンビアに変えてくれ。

 国旗も新しいものでないと歩けない。

岩田) (英)プラカードはともかく、

 旗は間に合わない。

政治) 本当に無理かね? 岩ちん。

 悔しいじゃんね~。独立記念日だよ今日

 は彼らの。こういうところをおろそかにし

 ないのが、平和の祭典じゃないのかね?

ゴンパパ) (英)

政治) いや、新しい旗…。

吹浦) ヘイ、ヘイ、へイ、エブリボディー!

政治) うん?

吹浦) ルック!

(吹浦がザンビアの国旗を広げる)

ゴンパパ) (英)すばらしい、それだ!

政治) おいゴンパパ! ハハハ!

(拍手と歓声)

政治) でかしたぞ吹浦! ハハハハハ。

 

五りん) 国旗はなんとか間に合ったんですが…

 

森西) 国ごとに並んで!

 

五りん) 閉会式直前。全競技を終えた

 解放感から、選手たちは全く言うことを

 聞かない。肩を組むやつ、抱き合うやつ、

 酔っ払って雄たけびを上げるやつ。

 

松澤) おい、森やん! 何やってんだ!

森西) 違う、めちゃくちゃだよ!

松澤) もう入場行進だぞ!

森西) 松澤さん、もう無理! 

 もうゲート開けちゃいま~す!

松澤) 何、何、何…? 

 ちょちょちょ…何やってんだおい。

森西) 知らないよもう!

松澤) どうなってんだよお前ら! 

 あっ! あああ~!

 もうおしまいだ…。何もかも台なしだ~!

 

五りん) ところがこの、しっちゃかめっちゃかの

 行進が、世界中から称賛されたってんだから、

 あ~分からないものですな~。

 

テレビ) 「開会式の、

 あの統一された美しさではありません」。

 

五りん) あああ…もうぐっちゃぐちゃ!

 

テレビ) 「しかし、そこには、国境を越え、宗教を

 超えました、美しい姿があります。このような、

 美しい姿を、見たことはありません。まことに、

 和気あいあい、呉越同舟…」。

(満足気に頷き、スタンド裏に入る政治)

(通路に飾られた柔道着)

治五郎の声) 田畑。

(振り向く政治)

治五郎) これが、

 君が世界に見せたい日本かね?

(グラウンドに向かって立っている治五郎)

 

(回想)

治五郎) オリンピックは…オリンピックは…やる!

政治) 今の日本は、

 あなたが世界に見せたい日本ですか!?

 

政治) はい。いかがですか?

治五郎) 面白い…実に、面白い!

 田畑…私は、改めて、君に礼を言うよ。

 ありがとう!

政治) (涙)

岩田) 田畑さん、ようやく終わりましたよ。

 まあ、いろいろありましたが、最後は…。

 これが(ストップウォッチ)お守りでした。

 どうぞ、お返しします。田畑さん?

政治) 岩田君…俺は…

 改めて君に礼を言うよ。ありがとう!

(深々と頭を下げる政治)

政治) 最高だよ! 俺のオリンピックが、

 みんなのオリンピックになった。

 ありがとう。

(涙をこらえ、

 治五郎のストップウォッチを差し出す岩田)

岩田) はい。

(受け取り、柔道着の前に立つ政治)

(治五郎の写真に一礼し、

 ストップウォッチを振り上げる)

(花火の音)

(競技場の夜空に花火があがり、

 聖火台の炎が静かに消える)

 

**********

 

菊枝) ご苦労さまでした。

(俺のオリンピック模型を見つめる菊枝)

 

**********

 

<3年後 熊本>

 

東京オリンピックから3年後。

韋駄天のもとに、一通の手紙が届いた。

 

スヤ) 「金栗四三選手、あなたは、1912年7月14日、

 マラソン競技において、競技場をスタートしたあと、

 一切の報告がなされておらず、今まだ、どこかを

 走り続けていると、想定されます。当委員会は、

 マラソン競技の完走を、要請いたします」?

女性) わ~すご~い!

スヤ) あら~。

四三) 行方不明? 

