「花子とアン」第133回~あなたの翻訳は、二つの国の友情のシンボルです | 日々のダダ漏れ

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「花子とアン」 第133回
第23週 「アンとの出会い
あなたの翻訳は、二つの国の友情のシンボルです


中国との戦争が続き、国民は総力を挙げて、
軍事体制に協力する事を、求められておりました。

花子が語り手を務める、「コドモ新聞」のニュースも、
軍事に関するものが大半を占めるようになりました。


宇田川) 私このたび、長谷部汀先生をはじめとする
     諸先生方のご推薦を頂まして、ペン部隊とし
     て、大陸の戦場へ向かう事と致しました。
花子) ペン部隊?
男性) 宇田川満代先生、万歳!
一同) 万歳!

戦争の足音は、
確実に近づいておりました。


**********

1988年(昭和13年)・夏―

男性) いや~女流作家で一番に戦地に乗り込まれ
    るなんて、さすが宇田川先生です!
宇田川) 長谷部先生のお言葉どおり、国民の士気
     を高める記事をどしどし書き、送りますわ。
男性) よろしくお願い致します!
男性) お願いします!
花子) 驚いたわ。宇田川先生が従軍記者とは。
醍醐) ごめんなさい。ご結婚の報告じゃないかなん
    て、浮かれた事を言ってしまって…。私恥ずか
    しいわ。なんてご立派なのかしら…。実は私も、
    機会があれば、ペン部隊として、戦地に赴きた
    いと思ってるの。
花子) 醍醐さん…本気なの?
醍醐) ええ…。実際に戦地へ行って、この目で確か
    めないと分からない事がたくさんあると思うの。
宇田川) この戦時下において、
     表現者なら、当然のことよ。
長谷部) 醍醐さん。次のペン部隊にあなたを推薦し
     ておきましょう。
醍醐) 本当ですか?
長谷部) ええ。
宇田川) 白蓮さんは、相変わらず、恋愛や家族愛を
     たたえる歌を詠んでいらっしゃるの?
蓮子) ええ…。
宇田川) もう今は、くだらない恋愛なんか書いている
     場合じゃないと思いますけど。
蓮子) どんな時代でも、人は恋をします。戦争の真
    っただ中でも、人は誰かを愛します。宇田川
    先生だって、あんなにみずみずしい恋愛小説
    を書いていらしたじゃないですか。
宇田川) 今は色恋なんかよりも、お国のために、作
     家として何ができるかを考えるべきでしょう。
蓮子) そうでしょうか?
花子) 蓮様…。
長谷部) 村岡さんはどうお考えになって?
花子) えっ…。
長谷部) あなたはラジオで子供たちに語りかけてい
     るから、世の中への影響も大きいわ。子供た
     ちを立派な国民に育てるために、どんなお考
     えをお持ちか聞いておきたいわ。
花子) 私は…子供たちの夢を守りたいんです。今の
    日本の状況でそんな悠長なことは言ってられ
    ないかもしれません。けれども、いつの時代も、
    子供たちは美しい夢を持っています。その夢を
    大人たちが奪ってはならないと思うんです。
宇田川) ラジオのおばさんがどれほど立派なご意見
     を仰るかと思ったら…。この戦時下に夢です
     って? 時代が変わってもあなたは、「みみず
     の女王」の頃から進歩してないのね。
長谷部) 村岡さん。この国の子供たちの将来を思う
     気持ちは私も同じです。
花子) はい。
長谷部) そのためには、日本がより強い国にならな
     くては。大人も子供も、お国のために一致協
     力する事です!
宇田川) そのとおり!

(拍手)
蓮子) お先に失礼するわ。
花子) あっ…。


**********

花子) 蓮様。
店の中の声) 万歳! 万歳!
(「婦人従軍歌」の歌声)
蓮子) なぜ皆さん…
    あんな風に一色(ひといろ)になれるのかしら。
    ああなれたら、きっと楽でしょうね…。
    でも、私はついていけないわ。
    婦人参政権の活動では共鳴できたけれど、
    もう、あの先生方とご一緒する事はないと思う。

**********

英治) 蓮子さん、途中で帰っちゃったのか。
花子) ええ…。私も考えてしまったわ。
    このままでいいのかしら…。
英治) えっ?
花子) 子供たちの夢を守るってどういう事なのか、
    わからなくなってしまって…。
英治) あんまり悩まないで。
花子) ええ…。

(レコードをかける英治)
英治) 花子さん。踊って頂けませんか。
花子) えっ…。

(ダンスする英治と花子)

時代の空気が、
キリキリと緊張していく中、
花子と英治は、
こんなひとときを大切にしていました。


美里) お父ちゃまとお母ちゃま、いいな~!
英治) ほら、じゃあ、3人で踊ろうか。
花子・英治) せ~の。
英治) はい、クルル~クルクル~。上手だ。
花子) すご~い。
英治) はい。花子さんも。

(笑い声)
英治) お母様上手だね~。

**********

そんなある日の事。


子供) 敵、発見!
子供) 目標、10m前方の、敵! 突撃、前へ!
子供たち) やあ~!
ブラックバーン) Stop!
          ゴキゲンヨウ。
子供たち) ご…ごきげんよう…。
      うわ~!

