映画 「僕と妻の1778の物語」 | 日々のダダ漏れ

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日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

映画 「僕と妻の1778の物語」



SF作家の朔太郎(草なぎ剛)と銀行員の妻、
節子(竹内結子)は、高校1年の夏休みに
付き合い始めてからずっと一緒だった。だが
ある日、腹痛を訴えた節子が病院に入院し、
彼女の体が大腸ガンに冒されていることが
判明。医師(大杉漣)に余命1年と宣告され
た朔太郎は最愛の妻にだけ向けて、毎日原
稿用紙3枚以上の短編小説を書くことにする。

**********
 
(回想)
松下) 笑うことで、免疫力が上がる
   ことがあるそうですから。
 
笑える小説を書こう。
面白くて、おなかの皮がよじれて、
ガン細胞が笑い死にするような話を!
ハハハハハッ!
 
そう! 毎日だ。
毎日、必ず3枚以上書く!
 
見たことをそのまま書くような
日記とか、エッセイじゃない。
必ず小説にするんだ。
笑える小説に!
 
**********
 
結局、僕は彼女のために
何もできなかった。
そういうことだ。
 
意味なんてなかったんだ。
これで、最後だ。

**********
 
第1470話 「知識屋」
 
僕が子供の頃、
毎日のように知識屋がやってきた。
車輪があり、頭部もあるロボットなんだ。
ひとしきり音楽を流しながらその辺を回ると、
邪魔にならない場所に止まり、
子供たちがやって来るのを待つ。
 
子供たち) わあ、知識屋。
     知識屋、知識屋!
     わあ、知識屋、知識屋!
 
知識屋は、子供たちのどんな
質問にも答えてくれるんだ。
例えば…
 
知識屋) 質問を、どうぞ。
子供) 宇宙の端には、何があるの?
知識屋) 何もないことになっている。
    でも、本当は、
    宇宙は大きなボールで、
    大きな宇宙人たちが、
    そのボールで、
    野球をしているんだ。
    ホームランが出ると、
    宇宙に星くずが飛び散るんだよ。
子供たち) へえ~…。
知識屋) 質問を、どうぞ。
子供) 空は、なぜ青いの?
知識屋) それはね…
    空の向こうにも、海があるからだよ。
    そこでは、引力が上に向いている。
    でも、時々その引力が弱って、
    海の水が落ちてくる。
    その時は、傘が必要なんだ。
 
そんな知識屋も、
いつしか来なくなってしまった。
子供たちに変なことを教えるからと、
親たちが抗議をしたかららしい。
でも僕はいまだに、
ペラペラしゃべる知識屋の周りを、
子供たちが取り囲んでいる情景を、
懐かしく思い出すんだ。

**********

節子) 空の海…知識屋の空…見たいな…。
   あの場所なら見られそう…。
 
**********
 
朔太郎) 宇宙ってさ、あの空間を満たして
    いる96%は、まだ謎なんだって。
節子) ふーん…。
朔太郎) その謎の部分を解明したら、別の
    世界とつながる何かが見つかるかも
    しれないんだって。
節子) パラレルワールドが本当に
   存在するっていうこと?
朔太郎) うん。もうひとつの世界にも僕と
    節ちゃんがいて、そのまた別の世界
    にも僕と節ちゃんがいる。
節子) そこでは…何してるんだろう、私たち。
朔太郎) やっぱり節ちゃんを見つけて
    一緒に暮らすよ。
節子) そこでは子供もいて、家の中が賑やか
   で、年取ってから旅行するの、一緒に。
朔太郎) その時は火星に行こう。
    でも、悪くないよ。今の僕らも。
節子) ここがいい…。


**********

晴子) 朔太郎さん、また手袋なくしたの?
節子) ううん。まだ去年のはあるの。
   でもきっとまたなくすから。今のうちに…。
   ああ…ハァ…。
   指先がしびれるようになってきたの。
   背中も…おなかも胸も痛くて…。
   ああ…。
   もっと…まだまだ生きられるって、
   そう思ってた。
晴子) 節子…。
節子) ずっと一緒にいたいの、サクと…。
   サクの連載の続きが読みたい。
   サクの本が本屋に並んでるところも見
   たい…原稿描いてる姿も好きだし…。
   年取ったサクと、一緒にいたいの…。
   話したいことだっていっぱいあるのに…。
   お母さんにだって、孫とか…
   親孝行みたいなこととか…。
晴子) 節子…。
節子) でも…もうダメみたい…。(泣)


**********

第1775話 「話を読む」

今日の分を書き上げた彼は、
万年筆を置いた。
妻は眠っている。
この3日ほど、ほとんど眠っているのだ。
彼が書いていたのは、短いお話である。
妻が病気になったしばらくあとから、
毎日書いている。
こうして、もう読んでもらえない
かもしれぬ原稿を書きながら、
彼はその間だけは、
妻との思い出を頭から
振り払うように努めていた。
それよりも、
どのくらい妻が面白がる話に
するかに専念したのである。

気が付くと、
妻が目を覚ましている。

読もうか?