 消えた日本人って呼ばれとるらしか。

 

**********

 

<ストックホルム>

 

1912年のオリンピックを祝う式典が行われ、

韋駄天、55年ぶりに、ストックホルムを走ります。

 

スヤ) やっと来られた!

 ついに見られますね、オリンピック。

四三) うん。

 

**********

 

そのころ、まーちゃんはってえと…

 

政治) はい追いつこうよ木原に。

 

河童に逆戻り。日本水泳連盟名誉会長として、

後進の育成に力を注ぎました。

 

政治) ん~よいしょ~! ハハハハ、いいね!

 

**********

 

<ストックホルム>

スヤ) あっ、ちょっと…まだ早かですよ。

四三) ウォーミング、アップたい。

(水をかぶる)

四三) ひ…ひゃあ~!

スヤ) アハハ!

四三) あ~寒か! あ~寒い…。

スヤ) よっ、韋駄天!

(旗を振って走るストックホルムの少年)

(日の丸の旗を振り、

 スタジアムのゲートを入っていく四三少年)

 

**********

 

政治) ほら…頑張れ! 2m! 1m!

 

**********

 

(実際のニュース映像)

金栗四三がスタジアムに現れました。

足が重たそうですが…

決意は固く、まっしぐらに進みます。

彼のうしろには何万キロの道のりが、

長い長い年月があります。

ゴールまで25メートル。

気持ちよく、テープを切りそうです。

あと10メートル。今ゴール!

 

**********

 

(プールサイドの政治)

政治) よいしょ!

 あっ! 止めちゃった。

(針の止まったストップウォッチ)

 

**********

 

<ストックホルム>

 

タイムは、

54年、8か月、6日、5時間、32分、20秒3。

日本から来た金栗四三、ずいぶん遅れて

のゴールですが、大変な名誉であります。

 

インタビュアー) よく、ゴールインしました。

四三) え~…今度55年ぶりに、

 やって来ましたので。

 

**********

 

志ん生) いや~実に、長い道のりでした。

 走ってる間に、妻をめとり、六人の子と、

 十人の孫が、生まれました。

 ありがとうございました。

 

(閉まる幕に「おしまい」の文字)

 

**********

 

(とぼけたポーズの志ん生)

 

**********

 

ひゃあ~~~!!! ひゃあ~~~!!! ひゃあ…!

クドカンのいだてんは絶品! いだてん最高じゃんねえ。

視聴率なんて関係ない。いいものはいい。間違いなく、

最高の大河、最高のドラマだった。クドカンありがとう!

 

今年のオリンピックを前に、「いだてん」を見た人と見て

なかった人では、感動の度合いが段違いになると思う。

人に歴史あり、オリンピックに歴史あり。今に至るまで

の多くの人の熱い思いを、「いだてん」で初めて知って、

ひとごとだったオリンピックは、「私の」オリンピックに!

 

「富久」に始まり、「富久」で終わる。成功した者よりも、

しくじった人たちの、敗者の、再生の物語だったと思う。

いや、人生に「しくじり」なんてないのかもしれない。ゴ

ールするまで走り続けるだけ。だったら楽しく走らなき

ゃ。スッスッハッハッ…笑って走らにゃ損じゃんね~!

 

ストックホルムのマラソンで四三がスタートした瞬間か

ら、治五郎さんのストップウォッチは動き続けていたん

だろうね。四三はゴールできなかったから、ずっと…。

長い長い時を経て、ストックホルムでゴールした瞬間、

治五郎のストップウォッチも止まる。胸熱じゃんね~!

 

いやいや、ホント、知ってたけど…クドカン天才っ!!

すっごいものを見せてもらった。一番面白い大河を見

せてもらったよ。誰が何と言おうと、間違いなく、私の

中の一番になった。何度だって言う。いだてん、最高

じゃんね~! クドカンの「いだてん」は超絶品!!!

 

 

いだてん、何とか完走できました! 台詞の量が半端

ない上に、できれば全部残しておきたくて、台詞起こ

しはかなり大変だったけれど…クドカンの台詞を聞き

逃したくなくて、こんなこと言ってたんだって発見があ

るとやめられなくて…1年間頑張って燃え尽きました。

お付き合い下さった皆さん、ありがとうございました~。



●「いだてん~東京オリムピック噺~」HP

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