(逃げ出す子供たち)
ブラックバーン) Hana.
花子) はい。
    ミス、ブラックバーン…。

**********

英治) 僕は、昔、
    修和女学校に辞書を借りに行って…。
    Once upon a time, I went to Shuwa Jyogakko
    for borrow a dictionary…
    (英語) たくましい女性に投げ飛ばされました。


(回想)
白鳥) やあ!
英治) うわっ! ああっ!
白鳥) 不審者がいたので、捕まえました!
英治) ご…誤解ですよ! 僕は…。ああ…。


ブラックバーン) (英語) 
           あなたの英語は上達しましたね。
英治) Thank you very much.
    思い出して頂けたみたいだ。
花子) ええ。
スコット) (英語) ブラックバーン校長は、カナダに
       帰国なさいます。はなにお別れを言いに。
ブラックバーン) (英語)
           私ももうおばあさんですから。
花子) (英語) さみしくなります。
ブラックバーン) Hana.
花子) Yes.
ブラックバーン) (英語) この先、国と国はどうなるか
           わかりませんが、ただひとつ、私た
           ちは永遠に友達です。
美里) お母ちゃま?
花子) 「国と国はどうなるかわからないけれど、私た
    ちは永遠に友達です」と、仰って下さってるわ。
ブラックバーン) (英語) 私はどこにいても、あなたた
           ちの幸せを、心から祈っています。
           あなたの翻訳は、二つの国の友情
           のシンボルです。
花子) 「あなたの翻訳は、
    二つの国の友情のシンボルです」と。
    (英語) ブラックバーン校長のお言葉は、いつ
    も私のここにあります。「最上のものは過去で
    はなく、将来にある」。
ブラックバーン) Hana.
         (英語) あなたが私の夢を引き継いで
         下さい。この国の人々に、愛と平和を。

**********

その夜の事でした。

(戸をたたく音)
花子) こんな時間に誰かしら…。
    どちら様ですか?
吉太郎) はな。俺だ。
花子) 兄やん…。どうしたの?
吉太郎) すまない。こんな時間に…。
     ちょっと話しておきたい事があってな。
花子) 上って。
吉太郎) いや…。すぐ帰るから、ここで。
     はな…最近蓮子さんに会ったか?
花子) ええ…。この間かよのお店で。従軍記者とし
    て出発する宇田川先生の壮行会があって。
吉太郎) 何か、変わった様子はなかったか?
花子) 兄やん? 蓮様がどうかしたの?
吉太郎) 明日からしばらく、
     蓮子さんのうちには近づくな。
花子) どうして?
吉太郎) 何でもいい。ここは俺の言うとおりに
     しておけ。分かったな。
花子) 兄やん…。

蓮子の身に、
何か大変な事が迫っているのでしょうか。

花子) 蓮様…。

ごきげんよう。さようなら。

**********

クララが立った~~!! ぐらいの衝撃を受けた、ブ
ラックバーン校長の「ゴキゲンヨウ」発言。あの、ブラ
ックバーン校長が日本語を喋った~~~~!!!!
絶対ある程度の日本語はわかってるはずだけど、か
たくなに日本語を喋らないつもりの人かと思っていた
ら、ここにきてまさかの「ゴキゲンヨウ」が聞けるとは。
ブラックバーン校長も、年を取ったって事でしょうかw

ペン部隊に入る気満々の醍醐さん。確かに物書きと
しては、実際に自分の目で見て確かめて書きたい願
望は強いだろうし。まだ、戦争の実情(悲惨さ)を知ら
ない状態なわけだし。実際に戦場に赴いた宇田川が、
どう感じ、どう変わっていくのか、興味深いところです。

そして、一色にはなれないという蓮子。うんうん。最初
から毛色が違うし、もともとの育ちが違うし、相容れな
くて当然と言いますか。人と違ってこその、白蓮だし。
花子はといえば…白でもなく、黒でもなく、グレイです
らなさそうな花子。花子は花子で、また違った感性で、
我が道を行ってくれそうな…。いつのまにやら、ダンス
が大切なひとときとなっていた、ハイカラ夫婦の二人。
そのへん、事前にもっと描いておいてほしかったなり。

ドラマの中に出てきた「婦人従軍歌」はこちら↓
●「婦人従軍歌」


(一) 火筒(ほづつ)の響き遠ざかる 
    跡には虫も声たてず 
    吹きたつ風はなまぐさく 
    くれない染めし草の色

二) わきて凄きは敵味方 
    帽子飛び去り袖ちぎれ 
    斃(たお)れし人の顔色は 
    野辺の草葉にさもにたり

(三) やがて十字の旗を立て 
    天幕(テント)をさして荷(にな)いゆく 
    天幕に待つは日の本(ひのもと)の
    仁と愛とに富む婦人

(四) 真白に細き手をのべて 
    流るる血しお洗い去り 
    まくや繃帯白妙(ほうたいしろたえ)の 
    衣の袖はあけにそみ

(五) 味方の兵の上のみか 
    言(こと)も通わぬあだ迄も 
    いとねんごろに看護する 
    心のいろは赤十字

(六) あないさましや文明の 
    母という名を負い持ちて 
    いとねんごろに看護する 
    こころの色は赤十字


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●「花子とアン」HP


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