妻はうなずいたようだ。
彼はイスをベッドに寄せて読み始めた。

「今日の分を書き上げた彼は、
万年筆を置いた。妻は眠っている」。

そこで目が覚めた。
彼は書き上げた原稿を前に
居眠りしていたのである。

妻は、眠っていた。
夢か…彼はイスにもたれた。
彼は、妻がこっちを見ているのを知った。
原稿に目を向けている。
「読もうか?」と彼は言った。

「今日の分をかき上げた彼は、
万年筆を置いた」。

そこで夢だと悟った。
妻は…眠っていた。

1時半…午前1時半だった。
眠ると、妻に原稿を読んで
いる夢を見ることだろう。
けれども、
いつかはそれが夢でなく、
現実になるかもしれない。
それを待てばいいのだ。


**********

朔太郎) 毎日書く事は、僕の支えなんです。
    節ちゃんは、
    それを許してくれてるだけです。
    コーヒーもらえますか?
新美) カフェインはやめて、少しは寝て下さい。
朔太郎) 眠いけど…眠りたくなくて…。
    寝てる間に…
    節ちゃんの息が止まったら…
    知らないうちに消えちゃったら
    って思うと、怖くて。
新美) 牧村さんが寝てる間は…
   私が起きて見てますから。


**********

節子) サク…。
朔太郎) うん?
節子) 私ね…あなたと…
   一緒に生きられて、良かった…。
   ホントよ…。ありがとう…。

(節子に口づけする朔太郎)
(微笑む節子) 
朔太郎) 原稿書いてくる。

**********

第1776話 「寝不足の能力」

60時間にわたる、激しい宇宙戦だった。
編隊から脱落した、
その単座宇宙船闘艇は、
とある惑星に向かっていた。
パイロットは、疲れ果てていた。
不眠不休で60時間戦ったのだ。

彼は、決定的な睡眠不足で、
視野がゆがんでいた。
そのために、惑星が扁平に見えたのだ。

惑星は、彼が見たとおりの扁平になった。
惑星表面はめちゃくちゃになった。
大地は裂け、
大地震で、文明は壊滅した。

パイロットは、
「扁平の惑星では困るなぁ」と、
自動操縦装置に、
ほかの惑星に行くように命じた。

二重太陽の傍らを通りかかった。
寝不足の彼の目には、4重に見えた。

二重太陽は四重太陽になり…
方々に影響が現れた。

パイロットの寝不足による幻覚が、
そのまま現実になるのだ。
いつしか彼は、
人々に破壊者と呼ばれるようになった。
彼は今でも放浪している。
彼は人間の姿ながら、
何十万年も存在する、
幽霊になってしまったのだ。

男の頭には、
この話がこびりついている。
ひどい寝不足なのだ。
座ったりすれば、
あっという間に眠り込んでしまうだろう。

寝不足は怖いのだ…。
ものすごい能力を持ってるかも
しれないんだぞ…。


**********

第1777話 「けさも書く」

彼は、病気の妻のために、
毎日一編の、短い小説を書いている。

妻とは、小説を書くと約束しているのに、
エッセイになって叱られたこともあった。

妻が自分で読めなくなると、
彼が声に出して読み聞かせた。
でも、ここ2日間は意識不明で、
朗読しても彼女の反応はない。
それでも、彼はつづけた。
でも、今は何も思い浮かばない。
妻のそばから離れている
不安が胸に込み上げて、
早く病室に帰らなければと焦った。

妻は、深い眠りの中にあった。
彼は彼女の枕元に、原稿用紙を置いた。

風が…原稿用紙を吹き飛ばした。


**********

第1778話 「最終回」

とうとう、最終回になってしまいました。
きっと、迷惑していたことでしょう。
今日は、今のあなたなら、
読める書き方をします。





いかがでしたか?
長い間、ありがとうございました。
また、一緒に暮らしましょう。


**********

実話ベースのお話だし、キャストも脚本も好き
な人たちで、泣く準備はできていたのだけれど。
いや…いいお話なんだけどね…。思ったよりも、
淡々としているというか、毎日書かれたという
小説の話の比重が大きかったというか…お話
も興味深くはあったのだけれど。夫婦の話をも
っと見たかったかなあと。実写化するにはその
描き方が難しいお話だったかもしれないとも思
ったり…。個人的には、期待していたものとは
ちょっと違っていたというのが正直な感想で…。

ただ、本当にあったこと、本当に妻のために書
かれた小説を思うと、とても胸がしめつけられ
た。人の想いって、すごいなあって。気力をな
くさないことが、一番大切なことで、何よりも難
しいことなのだと思う。愛すること、愛されるこ
とは、奇跡だ。人間ってすごいなあって…。そ
んな凄い物語が実在することが何よりすごい。
知るきっかけとなった映画の存在に感謝です。


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